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2010年07月29日(Thu)

エアベンダー 映画

MOVIXにて「エアベンダー」を観てきました。

そもそもこの映画、アメリカでは大人気のアニメ「アバター」の実写映画化らしく、題名が「エアベンダー」とまるで空気の自販機の様なものになってゐるのは、もちろんジェームズ・キャメロンに題名を奪はれたからで、まるで「ドラえもん」を実写映画化したら「キャットロボット」といふ題名になってしまった、といふ様なもんで、些か可哀相な話ではあります。

さらにこの映画、アメリカでは大不評の様で、興行成績も揮はず、正に題名のみならず売り上げも評判も全てジェームズ・キャメロンに奪はれた形で、監督のシャマランは泣きっ面に蜂です。(しかし、ジェームズ・キャメロンは元嫁にアカデミー賞を奪はれましたが。これぞ因果応報でせうか)
しかし、私はシャマランのファンですから、全力でこの作品を擁護したい。さういふ想ひで、キーボードに向かってをります。

基本的に、原作ファンからのクレームは全て無視してよいでせう。原作ファンが、実写版に満足する事などあり得ない事です。大体、客観的に実写版を観る事もできないでせう。だから、キャラクター造形に深みがない、ストーリーが平板化してゐる、などといふ原作ファンからのクレームは、それがいくら正しからうと(実際、正しいと思ひます)、私は無視します。
それらを無視しても残るのが、キャストの白人化問題です。

このアニメ、原作では舞台は古代アジア風の架空の場所で、出て来るひとたちはみんな有色人種、といふ異色のアニメなのださうです。それが、なんと!この映画では主役級の人たちはみんな白人!そして、悪役はみんなインド系の人々、といふ異様な構成となってをります。
これに対して、「いまどきこんな人種差別的な映画はない!」といふ形で全米で抗議が起こり、それが今猶続いてゐる、との事なのです。
う〜ん、確かに酷い。これは一体どういふ事なのか。

さて、ここで考へてみて下さい。これはあのシャマランの映画なのです。一筋縄ではいかない、シャマランの映画。そもそも、こんな白人優位の配役、インド系のシャマランでなければできません。ジェームズ・キャメロンでは絶対にできない。ここにはある種の意図が込められてゐる、とみて間違ひないでせう。
それは、黒人がやるミンストレルショー、みたいな批評意識ではないでせうか。

実際、この映画を観て真っ先に目をひくのは、(主役のアンを除いた)白人たちの無様さです。彼・彼女らは色々と太極拳なんかの型をやるのですが、これが見事に決まってゐない。みっともない事はなはだしい。
また、主役級を白人が占め、有色人種を従へて、東洋の武術や哲学の真似事を披露するといふのは、気持ち悪くて仕方が有りません。敢て、この気持ち悪さを押し付けてゐるとしか思へない。ここに、シャマラン一流の批評意識、或は悪意を読み取るべきではないか。まー、ファンならば。
(だってある種の気持ち悪さを正視し続けるのが、シャマラン映画の見方ではないですか)

それに主役のアン役のノア・リンガーも、白人とはいへ可愛いし、ズーコ王子役のデヴ・パテルは、彼は「スラムドッグ$ミリオネア」の主役だった青年ですが、見て居て思はず応援したくなる雰囲気を横溢させた好演ぶり。なんとか試練に打ち勝ち、賞金をゲットしてミリオネアになってほしい。そして、「ジャイホ〜」とかいひながらみんなで踊り狂ってほしい、と、私は妄想しながらスクリーンを観てゐました。

そんなこんなで、工夫を凝らせば面白く観ることも可能なこの映画。て、いふか、私は別に工夫を凝らさなくても面白く観たんですけどね。それなりに修行を積んだベンダーですから、私も。
続編あり、の様なので、是非続編を観てみたい。そのためには、もちっと流行って貰はないと困る。ただ、続編はもっと正統的にシャマラン節全開にて撮ってほしい、と切に願ってゐるのでした。

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