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2013年12月29日(Sun)

「ウォールフラワー」 強制起訴シリーズ

起訴者:マツヤマ

強制起訴シリーズ37弾

入学初日から高校デビューに失敗し、スクールカースト最下層に位置付けられた、小説家志望で16歳のチャーリーは、オトモダチなんていなくても、学校生活を目立つことなくやり過ごせば、それでよいと考えていた。しかし、スクールカーストとは全く無関係で自由奔放な“はぐれものチーム”の中心人物、パトリックとサムの義理兄妹に出会い、その仲間が集う“はぐれ者アイランド”に寄ることでチャーリーの生活は一変するのであった・・・

ヤマネ
いやぁ、こんな映画あったなんて、ぜんぜん知りませんでしたよ。学園モノって好みじゃないけど、まあまあ良かったんじゃないですか。マツヤマさんが起訴してくれなかったら知らないままでしたね、きっと。
マツヤマ
オレはぜーんぜん、まったく、これっぽっちも面白くなかったよ。あー時間損した。
ヤマネ
えーっ、そうなんですか! マツヤマさん、学園モノとか青春モノとか好きそうなんですけど。へー、マツヤマさんダメやったんやー。なんかそっちの方が面白いなあ。
マツヤマ
まぁ確かに、その手のジャンルは嫌いじゃないけど、あまりにもオレの高校時代とはかけ離れてて、学園モノという感じじゃなかったし、青春モノだとしても、共感できることがひとつもなかったよ。
ヤマネ
マツヤマさん、高校卒業して30年にもなるから当時のこと忘れちゃったんじゃないですか?
マツヤマ
薄れてはいるけど、忘れてはいないよ。ただオレの行ってた高校は偏差値低いのに厳しくて、学ランと紺のセーラー服で、なんか暗いイメージ。ド田舎だったしね。あんな、まるで私立大学みたいな賑やかさは微塵もなかったよ。
ヤマネ
それは残念ですね。幸いボクの高校時代はまずまず楽しかったもんで、映画、音楽、スポーツなど、そこそこ中庸に満喫してました。っていうか、ケンタロウさん、どうしたんですか?さっきから外ばかり見て。
マツヤマ
なーんか、ぜんぜん興味ないって感じー。
元店主
いやはや、申し訳ない。そうなんです、ズバリ、この種の映画には興味がない。私には関係ない映画と思ったわけで、発言する権利もないんじゃないかと・・・
マツヤマ
な、なんと! 鼎談で発言しないと?
ヤマネ
それじゃあ、ボクとマツヤマさんで対談ということにしますか。
マツヤマ
いや待て、彼はきっと何かに悩んでいるんだ。オレたちの無償の愛で彼を「ウォールフラワー」について積極的に話し合える人へと導いてあげようじゃないか。題して「トモダチ作戦!」。
元店主
あ、いやいや「トモダチ作戦」は遠慮しときますよ。そもそも私は学校のことを一度も楽しいと思ったことがなく、ただひたすら退屈で、不条理で、半分死んだような生活を送っていたわけですから、この手の映画のどこが面白いのかが、さっぱり分からないんですよ。私には理解できない理由で、これを面白いと思って観るはいるんだろうな、くらいの気持ちで観ていました。
ヤマネ
でもケンタロウさん「さらば青春の光」とか好きだったら、青春モノとして考えるといいんですよ。
元店主
もちろんそれも考えたけど、そもそも青春ものの特徴として、友人や異性に対する距離の取り方や、それらを通しての世界そのものとの距離の取り方が中心主題としてあって、それらが不安定であるが故に、喜びや悲しみとか様々な感情が描かれているよね。でもこの映画は、それらがうまく描かれていないと思うどころか、相当な違和感があったんだよね。
ヤマネ
そうですかぁ。僕は淡々と楽しめました。自分がよく分からず、自信もなくてもがくもんだよね、みたいに、高校時代はいろいろあったよね的に、当時のことを振り返って感傷に浸るという意味で、幸せな青春を送った人には素敵な映画かな、と思いますが。
マツヤマ
やっぱり、ヤマネくんの高校時代は楽しそうで羨ましいよなあ。
ヤマネ
いや、普通ですよー。そういえば、高校2年の時に、少しの期間アメリカでホームステイしてたんですが、その家にいた大学生のお兄さんのところに、毎日のように友人たちが遊びに来ていて、どこかに遊びに行ったり映画に行ったりするのに、ボクもついていってましたね。いやー懐かしいなー。
元店主
ヤマネくん楽しそうで何よりだよ。私なんて学校行くのが嫌で、サボって神戸の街なかをブラブラしたり、親に内緒で繁華街でバイトとかしてたから、学校から離れたところで楽しんでた感じかな。
マツヤマ
二人とも、やっぱ都会の人だよなー。オレの方は田舎過ぎて、誰かが留学したなんて話聞いたこともないし、サボりが増えたら家に先生が来るから、滅多にサボることなんてできなかったよ。田舎だから特に行くとこもないし、親からもらった小遣いはレコード買ってあっという間になくなるからって、夕刊の配達始めたら、親から小遣い止められたしねぇ。ん〜、ある意味必死だったなぁ。
元店主
まあ、べつに都会がいいというわけではありませんから。この映画の舞台だって、おそらく田舎なんでしょうね。だから特に行くとこもなくて、家でパーティばかりしているんでしょう。ところで、マツヤマさん、当時はどんなレコード買ってたんですか?
マツヤマ
やっぱJAZZだね、って気取ってたけど、大半がフュージョンだった(笑)。でもBlueNoteが¥1800シリーズ出してたから、ワケも分からずよく買って聞いてたよ。
ヤマネ
やっぱりマツヤマさん、かなりこの映画の世界とは遠い感じですね。そういえば、ホームステイ先に集ってた大学生が聴いていたのが、キュアー、デビッド・ボウイ、スミス、部屋でも車でもそればっかりで、ボクも日本に帰って来て、そればっかり買って聴いてました。それが91年のことで、この映画の設定とドンピシャだったから、映画本編に集中するより、自分のことを思い出すことが多かったかもしれません。
元店主
私の感じた数々の違和感のひとつはそこだよ、ヤマネくん。あの高校のはぐれ者たちがボウイの「ヒーローズ」を知らないなんてありえないだろ! スミスのファンだろ? ラブロケとかニューオーダーとか聴いてるんだろ? そんな連中には「ヒーローズ」はマストアイテムなはずだぞ。
ヤマネ
ホームステイ先でもスミスもボウイもガンガンにかけまくってましたからね、あそこは「知らんとかありえへん!」ってつっこみました。
元店主
だからラストに大音量で流れる「ヒーローズ」にも強烈な違和感がつきまとって気持ち悪かったよ。
ヤマネ
原作はボウイじゃなくてフリートウッド・マックの曲らしいし、それだったら分からないでもないですよね。
マツヤマ
ラストに象徴的な歌が欲しかっただけで、それ以上なんにも考えてないんだろ、きっと。こんなつっこみ入れてるのも地球上でココだけかもしれないぞ。国語の先生が紹介してくれた本だって、原作に出てくるバロウズとかアイン・ランドとか、面倒くさそうなのは省かれてるしさ。大体、チャーリーは国語の先生との繋がりで、本を読んで感想文を書きながら、けっこう充実した高校生活を送れるはずなのに、なんであんな魅力のない連中と群れたいのかがサッパリ分からんよ。パトリックもなんとなくカリスマっぽく描かれているのかもしれないけど、ぜんぜん魅力ないしね。
ヤマネ
パトリックが魅力的かどうかは別として、高校生ならあの程度でも人気者になれるんじゃないでしょうか。繊細さと積極性がシンプルに表現されていて、別に嫌な感じではなかったですが。
元店主
まぁ文科系のはぐれ者はあんなもんだと思うよ。自意識過剰だから「自分たちは特別!」と思って行動しているんだよ。むしろ彼・彼女たちの、そんなイタさを強調して描いた方が良かったと思うよ。ただね、パトリックたちが文科系か?と言われたら、そうは思えないんだよね。せいぜい、自分の好きな曲を集めて作ったミックステープを交換してるぐらいだから、読書少年のチャーリーと文化的なものを通して繋がっているようには見えないんだよね。
マツヤマ
でもチャーリーが学校内で友達関係を求めるなら、あそこが妥当だったわけだろ。
元店主
まあそうなんですけどね。でも、チャーリーの終始物欲しげな様子はまったく理解できないんですよね。クラスの連中からは、チャーリーがちょっとオシャレな格好をしていたり、オシャレなバインダーを持っているだけで「オカマ野郎!」って罵倒されるような野蛮極まる教室に居るわけだから、はたしてそんな連中と仲良くしたいと思うだろうか?
ヤマネ
友達を積極的に求めていく気持ちは、なんとなく分かります。「友達できないとどうしよう」との強迫観念があるでしょうから、ガツガツいくのが普通ってことでしょう。アメリカは契約社会だから、とりあえず友達契約みたいなことをして安心、みたいな人間関係なんじゃないでしょうか。
マツヤマ
ヤマネくん、テキトーだなあ(笑)。それもホームステイで知ったことかい?
ヤマネ
いいえ、単なる偏見ですけど(笑)。
元店主
私の考える文科系青春映画では、やはりチャーリーは終始孤独でもいいわけです。そもそもチャーリーがクラスで浮いているのは、彼は文化的なことに興味がある人間だからであって、文化と繋がるというのは、俗世を越えてもっと大きな世界と繋がることですから、どうしたって学校では浮いてしまって、友達が出来ないのは辛いことですが、でもそれは文化、すなわち大いなる世界と繋がることによって克服して、成長していけばいい、というのが私の考える文化的青春なんです。
マツヤマ
しかし彼が克服したのは・・・
元店主
ああもう、そういう展開はやめようよ! 子供のときに受けたトラウマ云々のオチは安易過ぎる! あんな設定なんてない方が普遍的な青春の悩みが描けるでしょう。「ゴーストワールド」とか、優れた文科系青春映画が何年も前に作られているのに、今さらこれはないよね、まったく・・・。あ、でも「ムービー43」でやってたTRUTH OR DAREがホントにあるゲームなんだ!というところが一番面白かったかも。あんなゲームをやるアメリカ人は理解出来ないけどね。
マツヤマ
どうだ、ヤマネくん。「トモダチ作戦」は成功のようだな。ケンタロウさんから充分意見を引き出すことができたぞ。ということで、かかった予算は68億円。オレは30億しか出せないけど、足が出た分どうしようかなぁ。ねぇケンタロウさん。
元店主
カネを請求して来たら「トモダチ作戦」じゃないだろーっ!
マツヤマ
ま、いいから、いいから、みんなでいっしょに歌おう。ウィカンビヒ〜ロ〜ズ、ウィカンビヒ〜ロ〜ズ・・・ヤマネくん、キミは顔がチャーリーにちょっぴり似てるんだから、歌おうぜ、いっしょに!ウィカンビヒ〜ロ〜ズ・・・
ヤマネ
しょうがないですねー、ジブリ顔のマツヤマに言われちゃ。
マツヤマ&ヤマネ
ウィカンビヒ〜ロ〜ズ、ウィカンビヒ〜ロ〜ズ、ジャスフォワンデイ、ウォ〜オ〜オ〜オ〜オ〜オ〜・・・
ヤマネ
ケンタロウさんの顔は誰ににてるんでしょうかー?
マツヤマ
よし、来年探そう!
元店主
探さんでいいっ!
全員
ウィカンビヒ〜ロ〜ズ、ウィカンビヒ〜ロ〜ズ、ジャスフォワンデイ・・・ウィカンビヒ〜ロ〜ズ、ウィカンビヒ〜ロ〜ズ・・・・・

強制起訴シリーズ2014年正月のタイトルは後日発表します

Comments

投稿者 uno : 2013年12月31日 11:11

共感する所は全く無かったのですが、嫌いな映画では無いです。
80年代のアメリカの高校生ってこんなんちゃうの?って。
主人公たちの高校生活があまりにも自分の高校生活から遠すぎて現実感がなく、よく分からないだけかもしれないのですが。
なんせこっちは学ランに自転車ですから。

音楽が個人的にまた遠い。
この映画で使われているスミスやニューオーダーって全く縁が無いんです。
実際、スミスとニューオーダーの曲って1曲も知らない。。。聞いたら、あれか!って分かるかも知れませんが。
私が洋楽を聴くようになったのが1992年あたり。で、80年代のロックってのが中高生の自分にとってピンとこなかった。一世代前の古さを感じたんですよね。
またラジオでもスミス、ニューオーダーって掛からないから接点が無い。
当時はグランジ全盛期。それからブリットポップ(こっちも縁が無い)。
なもんで私は80年代をすっ飛ばして、60年代、70年代に行ったんです。
めちゃくちゃ格好良く感じましたよ。憧れ強すぎて髪を伸ばしてベルボトム穿いてました。。。
尊敬する人ジミー・ペイジ!
だからノスタルジー的な音楽の共感が無い。
映画を見ながら80年代をよく描いてるのかなって思っていたら、鼎談によると全然そうじゃないっていう(苦笑)

登場人物が何かに入れ込んでるって訳じゃなく、熱さが無いのが共感が出来なかった一番の原因なのかな。アメリカの普通の高校生。
映画に入り込めず、外から見ている感じで印象は薄いんですが、嫌ではなかった。
エマ・ワトソンがかわいかったからかな。

投稿者 マツヤマ : 2014年01月05日 10:32

ウノピへ

そうか「嫌いじゃない」という程度か。
ウノピくらいは大絶賛してくれるんじゃないかと思ったんだけどなぁ。
スミスやニューオーダーは、アメリカの商業ロックなんかに比べると、オレは今聴いてもそんなに古臭さを感じないけどね。レディオヘッドとかMobyとかと変わんないじゃん。
ちなみにウノピがベルボトムを穿いていた時代は、その2〜3年前からすでにベルボトムがリバイバルで流行ってたから普通だったと思うよ。今でも穿いてんならべつだけどね。
こうやって、映画と関係ないところまで話が広がって楽しいと思うのが、この映画の良さかもしれないね。ほん・・・、おうっと、ウノピのセリフだった。

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