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2005年09月26日(Mon)

チャーリーとチョコレート工場 映画

 TOHOシネマズ2条にて『チャーリーとチョコレート工場』(ティム・バートン監督)を観る。いつ、どんな時でもどのやうな場所でも、観たい映画はどんなもの? と訊かれたら、こんなやつ! と答へるやうな映画。私にとつては正にそのやうな1本であつた。

 とにかく最初から最後まで、その美術、音楽、人物造形、ストーリー、セリフのひとつひとつ、要するにそこにある“世界”そのものが素晴らし過ぎて、ほとんど気も狂はんばかり、いや、実際に上映時間中は気が狂つてゐたかもしれない。正気に返つた今となつては、その時の様子はどうにも思ひ出せないが、私は完全に『チャリチョコ』の世界に入つてゐたので、多分席のところでウンパルンパに合はせて一緒に踊つてゐたと思ふ。私は最前列に座るので、後ろの座席の人たちはみな迷惑した事だらう。ここで謝罪しておきます。すいませんでした。

 個人的には、ダニー・エルフマンの作る(そして歌ふ)音楽に完全にやられてしまつた。むろん、ウンパルンパのダンスシーンの音楽の事だが、オインゴ・ボインゴ時代を彷彿とさせる狂つたポップ感覚に私は陶然と酔つてしまつたのである。だから、一緒に踊つてしまつたんだな、きつと。

 さて、この映画には、ロアルド・ダールの原作にも、ジーン・ワイルダー版の映画にもない、完全にティム・バートンによるオリジナルな話がつけ加へられてゐる。それはウィリー・ウォンカと父親との和解の話だ。この部分は、前作『ビッグ・フィッシュ』を思はせる訳だけれど、『ビッグ・フィッシュ』がダメだつたババさんはもちろんのこと、『ビッグ・フィッシュ』に大いに感動した私まで、蛇足ではないか? と、首を傾げざるを得ないもの。んー、しかし、ま、他の部分が圧倒的に素晴らしいし、こんな所は無視無視! と思つてゐたのだが、トモコに「何を言つてゐるのよ! あの部分こそこの映画のハイライト、ウンパルンパのダンスに匹敵するぐらゐの名シーンよ!!」と言はれたので、一寸、考へ直してみる事にした。

 ティム・バートンがインタビューで語つてゐるやうに、あの話をつけ加へたバートンの意図は、何故ウィリー・ウォンカがあのやうな人間になつてしまつたのか、を説明することにあつた。ま、父親との確執・家族愛の渇望、などが、ウィリー・ウォンカをしてあのやうな歪んだ(?)人間にしてしまつた、といふ事なのだが、それはともかく、考へてみれば、出世作『バットマン』においても、バートンは同じやうな事をしてゐるのだ。バートン版『バットマン』の特徴は、なぜバットマンはああなつてしまつたのか(なぜ普通の人間があんな変なコスプレをして悪と闘はなくてはならないのか)、といふ事を説明したことにある。つまりバートンには、世の中で奇人・変人と見られてゐる人たちの存在に、正当な理由を与へたい、といふ強烈な欲求があるのではないか。それは、バートン自身が奇人・変人(ナード)と見られてきた事と無関係ではないだらう。そして、この事がバートンの創作意欲の源になつてゐるのなら、あのシーンは蛇足どころではなく、正にバートン作品の核心をなすシーンといふ事になるのであーる! ドドーン!! 

 ま、それはともかく、小憎らしいガキどもが次々と酷い目に会ふといふ事ほどの痛快事がこの世にあらうか、いや断じてあらへん! と、私は強く断言したい。わーい、『チャリチョコ』最高だー! 

Comments

投稿者 miumiu : 2005年09月30日 14:47

こんにちは、昨日観てきました。
事前に“あのウンパ・ルンパはCGで増やしたんじゃなくて1人ずつ別々に撮った”と聞いてたので、いざあのダンスが登場した場面では“よし!違いを見極めるぞ!!”とばかり目を皿のようにして観ていました>が、多すぎて違いがよく分からなかった・・・。
*****以下ネタバレです*****
'71年版はクソガキどもが結局どうなったか分からないまま終わるのが相当にブラックだと思いました・・・。

投稿者 店主 : 2005年09月30日 20:01

ウンパルンパの件のみならず、リスまで(CGに頼ることなく)調教したといふのだから、その凝りやうは凄いですね。だからこそ、あの世界の素晴らしさがある訳だ、と納得。
にしても、私は昔のやつは観てゐないのですが、「おもろい!」といふ報告が続々と集まつてをります。是非観たいものです。

投稿者 マダム・クニコ : 2005年12月23日 00:50

>小憎らしいガキどもが次々と酷い目に会ふといふ事ほどの痛快事がこの世にあらうか、いや断じてあらへん!

私はちょっとやりすぎ、と思いましたが・・・。
いろいろな解釈が出来るので、面白い作品だと思います。 

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