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2009年04月21日(Tue)

スラムドッグ$ミリオネア 映画

MOVIXで「スラムドッグ$ミリオネア」(ダニー・ボイル監督)を観ました。
第81回アカデミー賞の作品賞を始め8部門(だったかな?)を受賞した話題作・・・といふ事で、つまらないかな?とも思ったのですが、この作品はアカデミー賞云々の前から観たかったので、やはり、観に行きました。

インドの過酷な現状を、一人の青年のクイズショー出演と絡めて、ポップにエンタテインメント性たっぷりに描いた・・・と、まぁ、こんな作品な訳ですが、かういった作品は、なかなかに評価が難しい。
まづ、監督がイギリス人のダニー・ボイル、といふのが難しい。御存知の様に、イギリスはかつてインドを植民地として支配してゐました。現在のインドの過酷な状況は、当然イギリスの長年に渡る植民地支配にも責任の一旦がある訳です。それなのに、インドの酷い状況を、こんなに面白く描いていいのか?といふ疑問が、ある。実際、この映画、面白いのです。
例のチャカチャカ切り替はる映像は、非常に映画をポップにしてゐて、といふ事はつまり、軽〜くしてゐて、どんな過酷な事件も心にそれ程の傷を残さずにみせる事を可能にしてゐます。我々は安心して、インドの過酷な現状を堪能できる、と。

いや、むろん、それはそれでいいんですよ。さういふやり方もあるでせう。なんてったって、「トレインスポッティング」の監督さんな訳だし(それにしても、彼はトイレに飛び込むネタが好きですねー)。
とにかく、なんでも、この様な状況がある!と世界に知らしめる事は意義ある事です。そのためには、ポップであらねばならない。といふ考へもある訳ですから。
が・・・、主人公たちがねぇ、英語を喋ったりするんですよ。むろん、インドの上流階級は英語を喋るでせうが、スラムの子どもたちが英語で会話するのか?・・・と、引っ掛かったりするんですよねー、私は。
我ながら、やっかいな性格です。

しかし、スラムの映像はなかなかに素晴らしかったし、街の様子も興味深い。何より子どもたちの顔が良かった。そして、音楽が抜群にカッコ良かった。それでいいんぢゃないのか、娯楽作品なんだしさー、とか、様々な想ひを頭の中で交錯させながらラストを迎へました。

ラスト、といふか、ホントの最後。話が終はった後です。そこで、出演者の人々がみな一斉に踊りだしたのです。さう、例のアレです!
まー、これはインド映画の文法に則ってゐる訳ですが、これがまた素晴らしかった。なんか、ゴチャゴチャ考へてゐた事が全て吹っ飛んでしまひました。
自分はやはり、西洋的なものの見方に縛られてゐたのかもしれない。どの様な状況も全て肯定してしまふ、宇宙的、無時間的な視点に立った猥雑なエネルギーに満ちてゐる、これがインドなのかもしれない。映画の中でも言ってゐたけれども、今やインドこそが世界の中心、なのかもしれない。我々は、考へ方のチェンジを迫られてゐるのかもしれない。

さきほど音楽が抜群に良かった、と書きましたが、音楽を担当してゐるのは、インドのモーツアルトといはれるA.R.ラフマーン。彼の音楽は常にカッコ良いのですが、今回はそんな彼の音楽の中に混じって、M.I.Aの「ペーパー・プレーンズ」が入ってゐました。これがまた、ドンピシャだったんですねー。
M.I.Aといへば、スリランカ系のイギリス人で(タミル人であり、内戦の影響でイギリスに亡命してきてゐる)、世界中のいはゆる第三世界といはれる国々で起こってゐる音楽の様々な新しい流れ、バイリ・ファンキやクドゥルーやボルチモア・ブレイクスなんか、を象徴する様な存在です。このM.I.Aの音楽がここまでドンピシャといふ事は、この映画もその新しい流れに属してゐるのかもしれない。となれば、アカデミー賞受賞もオッケー、英語喋らうが、ポップだらうが、全てオッケー。世界にはやがて大きな“チェンジ”がやってくるだらう。そこに至る様々な流れが、あちらこちらで顕在化しつつある。それを、その転換点を、その目でしっかり目撃せよ!

てな風に捉へる事も可能ですので、この映画、オススメでございますー。

Comments

投稿者 さえこ : 2009年05月06日 23:25

おもしろそうですね-。
オススメされてみます!

投稿者 店主 : 2009年05月07日 00:28

さえこさん こんにちは!

むろん、「スラムドッグ」はオススメなのですが・・・、それよりも、「グラン・トリノ」はご覧になられましたか?

もしまだなら、とりあへず、「グラン・トリノ」を!
恐ろしい程の傑作です。
これを観なければ、始まりません!!!

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