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2005年10月25日(Tue)

コープス・ブライド 映画

 TOHOシネマズ二条にて『コープス・ブライド』(ティム・バートン監督)を観る。人形アニメである。自らの結婚式の前日に、誤つて死者に求婚してしまつた主人公を中心に、生者と死者が入り乱れてテンヤワンヤ、といつた内容。音楽なども含めて、ティム・バートン一党の美意識が貫かれ、観てゐて非常に気持ちの良い映画であつた。

 さて、ティム・バートンはゴスの人と言はれるだけあつて、もちろんその美意識もゴスそのもの。生者はあくまで蒼白く、誇張された身体的特徴の故に死者のやうだし、生者の世界も、巨大な古い洋館を舞台に深閑として死者の世界のやうである。色彩もモノクロで、暗鬱としてゐる。対して、死者たちはメチャメチャ陽気。お互ひの骨を交換しながら歌ひ踊る骸骨たちや、欠損し腐乱した身体をものともせず、食べ、飲み、騒ぐ死体たち。世界も色彩に溢れてゐる。この二つの世界が入り交じる事によつて現出するのがティム・バートンズ・ワールドだ。さういへば『チャリチョコ』でも、現実世界及びそこの住人たちが妙にCG臭くて、逆にチョコレート工場の中の方にリアリティがあり、その二つの世界の衝突から見事な映画的リアリティが立ちあがつてきてゐた。ティム・バートンにとつては、生者の世界より死者の世界が、現実世界より虚構世界の方が、よほどリアルで生彩がある、といふ事だらう。そこが、オタクと言はれる所以だらうが、自分の好きな方の世界に閉じこもる事はせず、対立する世界も取り入れ、衝突させ、混じり合はせる事によつて、新たなリアリティを獲得する所が、やはりアーティストなんだなー、と再確認した。

 人形たちの造形もなかなか素晴らしく、特にコープス・ブライドとエリザベートは凄く可愛らしい。ま、水兵の格好をした子供の骸骨が一番可愛かつたんですけど。

 またしてもダニー・エルフマンの音楽が素晴らしかつた。昔からダニー・エルフマンは良かつたけれど、最近は一寸凄いんぢやないか? 新境地を開いた、といふ気がします。

公式サイト
http://wwws.warnerbros.co.jp/corpsebride/

Comments

投稿者 miumiu : 2005年10月31日 14:02

こんにちは。
一瞬ビクトリアの父親がビクターのことを「ヴィンセント」と言い間違えるところでバートンの同名処女作を思い出しました。
ヴィンセント・プライスに憧れながら自分の世界に引きこもるあの主人公は絶対バートン自身だったと思うのですが、ビクターはその成長した姿=今のバートンなのかなぁと勝手に推測しながら観ていました。
この世のものじゃないはずのコープス・ブライドがやたらリアルな存在に感じられてしまってなんとも切なかったです。

投稿者 店主 : 2005年11月01日 00:17

miumiuさん こんにちは。

>一瞬ビクトリアの父親がビクターのことを「ヴィンセント」と言い間違えるところで

あれ?そんなシーンありましたッけ?しまつた!気がつかなかつた!!・・・実際のところ、1回観ただけでは見逃し・聞き逃しばつかりですわ、私は。やはり、明石散人が言ふやうに、映画は本来2回続けて観るもの、なんですかねェ。
にしても、ティム・バートンは自分のお嫁さんの頬を破るのが好きですねー。

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