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2014年11月06日(Thu)

10月29日〜11月4日 etc

みかんさん来る

カフェ・オパールの元スタッフであり、現在は北海道でカフェ・レーゲンボーゲンをやってゐる、みかんさんがやって来ました。オパールにやって来るのは久しぶり!との事で、フルコースでオパールを堪能していったといふ次第。

まづは「今月の珈琲」を飲み、次に私のカイロプラクティックを受ける。みかんさんはここ数ヶ月、腰痛に悩まされてゐるとの事なので、骨盤を調整すると・・・まぁ、治った。仰向けになると腰が痛いので、最近は俯せで寝てゐた、といふみかんさんであったが、その日に我が家に泊まった時は、仰向けで痛みもなく寝られた、と。うむ、なら良かった。まぁ、俯せで寝るのは良くないからねー。
次にトモコのタロットリーディングを受ける。そして、梅本座。みかんさんのためだけに、梅本座を開催。「キリクと魔女」で有名なミッシェル・オスロの「プリンス&プリンセス」を鑑賞。フランスのアニメ。切り絵を使った美しいアニメで、自らもローズウインドウを作ったりしてゐるみかんさん的には、とても興味深かった、と。
で、我が家で一泊した次の日には、オパールでランチ&デザート。うむ、すっかりオパールを堪能したな、みかんさん、どうだった?
「はい。やっぱりオパールは静かでゆっくりして落ち着きます。外は観光客でごった返してゐるのに、ここはまるで別世界ですね」
・・・それは、お客さんがあまり居ない、といふ事かな?
「い、いえ、そんなつもりでは・・・」
でも、さういふ事なんだよなー。

映画の奈落

マツヤマさんから「この本、面白いよー」と貸して貰った「映画の奈落」伊藤彰彦著(国書刊行会)を読みました。確かに、凄く面白い。
これは、“北陸の帝王”と呼ばれた川内組組長・川内弘をモデルにした東映実録やくざ映画「北陸代理戦争」に関する本。この映画は、その公開数ヶ月後に、モデルとなった川内弘が、映画で襲撃されたのと同じ喫茶店で殺される・・・といふ事件があったため、伝説となってゐる一本です。
何故、その様な事件が起きてしまったのか。昔からの映画界とやくざとの関はり、東映が実録やくざ映画路線で当て、警察などと揉めながらも一時代を築き、それが衰退していく中で、現在進行形の抗争を扱った「北陸代理戦争」へ雪崩れ込んでいく・・・その様子を、著者は追っていきます。難航する撮影が、それでもなんとか進むのとともに、やくざ界でも緊張が高まり、不穏な動きが加速していく・・・これら一連の動きは、それこそまるで映画を観てゐる様。
私が興味深く思ったのは、やくざ界のひとたちが“ダメだし”をする基準は、ほぼ誰でも同じだった、といふこと。やくざはこんなことしない・・・だからダメ!とか、これはヤバい、こんなん撮ったらえらい事になる・・・だからダメ!と、ヤクザの人たちが感じる基準はほぼ一定してゐた、といふのです。だから、この映画にも協力してゐた元ヤクザの並河正夫が、この映画の脚本を読んで“ダメだし”をした時は、映画の存続が危ぶまれました。何故なら、それはヤクザ界全てが、この映画はダメ!と判断したに等しいからです。しかし、念のためモデルの川内弘に見せた所、上機嫌でオッケーを出したので、映画の製作が決まったのです。
川内弘は、完成した映画の事も「よく撮れてる」と満足してゐた様ですが、子分たちは顔もあげられなかった、スクリーンを正視できなかった、と云ひます。それはあまりにヤバ過ぎる映画だったからです。案の定、事件は起きてしまった・・・。
川内弘は、強烈な武闘派で、それまでのヤクザ界の仁義や慣行などを、そこまで意に介する人ではなかった様です。だから、ヤクザ界に暗黙で確立してゐる“ダメ”の基準など、眼中になかったのでせう。自分なりの基準で、押し通す。それ故、事件は起きた。それは避け難い事だったのかもしれません。
実は私もまだこの映画は観てゐないのです。是非とも観なければー、と強く思ひました。

双蝶々曲輪日記

十一月文楽公演・第一部「双蝶々曲輪日記」に行って参りました。
久しぶりの第一部(つまり我々的には朝早い)・・・といふ事なんだけど、やっぱ寝不足だと辛い。寛治さんの三味線は堪能しましたが、嶋大夫の語りは、最後の方で寝てしまった・・・。無念。いや、この「双蝶々曲輪日記」、通し狂言で観るのは初めてなんだけど、意外と地味なのね。なんか、顔が立つだの立たんだの、義理が立つだの立たんだの、といった事をゴチョゴチョずうっと言ひ合ってゐる、といふ。まぁ、文楽や歌舞伎にさういった話が多いのは事実ですが。
むろん、面白い事は面白いし、興味深い事は興味深い。にしても私は思ふのですが、日本といふのは昔から、“世間”の存在が大きいんだねー。今なら、“空気”とでもいふか。そんな事をしたら世間にかう思はれるからできん!とか、そんなの許したら世間にどう思はれるか分かったもんぢゃないから許さん!とか、延々そんなやりとりが続く。まぁ、さうやって、お互いなんとか落しどころを探っていって、うまく落せればカタルシス!ってな感じなのだけれど、それはそれで面白いとして、世間がなんと思おうと自分の信じる事をやり通す!ってな感じの人が、あんま居ない。私としては、きみら他人の眼を気にし過ぎ!、他人がどう思おうと自らの信じる所に拠ってやればいいやん、と思ふ所もあるのだけれど、さうすると前述の川内弘の様に殺されるのかもしれない。
ちなみに、自分たちのボスを殺された川内弘の子分たちは、当然!復讐を遂げなければ“顔が立たない”ので、相手のボスを殺らなければならない仕儀に陥る。で、相手のボスを殺るべく潜伏するのだけれど、相手のガードが固くてなかなか手が出せない。そのうち、半年ほどが過ぎて・・・疲労も溜まり、虚しさも募り・・・遂にわざと警察に捕まる、といふエピソードがあって、私はこの話が好き。これぞ落しどころ。現在でも文楽や歌舞伎の世界は生きてゐるんだなぁと思ひました。

時をかける少女

劇場アニメ版「時をかける少女」細田守監督をDVDで観ました。
「時をかける少女」は、原作の筒井康隆のジュブナイル小説を小学生の時に読んだものの、映画やテレビドラマなどの映像化作品はひとつも観た事がありません。まぁ、原作もそんなに面白いと思はなかったしねぇ(ほとんどストーリーを覚えてませんが)。なんでこの話がここまで人気があるのか、イマイチ謎でした。で、いつか原田知世版くらゐは観なければ・・・と思ひつつ時間が過ぎ、なんと最初にアニメ版を観るはめになるとは。でも、いやー、なかなか面白かったです。
これは原作の忠実なアニメ化ではなく、原作から20年後、といった設定。原作の主人公の少女は、なんとこのアニメ版の主人公の少女の伯母さんといふ設定で出て来る。時代もうまく現代に合はしてゐるし、これはうまいやり方だと思ひます。で、なにより注目すべきは、タイムリープの扱ひ方。これがとっても現代的なのです。
我々の様な古い世代にとって、例へば三日前に戻ったとすると、三日前の自分はどこに居る?とか思ってしまふし、過去に戻ったら元に居た自分はどうなるのか?消えるのか?とか考へてしまふので、このアニメの主人公の様に何十回もどんどん簡単に過去に戻ると、え?え?大丈夫か?とか思ってしまふ。放ったらかしにされた世界はどうなるの?と。
でも、このアニメでは、タイムリープはそもそもそんなものぢゃないんだよね。要するに、ゲーム。過去に戻る、といふより、今までの世界をチャラにして、過去からもう一度やり直す、といふ事。このステージがうまくいかないから、前のステージに戻ってそこからゲームやり直す、みたいな。これはこれで、とても面白いと思ふ。
でも、ゲームならいいとして、実際の世界をさう簡単にチャラにしてしまふって、どうよ?といふ疑問はやはり、ある。だからこそ、そこに鈍感な主人公の事を、“バカすぎる”とする評もある訳だけど、さすがに主人公も最後にはそこに気がつく。「私って、最低だ」と。人が一所懸命生きた世界を、自分に都合が悪いからといって簡単になかった事にする・・・といふ事の残酷さと傲慢さに、気がつくのです。そこから、自分にとって本当に大事なもの、かけがへのないもの、それを大切にすること・・・といふ主題に向かっていく。
これはとっても現代的な課題の様な気がします。
いやね、この1年ほどアニメを観てきて、ほんっと時間のループ、とか、同じ事だけど、世界を更新・書き換へる、とかいふ話が多いの。これは、現代においては、宿命とか必然性とかいふものが感じられなくなってゐる事からくるのではないか。いはゆる「大きな物語」なんてものはないし、様々な価値観が乱立してみなで共有できる世界観もないし、情報技術の発達で情報だけは溢れてゐるけれど、それをまとめるものはない。なんでも出来さうで、何も出来ない・・・。そんな世界では、これしかない!といふ必然性や絶対的な宿命をリアルに感じる事ができない。でも、人間は、宿命や必然性がないと、なにか絶対的なものに縛り付けられてゐないと、自由を感じる事もできないし、人生をちゃんと生きる事もできないのです。故に、みな苦しむ。それが、人生のループや、たくさんの世界を生きる、といふ形でアニメのテーマになるのだと思はれます。
何度もループした時間、様々なたくさんの世界、の中で、如何にして自分にとっての必然性・宿命をみつけるのか。

・・・うーむ、「時をかける少女」は、もともとさういった問題を孕んでゐたのかな?それ故に、人気だったとか?ふむ、やはり原田知世版でも観てみるか・・・。

Comments

投稿者 オーソン : 2014年11月07日 20:59

アニメ版の「時をかける少女」なかなか面白いですよね。次は「おおかみ子どものゆきと雪(タイトルあってないかも…)」もぜひ観て下さい。

投稿者 元店主 : 2014年11月08日 02:19

「おおかみこどもの雨と雪」ぢゃなかったか。確か、マツヤマさんもオススメのアニメ映画。細田守監督だね。うん、いづれ観るつもり。でも、その前に「サマーウォーズ」を観ようかと。ま、順番で。
さういへば、細田守は「少女革命ウテナ」の作画や脚本にも参加してるらしいよ。さらに、「涼宮ハルヒ」の劇場版の監督もやる予定だったとか!・・・ま、実現しなかった様だけど。

色々と繋がって面白いな。

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