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2009年06月17日(Wed)

リラプス 音楽

エミネムの新作「リラプス」を聴きました。

エミネム・・・、正直言って、私はそれほど好きではありません。むろん、彼が非常にスキルフルなラッパーで、現代最高のMCの一人である事は認めますし、白人でありながら、よくヒップホップ界で頑張ってゐるよなァ、と感心する事もしきりです。また、ドレが毎回全面バックアップでトラックを提供してゐるので、それも気になる所です。
しかし、それでも、まづ彼の声が好きになれないし、なにより、彼の表出する世界観に馴染めません。一言でいへば、白過ぎる!
自覚的にやってゐるのでせうが、あまりに白人的、ロック的で、どーにも好きになれないのです。

で、今回の新作。話題になってゐるのは知ってゐたのですが、ま、軽〜く、スルーするか。と、思ってゐたのです。が、フトした事で、このアルバムからのシングルカット「3 a.m.」を聴いてしまったのです。
と、これが、また・・・。

YouTube - Eminem - 3 a.m.: Explicit

メチャメチャかっこいい!思はず、何だこれは!?と身体を起こしたぐらゐで、ドレのトラックは殺人級だし、私の嫌いなはずのエミネムの声も、え?Bリアル?と、一瞬思ったほどキレキレで。サイプレスヒルかと思ひました。

そこで早速、アルバムを購入。聴いてみたといふ次第です。
うーむ、これは・・・、よく出来てゐる。
なんといふか、近年珍しい、ゴリゴリのハーコーヒップホップアルバムです。ドレのトラックは禁欲的で緊張感に溢れ、その上で跳ね回るエミネムのフロウは、驚くほどスキルフルです。雑誌「bmr」371号での高橋・小林両氏の対談によると、今回のエミネムのラップは、マルチシラブル(ラインの始めや最後だけで韻を踏むのではなく、ラインの中で複雑に踏みまくる)を究極まで推し進めたものらしく、ある種ヒップホップの可能性を極北まで押し広げたもの凄いものとなってゐる様です。(残念ながら、英語の分からない私は、マルチシラブルの凄さがそこまで実感できないのです。悔しい!)

そんなこんなで、非常に感心して聴いた「リラプス」ですが、それでも、やはり、アルバムを通して聴くと、エミネムの声がちょっときつい。それに、やはり、表出してゐる世界観が白過ぎるー!

サイコキラーやドラッグ中毒、セレブを誘拐して陵辱するネタ、それらの皮肉の効かせ方、など、殺伐とし過ぎてゐる様な気がします。前出の「bmr」の対談によると、現在アメリカでは残虐ホラーが大流行りしたりと、非常にポップカルチャーが殺伐としてゐる様で、エミネムはそれらを見事に掬いとり、エンタテインメント化した稀代のポップスター、といふ事になるのですが、それでも、私に言はせると、そんな殺伐としたアメリカのポップカルチャーなんて終はってゐるし、(アメリカ発の)世界恐慌とともに早く消えてなくなれ、てなもんなので、どうにもしっくりきません。
だから、エミネムがいくらこのアルバムでヒップホップの可能性を押し広げた様な超絶的なライミングを披露しようと、それはみなが言ふ様にヒップホップの未来を提示したものといふよりは、やはりそれは終末期のマニエリスムなのではないか、と思ってしまふのです。マニエリスムはマニエリスムで、むろんカッコいいのですが、やっぱ、ヒップホップは死にかけてるのかな?と。

さういった複雑な想ひを抱いてゐる所に、クイックとクラプトのコラボ作「BlaQKout」を聴きました。

YouTube - DJ QUIK & KURUPT "DO YOU KNOW' DIR: DBAKER "BLAQKOUT (CLICK HQ TO WATCH N HD)

うわはー、最高!たまらん。
これは、ヒップホップの可能性を押し広げるものではないかもしれません。
が、私にとっては、正にこれこそ THIS IS HIPHOP です!
ヒップホップは、なかなか死にさうにありませんかねェ。

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