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2007年05月16日(Wed)

EL CAMINO 音楽

 エイドリアナ・エヴァンスの『EL CAMINO』を聴きました。

 エイドリアナ・エヴァンスは、1997年のデビュー作『Adriana Evavs』で、いはゆるネオ・ソウル、オーガニック・ソウル(←私はこの言葉が嫌い)のある種の頂点を極め、その後の流れを決めてしまつたディーバです。私は今でもこのアルバムは時々取り出して聴きますが、その度に感心してしまふ、本当に格の違ふアルバムです。

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 そんなエイドリアナ・エヴァンスですが、その傑作デビューアルバムを出した後、彼女をスターとして大々的に売り出さうとするレコード会社と対立し、表面上は音楽界から消えてしまひます。ここまでの凄いアルバムを出しておきながら、勿体ないことだ、にしてもアメリカの音楽界も世知辛い所よのー、と私は常々感慨に耽つてをりました。そして月日は流れ、2004年、待望のセカンドアルバム『Nomadic』が出ます。実を言ふと私は、このアルバムを聴いてません。出た時に話題にはなつたのですが、個人的には「今更…」といふ気持ちが強く、聴かなかつたのですね。昨年の来日公演にも当然行つてません。しかし、これらの私の判断は、どうやら間違ひであつた様です。

 デビュー作から10年振りのサードアルバム『EL CAMINO』。私は冒頭の曲を聴いた瞬間に、思はず涙が零れさうになりました。全く変はつてゐない。いや、より深く、広くなつてゐる、といふべきか。USのブラックミュージック界は、世界最先端であるが故に競争も激しい所です。常にみんなが最新・最高のものを作り出さうとシノギを削り、少しでも隙を見せれば蹴落とされる所です。そのぶん、刺激的であるのですが、少々しんどい所もある。そんななか、さういつた流れと関係なく、地道にゆつくりと自分の世界を深め、拡げていく。さうしてひとつの貴重な宝石の様な作品を創りあげる。そんな事が(やはり)可能なのだ、と、私は深く感動したのでした。

 音楽的な事をいへば、彼女がUSから離れてゐる間に訪ね歩いたブラジルやキューバの影響が出てゐて、それらは私の趣味とは多少違ふのですが、そんな事は些細な事です。10年間全く変はらない彼女の清涼感溢れる声がソウルの深い深い所を刺す、感動的な作品。彼女のほぼ全作品を手掛け、10年間ともに彼女と音楽的探究を続けた夫のドレッド・スコットの存在も大きいでせう。正しく、愛のアルバムです。

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