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2017年02月23日(Thu)

ミス・ペレグリンと奇妙なこどもたち 強制起訴シリーズ

起訴者: ヤマネ

強制起訴シリーズ75弾

ジェイク(エイサー・バターフィールド)は内省的で優しい青年。故に、フランクで階層差別的なアメリカ社会になじめず、孤立していた。ある日、そんなジェイクの大好きなお爺ちゃん(テレンス・スタンプ)が、何者かによって目玉を抉り採られる形で殺された!現場に駆けつけたジェイクは、そこで恐ろしげなモンスターを目撃する。
実はジェイクのお爺ちゃんエイブは、子供の頃にミス・ペレグリン(エヴァ・グリーン)という女性によって運営される孤児院に居たのだという。そこでは、奇妙な能力を持ったこどもたちがたくさん暮らしていた・・・という話を子供の頃から散々ジェイクは聞かされていて、小さい頃は信じていたけれど、成長してからはさすがに・・・となっていたのだが、あのモンスターは?ジェイクはミス・ペレグリンと奇妙なこどもたちを探す事にする・・・。

ヤマネ
傑作!・・・とまでは行かないけれど、まぁまぁ良かったんじゃないですか。ボクは楽しめましたよ。ティム・バートン、さすがの安定感。
マツヤマ
オレは・・・微妙かなぁ。興味のある・ないのちょうど境界にある様な映画だったな。むしろ、ちょっと興味のない方にずれてるか。
元店主
私は・・・まぁ、楽しめましたよ。ってか、前作の『ビック・アイズ』が私はダメで、ティム・バートンもうダメやん、ヘレナ・ボナム=カーターとも別れたみたいだし・・・と、思っていたので、ちょっと嬉しかったです。ティム・バートンはこんな作品ばっかり撮ればいいのに、と思いました。
ヤマネ
ティム・バートンはこういったダーク・ファンタジーを撮るの、上手いですよね!現実世界と異界との繋ぎ方がスムーズというか、現実世界よりむしろ異界の方がずっと魅力的に描けてるとことか。
マツヤマ
ダークファンタジーと言っていいのかどうか分からないが、こんな感じの作品では、オレはデル・トロの『パンズ・ラビリンス』が好きなんだよな。現実世界と異界との関わり方の大小、軸足をどちらに置くか、とか、そこらがポイントなのかな。
元店主
私は『パンズ・ラビリンス』は観てないんですが・・・同じデル・トロの『クリムゾン・ピーク』は観たんです。ダークファンタジー・・・というか、むしろゴシックロマンスなんですけど、あれと較べると、『ペレグリン』の方がずっといい。『クリムゾン・ピーク』のゴス世界もかなり良かったんですが・・・でもやっぱティム・バートンのゴス世界の方がしっくりくるんですよね、個人的に。
ヤマネ
ボクもそうかも!『スリーピーホロー』とか大好きですもん。でも・・・それに較べると、今回の『ペレグリン』はゴス度がかなり落ちてませんか?
元店主
まぁ、そうだね。そこが弱い所で・・・ゴス度、ブラックユーモア度がかなり薄い。ティム・バートンも歳とって丸くなっちゃったのかねぇ・・・。それでも、やはりこういった世界観は、基本的に好きなんだな。周りではあまり評価の高くなかった『ダーク・シャドウ』とかも、私は好きだったし。
ヤマネ
同じ一日を繰り返すループの中に、古めかしい屋敷があり、そこには異能・異形のこどもたちが暮らしている・・・、いいですね!ボクも大好きっす!
マツヤマ
オレはそこらにはあんまり興味がないから、前半は退屈だったな。むしろ子供たちがそれぞれの異能を活かして闘う後半が良かった。X-MENよりこっちの方が好きだったな。
ヤマネ
ええー、後半はむしろつまらないですよー。ってか、ティム・バートンって、ほんとアクション下手だなぁ、とか思いましたよー。遊園地での戦いとか、ちっともハラハラしないし。
元店主
まぁまぁ。私は、海底に沈んだ豪華客船へと、エマとジェイクが降りていく所が好きでしたね。あそこがエマの秘密の隠れ家、ってのが、いい。最初の、廃墟になったペレグリンハウスも良かったです。なにより、ペレグリン役のエヴァ・グリーンが素晴らしかったです!
ヤマネ
エヴァ・グリーンはあの世界観にバッチリあってましたね!あの、目力!スタイル!喋り方!素敵!・・・だからこそ、彼女が出て来ない後半は物足りなかったんですよね・・・。あと、後ろ頭に口のある女の子、不細工な可愛さがたまらなくいい感じで、大好きでしたー。
マツヤマ
エヴァ・グリーンはカッコ良かったよなぁ。『悪党に粛清を』でもダークな役柄だったが、ああいった感じが凄くあってるな。あと、オレ的には袋を被ってる双子が最高だった。3次元の中に2次元が混じり込んでる絵面がおもろい。袋を外した時の中身とのギャップにも笑えたしな。あとは・・・やっぱサミュエルが相変わらずオモロ過ぎるだろ。
ヤマネ
ええー、サミュエルはいっつもあんな役ばっかりで、もうウンザリですよー。悪役はもっと他の人が良かったっすー。マツヤマさん趣味わるーい。
マツヤマ
なにを!・・・まぁ、基本的にあんまりこの世界観自体は趣味じゃないんだよな。だから、あんまり身を入れて聞いてなかったからよく分からなかったんだが・・・ループから出たら彼らは急激に時に追いつかれて老衰して死ぬんじゃないの?なんでループ出たのに老衰しないんだ?そもそも、ペレグリンは子供たちを守っている訳だが、それと同じ一日を永遠に繰り返すのって、あんまり関係ない事ないか?
元店主
確かにループの事は分かりにくくて、私もよく理解してないんですが・・・。ループが壊れても、彼らがもともと居た時代なら、それからそのまま普通に歳をとっていくだけだと思うんです。ただ問題は、ループから(自分たちがもと居た時代と)違う時代に出てしまった場合で・・・ループは永遠に同じ一日を繰り返している訳ですが、その間もループの外(つまり我々が居る世界)ではどんどん時間が経っている訳です。で、その進んでしまった世界に出てしまうと、時間に追いつかれる・・・という設定だと思うんですね。彼ら・彼女らは、確かにペレグリンを救うために、進んでしまった時代、つまり我々の現代に出て来た訳ですが、まぁ、闘ってペレグリンを救う間の短時間ですから、大して影響を受けなかった・・・という事ではないでしょうか。戦いが終わったら、急いで帰っていきましたしね。あと、ループは普通の流れる世界から隔絶されているので、ホロウ(子供たちの目玉を狙っているモンスター)から身を守れるんですよ。たったひとつの出入り口さえ見つからなければ。要するに、ループ自体が異次元にある隠れ家なんです。多分。
マツヤマ
ふーん。でもなぁ・・・そんな歳もとらず、同じ毎日を繰り返して、永遠に死ぬこともなく生き続けるって・・・苦痛じゃないか?そんな人生、嫌だろ、普通。
ヤマネ
いや、だ・か・らー、ティム・バートンの“普通”は、世間一般の“普通”とは違うんですってば。世間一般の“普通”の社会に馴染めない、異端・異形の人たちの救済の地が、ティム・バートンの異界なんですから。そして、そここそが、彼ら・彼女らにとって“普通”なんです。
元店主
そうだね。世間一般の“普通”に馴染めない人は、そういった自分の問題を直視し、それを克服して、世間一般の“普通”に馴染め、それが大人になる事だ・・・みたいな事が、世間一般では“普通”に言われる訳だけど、ティム・バートンは絶対にそんなこと言わないよね。でも、前作の『ビック・アイズ』ではそれっぽいこと言ってる映画になってたから、ビックリしたんだよね・・・。
ヤマネ
ループって、一種の引きこもりですやん。それを敢て肯定する・・・ってのが、ティム・バートンのブラックユーモアなんじゃないですか。
マツヤマ
でもな、自分のこどもたちが実際に引きこもりになったら困るだろ。オレは、そういった考えはそう簡単には肯定できないな。
ヤマネ
あー、もう、マツヤマさんって、保守的なオヤジになりましたねー。そんなだから、アニメやゲームに理解がないんですよー。息子さんが可哀相ですねー。
マツヤマ
ふん!オレに言わせれば、2次元の美少女に萌えたり、ゲームに熱中するお父さんを持つ、娘さんが可哀相だけどな。
元店主
まぁまぁ、確かにアニメやゲームにはループものが多く、ループ的なものは愛されてますが、大抵は最後はループから外に出ますよね。「ビューティフルドリーマー」にしても、「エンドレスエイト」にしても。それが、この「ペレグリン」では、ループの中の美少女と過ごすために、敢てループの中に戻る、的なニュアンスがあるじゃないですか。ま、実際はあの後もループの中に引き蘢るのかどうかは分からないんですが・・・でも、そこが案外、過激な所かもしれませんね。
ヤマネ
普通のエンタメは、人生は死があるから生が輝く、闘う価値がある、というのが基本ですから、そういったものと違う価値観の作品があってもいいと思うんです。それが、ある種の人々の救いと癒しになるのであれば。だから、ティム・バートンには日和らずに、これからもガンガンこういったダークファンタジーを撮ってもらいたいですね!・・・てな訳で、来月の課題作品は?
元店主
うん・・・じゃぁー、神山健治の『ひるね姫』いっときますかー。
マツヤマ
うわ!アニメじゃん!!・・・って、オレは別に気にしないけどな!
ヤマネ
今年はアニメ映画豊作の予感なんで、積極的にアニメを選ぶのもいいかもしれませんね!では、また!

Comments

投稿者 uno : 2017年02月25日 16:55

けっこう面白かったです。
エヴァ・グリーンの格好良さがたまりません。また、パイプをくわえて立った姿がクールで。
私はマツヤマさんと同じで、布を被った双子が好き。何の能力があるのかなー、と思ってたらメドゥーサかい!すごく愛くるしかった。
ところで、ループに関してなんですが、現代ブラックプール(ノーザンソウルの聖地の一つ!)にやって来たとき、誰かが「〇〇時までに戻らないと、歳をとってしまう」って言ってて、数時間は影響を受けないようでした。結構、雑やなー(笑)
繰り返しではあるけれども、行き場のない子供たちが毎日平穏に過ごすことが出来る世界を、ペレグリンが守り続ける姿にグッときました。
木から落ちるリスを助ける場面、ユーモアがあって、すごく良かったなあ。

投稿者 オーソン : 2017年02月26日 17:27

まあまあ、楽しめたかと。ただ、昔のティム・バートンのような毒っけは薄かったかなあと感じてしまいます。自分たちの閉じた世界に戻るっていうのは、ティム・バートンらしくていいんですが、、、
最後の一連の闘いがイマイチ盛り上がらなかったです。ガイコツ軍団と双子は好きですが。…双子の能力、もっと活用したらいいのに。あと、後ろに口のある子も好きでしたね。
カラクリ人形同士を戦わせるシーン良かったですねえ。
あと、序盤の爆撃シーンは好きでした。あのシーンは、ちょっと切なく感じてしまいます。異端者が寄り集まって、音楽をかけながら外の世界からの攻撃を受ける。直前にループするから実際には何も起こらないけど、いつもこの光景を観るのかと思うと…。ティム・バートンの根幹ってこうゆうところなのかなあと深読みをしてしまいました。

投稿者 元店主 : 2017年02月27日 03:46

うのぴへ

あ、あそこブラックプールだったのか!・・・つーても、現代だからもうメッカはないよね・・・。
木から落ちるリスを助ける場面・・・、私は、毎日これを繰り返してるのかと思って、ゾッとしたシーンだったよ。それを、ユーモアがあってすごく良かった、と思えるウノピって・・・絶対にループで楽しく暮らせるよ!


オーソンへ

からくり人形のファイトな。あれ、確かにめっちゃ良かった。シュヴァンクマイエルかヘンリー・セリックか、って感じだったね。
にしても、爆撃シーンに切なさを感じるとは・・・オーソンはすでにループの住人なのかもな。やっぱ、出たら時間に追いつかれるの?

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