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2014年04月17日(Thu)

LEGO®ムービー []

Text by Matsuyama

デンマーク発祥のレゴブロックによって構築された世界。まるでストップモーションアニメのように作られた映像はすべてCGによるものではあるが、そのすべてを実物のレゴで組み立て再現できることが、レゴ本社によって検証済みだ。

バットマン、スーパーマン、グリーンランタン、ミュータント・タートルズ、スターウォーズ、ロードオブザリング、ハリーポッターetc、ジャンルや配給元の壁を飛び越えた競演(ディズニー系はやはりNG?)も、それらのシリーズセットを網羅しているレゴだからこそ成せる技なのか。それぞれの映画世界の小ネタも満載ということだけど、オレは大半を観てないから笑えなかったりするのね。あ、でも、ガンダルフとダンブルドアのこと何も知らないけど、キャラも名前も似ててややこしいことをギャグにしてイジってるのには笑えたけど。
登場人物の全てがレゴのミニフィギュアなので、感情移入はイマイチ。さらに全ての舞台セットもレゴ、シャンプーの泡もシャワーの水も爆発の煙も海の波も全部、ぜーんぶレゴということで驚嘆はするけど、お話自体には深く入り込むことが出来なかった。これはあくまでもオレの場合ね。それを少しでも楽しむ条件としては、子供時代にレゴで遊んでいたり、大人になっても趣味として楽しんでいるか、もしくはオレのように、子供時代は安物のダイヤブロックでしか遊んでなくても、息子ができて初めてレゴに触れたとか、とにかく少しはレゴを知っていてこそ楽しめる映画なのだと思う。ただし、結末が「トワイライトゾーン」っぽい凝った作りになっていて、それまでの「何となく入り込めなかった」という思いも伏線として受け入れることができる。キズや割れなどの質感、リアルなサイズの組み立てマニュアルなども含めて「レゴとはどんな玩具か」を完璧に描いたのはスゴい、という以外にも、メッセージもなかなか素晴らしい。

さて、ブロック・シティに住む青年エメットは自分を持たず、人の意見に合わせてばかりの超平凡な建設作業員(の量産タイプ・ミニフィギュア)。彼は毎朝決まった時間に起床し、シャワーの浴び方、朝食の食べ方に至るまで、まるでマニュアル通りの生活。エメットの住む町では誰もがスタバ的なチェーン店で、ぼられてるのにも気付かずに1杯3,700円のバカ高いコーヒーを買い、くだらないバラエティ番組「僕のズボンはどこ?」で笑い、能天気なヒット曲「すべてはサイコー」が大好き。そして、そのすべてを供給している会社の“おしごと社長”の正体は、世界征服を目論む“おしごと大王”。その計画は、いずれ来たる“タコスの日”に、自分の思い通りの完璧に統制された世界を作り上げること。そして、その計画を阻止しようとする謎の集団に、ひょんなことから救世主として祭り上げられ、というか巻き込まれたのがエメットだった。
でもバラエティ番組が大好きで、新規オープンの店に行列を作り、マックもスタバも村上春樹も大好きで、エメットとさほど変わんない人は日本にもアメリカにも大勢いるわけで、べつに悪いわけではないけど、それを客観的に見たら、ぜんぜん「すべてはサイコー」じゃないことが分かるだろう。本当は誰もが別々の好みと自由な発想を持っているはずで、それがダサいと言われるものかもしれないし、なんの役にも立たないものなのかもしれないけど、それが自分だ。わざわざ自分探しの旅に出掛けなくても、そこに自分はある。なんて、じわじわと感動できるラストになっていた。
オレもなんとなく大人になってしまったけど、自分の子供の大切を芽だけは摘んでしまわぬよう大切に育てようと心に決め、劇場を後にした。一緒に観ていた息子は2週間経った今でも歌っている。

すべてはサイコ〜!

140417.jpg

思惑通りなのか、物欲はちゃんと刺激され、レゴ シリーズの「おしごと大王のアジト」買いにヨドバシでも行こうかと・・・でもメチャ高い。

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