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2014年08月26日(Tue)

るろうに剣心 京都大火編 []

Text by 元店主

2年前、「るろうに剣心」の映画版第一弾を観たとき、おお!日本映画でここまでの事ができるんだ!と素直に驚き、喜んだ事を覚えています。正直言って、ここ10年くらいの日本映画には完全に絶望・・・いや、個々に優れた映画作家は居ますし、優れた作品だって作られていない訳ではない。にしても、全体としての日本映画の劣化は激しく、特にこの様なベタベタな娯楽大作なんて観る気さえ起きない・・・といった状況で、「るろうに剣心」は殺伐としたコンクリートジャングルに於ける一滴の甘露、といった趣きでした。
あれから2年。同じ製作陣でその続編に臨む。しかも2部作!とは。うーむ、期待と不安の入り交じった微妙な高揚感。これは、これは・・・と、気乗りしなさそうなトモコを無理に引っ張って、MOVIXに乗り込んできました。

結果としては、大満足。ヤマネくんに言わすと「前作の方が良かったっすよねー」との事ですが、私は今作の方が好きかも。理由はある程度、分かっています。
前作は、確かにアクションシーンの素晴らしさには圧倒されたのですが、他の所に穴が多々あった。世界観が練り切れていないと感じた所、ストーリーが雑だと感じた所、などですが、なにより個人的には役者の演技です。
まずヒロイン役の武井咲。「愛と誠」の時はいいと感じたのですが、この映画での生真面目な演技はもっさ過ぎる。次に青木祟高。わざとらし過ぎる大袈裟な演技に鼻白みます。そしてなにより敵役の香川照之。なにか勘違いしてないか?と突っ込みたくなるヘンテコな演技で・・・。狙いは分からないでもないが、それでは素人学生の演技だよ!と嘆息してしまいました。

それが今回、武井咲と青木祟高は出ていますが、あまり出番がなく、それほど目障りではない。代わりに大量に出て来る新たな敵たち。これが素晴らしい。まず、伊勢谷友介。実は私は伊勢谷友介を初めて(ちゃんと)観たのですが、誰?この森雅之に似たメッチャカッコいい役者!と興奮してしまいましたよ。ニヒルで残酷で狂っていて、凄くいい。役との相性がいいんだろう。このままずっと狂っていてほしい。
次に三浦涼介。この人、知らない。でもすごーくヤンキーで大阪弁で笑えていい感じ。金髪を逆立てたあり得ない格好をしてるのもいい。
あとは神木隆之介。きもい感じがいい感じ。解説によれば「縮地」という技を使うみたいだけど、どんな技なのかよく分からなかった。とはいえ、奇天烈な動きをするので、剣心との闘いはトリッキーで眼に快い。
個人的にあまり好きでない藤原竜也も、今回はよく感じました(きっと顔を隠してるからだろう)。

はっきり言って、この手の映画は如何に悪役に魅力的なメンツを揃えるか、という所にかかっていると思う。その点でこの映画は合格。ここまでカッコ良く、バカバカしい敵たちを揃え、トリッキーで質の高いアクションを釣瓶打ちで連打してくれれば、もうそれで大満足でしょう。
(トモコも一応満足した模様。それでも、色々と文句は言っていた。特に、全体として好演だった佐藤健が、最後に至って感情を剥き出しにして絶叫するところ。あそこも抑えた演技をするべきだった、と。確かに、あそこは惜しかった。雷蔵とか観て研究すればいいかもね。にしても、佐藤健ははまり役だと思うわー)
なーんも考えずに、あー面白かった!と139分が潰せて、次回作が楽しみだー!と言える日本映画なんて、それだけで貴重ではないでしょうか。
「伝説の最後編」が楽しみだー!

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