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2008年12月24日(Wed)

これだから顔見世は 歌舞伎

行って参りました。吉例顔見世興行、夜の部。前も言った様に、最前列での観劇です。

さて、私が夜の部を選んだのは、むろん、昼の部まで買ふ余裕がなかったからですが、ーーー夜と昼どちらにするかで夜を選んだのは、それは、夜の部の方に海老蔵がたくさん出る、と思ったからです。昼の部は「ぢいさんばあさん」ひとつのみの出演ですが、夜は「信濃路紅葉鬼揃」と「源氏物語」のふたつ。しかもこの二つは前から観たかったやつ、といふ事で、やっぱ夜かな、と。しかし、この判断は間違ってゐたかもしれません。
といふのも、昼の部の「ぢいさんばあさん」における海老蔵がなかなかに評判が良い様なのです。さうか、やはり良かったか。観たかった。それに較べて夜の方は・・・。

まづは「信濃路紅葉鬼揃」。これは去年歌舞伎座にて初披露された、玉三郎によるオリジナル。といふか、能と歌舞伎の「紅葉狩」をミックスして新たな一本を作った、と、ま、そんな感じのでして、そして、あの渡辺保に「酢豆腐!」と酷評された問題の一本なんですねー。うーん、楽しみ。・・・で、実際はどうだったのか。
前半。玉三郎を始め鬼の化けた女性たちによる舞踊は、能みたい、といふか、能風、といふか、なんとなく能を彷彿とさせる、といふか、あれ?能?と、いふか・・・、う〜ん、これ、どうなんだらう。私には判断できません。なんせ、寝てしまったもんで・・・。
後半の海老蔵による鬼退治は、まー、そこそこ面白かった。久しぶりに海老蔵を真近くで観れたし。とはいへ、なんとなく、物足りない。海老蔵から、あの吹き出るオーラが感じられない。むむむ・・・何故だ。ベジタリアンに転向したからか・・・。
それでも、私の周りのをばちゃん達は、海老蔵を観て「はー、キレイやわー」「ほんまキレイやわー」「ふわー」と、嘆声を漏らしまくりでした。うん、そらさうだ。でも、本当の海老蔵はこんなもんぢゃないんだけどなぁ・・・。

そして問題の「源氏物語」。こちらも新作。って、ややこしいんですが、歌舞伎の演目にはすでに「源氏物語」はあります。谷崎&船橋コンビによる「源氏物語」が。これは海老蔵の祖父にあたる“花の海老さま”の当り役。これで日本中に海老さま旋風が吹き荒れたといふ代物です。で、海老蔵ももちろん「源氏物語」をやってゐます。が、これは瀬戸内寂聴によるもの。どんな感じなのか、私は観てゐないので、前から興味津々でした。
今回も寂聴版「源氏物語」。で、新作らしく、夕顔のエピソードだけを取り出したものとなってゐます。光源氏が夕顔を見初め、ものにして夕顔の所に通ってゐると、嫉妬に狂った六條御息所(光源氏の恋人のひとり)の生霊がやってきて夕顔をとり殺す、といふお話です。
光源氏はもちろん海老蔵。六條御息所は玉三郎。そして夕顔が・・・扇雀です。
いや、扇雀が夕顔をやると知った時から、ヤバい・・・とは思ってゐたんですよ。扇雀は、たとへば、夏祭りのお辰、とか、さういった伝法な女性の役ならバッチリなんです。しかし、夕顔とは・・・。
夕顔は、多分源氏物語の中でも最も可憐な役柄です。控へ目で、従順で、優しく、まさに夕顔の様な女性。といふ設定。それが・・・、どうみたって女装したオジサンにしかみえません!あまりに無理が有り過ぎます。
また、それを受ける海老蔵が・・・。まぁ、ある意味最高なのですが、見方によっては、光源氏といふよりバカ殿にみえます。この二人が絡むんですから、なんかもう、凄い!!! オバチャンをエスコートするホスト、放送禁止のアングラショー、楳図かずお&デビットリンチの世界、・・・とでも申しませうか。
この様なものを、2万5千円も払って、最前列でみてゐる自分って、どうなんよ???なんか悪い事でもしたのか?なにか試されてゐるの?・・・と、激しく衝撃を受け、茫然としてしまったのです。

・・・ま、それはともかく。海老蔵の出番が少な過ぎる!といふ不満もありますが、それより、海老蔵がイマイチ精彩を欠いてゐたのが気になりました。ううむ、何故だ・・・。風の噂によると、海老蔵はすっかり来年の新春公演の事で頭がいっぱいで、こちらにゐる間もズウッと来年(来月)の公演の練習をしてゐる、といふ事なので、それで、南座にはイマイチ気が入ってゐないのかもしれません。仕方ないなァ・・・もう。
でもね、顔見世なんて、そんなものかもしれないですよ。顔見世、なんですから、とにかくスターが顔を見せる、と。チョコチョコっとね。はぁ、これだから顔見世は・・・。

今回の顔見世の目玉はやはり吉右衛門でせう。私が観たのは「大石最後の一日」。これはさすがに良かったです。堪能しました。私、始めて吉右衛門がいい、と思ひました。存在感が凄かったです。それに較べて、海老蔵、なァ・・・。

今回の公演を観て、もう二度と南座の顔見世には来るまい、と決意しました。その分のお金で、正月に東京まで観に行った方がいい。多分。
来年初春の新橋の海老蔵。観にいくぞー!

Comments

投稿者 akira28000 : 2008年12月30日 14:16

今年の顔見世は思うところ多々有りです。

時代と逆行するかのようなチケットインフレ
篩にかけられずにマンネリ化する上方勢
まさかの扇雀夕顔


昔は顔見世をもっとときめきながら
見ていたような記憶が残ってるんですが・・・。
僕の目が肥えたのか?それとも、質が落ちたのか?

とりあえず、来年の顔見世欠席に1票を投じます!

投稿者 店主 : 2008年12月31日 13:46

顔見世をときめいて観てゐたなんて、羨ましいかぎりです。
私もときめきたい・・・。
実際、今の顔見世は、昔に較べてどうなんでせうね。特別感が全く感じられない、と、思ってしまふのですが・・・。

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