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2008年08月23日(Sat)

「ひゃくはち」 ☆☆★★★

Text by Matsuyama
父さん、この映画わかった?
何のことだ?
だって、父さん野球に興味ないでしょ。
いや、大体のことは知ってる。
ボールをバットで打って、時計と逆回りに走ればいいんだろ?
でもスクイズとか知らないじゃん。
それは父さんの時代に無かっただけだ。
最近の若いのはそういうマニアックなことにだけは詳しくて、基本的なことに目を向けないんじゃないじゃないかな。
大事なことはスクイズじゃなくて、どうして、あえて時計と逆回りなのかってことなんだ。
そんなこと知ってるの?
ああ知ってるサ。
時計回りっていうのはなぁ、東から昇る太陽を意味しているんだ。
それは地球を中心に考えられているからだ。
じゃぁ何故、野球は逆回りかというと、太陽を中心にした惑星の動き、それが逆回りなんだ。
何だかこじつけのような…。
いや、こじつけなんかじゃない。
太陽の惑星を数えてみろ。
水金地火木土天海冥(後に冥海となり、現在冥王星は準惑星ということに)、1、2、3、4、5、6…あっ!
なっ、わかっただろう。
もうよそう、そんなことはどうでもいいのサ。
なかなかよく出来た映画だったじゃないか。
高校球児の「知られざる真実」がよく描けてる。
いやボクはそうは思わなかったよ。
今どき高校球児がタバコ吸ったり、合コンしてお酒飲むなんてことで「そんなこと知りたくなかった!」なんてオメデタイ人いると思う?
意外に思った?
原作はどうか知らないけど、この監督なんかズレまくってるよ。
野球部の練習風景以外は全然リアリティがないと思ったね。
マッ○○○○、お前スルドいぞ!
たしかに、たしかにヘンなんだ。
父さんもそう思って観ていたんだ。
セリフもおかしいんだよ。
女子大生との合コンが始まる前に「相手が女子大生だからって“気負う”ことないよ」って、「気負う」なんて高校生の言葉としては不自然なんだ。
大体、女子大生と合コンていうのも百歩譲ってアリだとしても、相手は美大生?
もしくは美術に関心のある大学生か?
そこにリアリティがないんだ。
高校球児がデートでダダイズムの展覧会に行ったとしても、如何にも高価そうな図録を買って帰ることにリアリティがまったくないんだ。
監督の知識を全て詰め込みましたって感じてしまうんだ。
言いたいこと言われちゃったけど、そうなんだよね。
光のあたらない補欠というポジションに焦点を置いたのは面白いと思うんだけど、面白いのはそこだけで、それを父さんみたいに「現代の格差社会の問題を浮彫りにした作品」を期待して観に来た人はズッコケるんじゃないかな。
感覚がズレまくってるからね。
「諦めムードが蔓延している時代」って監督の森義隆は言うけど、そんな風に現代社会を意識してなかったら、まぁまぁの作品だと思うんだ。
でも監督自身も元高校球児で2001年に二十歳代でテレビ業界に入って、業界の法則に染まってしまってるんだろうなぁ。
2001年っていえば小泉政権発足時でテレビが完全に体制側の洗脳装置になってしまった時期だから、捏造も多々あるから、ここで描かれるような「従う」ことがしっかりと身に付いてしまった元高校球児っていうのがいちばん扱い易いんだと思うんだ(などと勝手に監督さんを分析しておりますがあくまでも主観です)。
マスコミ業界内部にいるとちょっとは世間を知った気になっているのかもしれないけど、実は何にもわかってない。
他人を蹴落としてでもベンチ入りしようとする。
ライバルがケガで脱落したことを喜ぶなんてことは強豪校野球部では普通の世界なんだろうけど、それを「戦いを諦めて社会を批判するオトナ?(っていう見方もよくわからないけど)」と対比させたら「それは違うだろ!」って思うよ。
言いたい放題だけど、主役の子の父親が息子のベンチ入りが決まって泣いているシーンで父さんも一緒に泣いてなかった?
内容がどうであれドラマに泣かされることはよくあることなのサ。
実際主役の2人も高校生の純粋さが上手く出てたしね。
冷血だけど憎めない竹内力の監督役も良かったと思うし(微笑)、って竹内力の顔を思い出したら父さんちょっと恐くなってきたよ。
あんまり悪く言ったら殴られそうでサ。
でもこの映画ダラダラと長過ぎるよ。
タイトルの「ひゃくはち」は煩悩の数と硬式ボールの縫い目の数っていうのも、なんだかどうでもいいように思うし。
まぁそれは原作の問題か?
でも、それだったら父さんが言ってた「太陽の惑星」のことの方がスゴいと思ったよ。
アレ本当のことなの?
さぁね。
でもひとつ言えることは「辻褄を合わせて捏造することなんて簡単なこと」ってことなのサ。
ところで○○○○、明日は父さん一人で観に行くからナ。
どうしてさ?
お前を闇の世界には連れて行けないんだよ…。

Comments

投稿者 店主 : 2008年08月24日 19:08

マツヤマさん こんちはー。
野球部に限らず、そもそも学校のクラブ活動自体が日本の悪習ともいふべき奇形的なものであり、日本人の間に健全なスポーツを根付かせる事を阻害してゐる、故にクラブ活動は即刻廃止すべき!・・・とは日垣隆氏の主張する所ですが、私も同意見です。
大体、野球がやりたくて野球部に入ったのに、3年間球拾い、とか、まともに野球の試合をさせて貰へない、といふのは間違ってるし、それをみんなが変と思はないのは問題だと思ひます。そんな事だから、日本人の間では、スポーツは特別な人のやるものだ、といふ意識が育ってしまったんでせうね。
しかし、最近では若い人たちが気軽にフットサルチームを作ったりして、上手い下手関係なしにスポーツを楽しんだりしてゐる様なので、時代は変はってきてゐるのかも。そんな時代の流れに逆行する映画なのではないか?・・・などと映画も観ずに考へてゐた私でしたが、マツヤマさんのレビューをみて、その確信を深めました。自分勝手な確信が深まるのは困ったものです。
でも、きっと、これは小泉政権体制とも連動した、国民を従順な奴隷と化すマスコミの洗脳作戦の一環なのだと思ひますよ。体制に対して疑問を持つことなく、その中で盲目に努力さへすればそれなりの満足を得られるよ・・・なんて!やはり、テレビと連動した映画は碌でもないな・・・。
などと、映画も観てないのに、妄想のみが突っ走ってしまひましたー。

投稿者 マツヤマ : 2008年08月25日 00:09

店主様
コメントありがとうございます。
そうですね、「試合に出られなくてもあの苦しい練習を乗り越えられたら社会に出ても役立つ」みたいに劇中で言ってましたが、それが間違いなんですね。世間も社会のことも知らないからこんな映画作っちゃう(笑)。
まぁ全部というわけでもないでしょうが、特に高校野球みたいに巨大なイベントになってしまうと、フェアな精神なんて全くない。今では公立高校が甲子園に行くために全国から選手を集めて、それで優勝なんかして町オコシか地元の誇りかなんか知らないけど、地元民が手放しで喜んでいるようでは誰にも本当の郷土愛なんて芽生えないでしょうね。もうオトナ側が間違ってる。野球でもサッカーでも生徒に自由にチームを作らせて、校内で選抜やって、優勝チームなり校内オールスター・チームなりで全国大会やったらいいんですよ。生徒も練習場の確保なんかで営業力やら工夫も身につくしね。甲子園みたいな聖地もいらないから、それこそオリンピックみたいに持回りで、そこで町オコシしたらいいんです。各都道府県にそれなりに大きな球場もあるでしょう。…ってありえないか…。

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