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2013年10月10日(Thu)

ロード・オブ・セイラム []

Text by 元店主

1692年。アメリカはマサチューセッツ州のセイラムで、200人近い女性が魔女として告発され、25人が魔女として焼き殺された。この実際にあった史実を元に、現代のセイラムに魔女の呪いが甦る!・・・といったホラー映画。監督は元ホワイト・ゾンビのリーダーで、今も現役のロックミュージシャンであり、「マーダー・ライド・ショー」や「ハロウィン」のリメイクなどホラー映画も撮っているロブ・ゾンビ。
いやー、普通だったら私はホラー映画なんて絶対に観ないのだけれど(恐いから)、この映画はなぜか宣伝を観た時からビビッとくるものがあり、これは面白いかも(恐くないかも)!と、なぜかトチ狂って観に行ってしまったのです。
結果。すげーかっこよかった(恐くなかった)ですよ!

全体の印象を一言でいうと、これはケン・ラッセルだ!というもの。私、ケン・ラッセル好きですから、もうツボに入りまくりだったのです。
とにかくビジュアルがかっこいい!エクストリームでポップで悪趣味。それでいてクラシカルな佇まい。音楽もまた良くて、ベルベッツははまりすぎで勿論いいんだけど、この映画の中に、魔女から送られてきた呪いのレコード、というのが出て来るのです。このレコードが、またカッコいいんだ。
「リング」でもそうでしたが、あれに出て来る呪いのビデオの映像、あれがゾッとするものだったのであの映画はリアリティが出た訳ですが、こういうのって難しい。下手なもん作れば、途端にシラケますから。その点、この映画の呪いのレコードも音はもちろん、木箱に入って送られてくる所とか・・・カッコ良過ぎる。徹底して鋭い美意識に貫かれたスタイリッシュな映画。いつまでもこの世界に浸っていたい・・・そんな気持ちでうっとりと観ておりました。

すると、隣で観ていたトモコが私を突くのです。そして画面を指差す。なに?・・・画面にはセイラム魔女裁判についての著作もあるという設定の作家のフランシスが写っています。その背後に、ぼんやりしていますが、これは・・・ああ!「貴婦人と一角獣」じゃないか?
ぼやけてよく見えませんでしたが、多分フランシスの家の壁に貼ってあるのは「貴婦人と一角獣」の、味覚のシーン、だと思われます。
ところで「貴婦人と一角獣」はフランスはクリュニュー美術館にあるフランスの至宝のひとつで、今まで一度しか海外に出た事がありません。それが、今、大阪は国立国際美術館に来ているのです!ババーン!

って、言われても、ピンとこない人も多いと思うのですが、このタペストリー、やれカバラの象徴やタロットの象徴が隠されているの、錬金術関係のものだの、果てはカタリ派の秘密が隠されているのと、オカルト方面ではかなり有名な作品なのです。
当然のごとく、国立国際美術館には関西のオカルト関係者が詰めかけ、門外不出に近いフランスの至宝を一目みようと押し寄せたカルチャーおばさんたちと渾然一体となり、異様な雰囲気を放っております。私も行きましたが、いやー、マジックだね。トモコなんて3回も行ってますが、行き過ぎではないでしょうか。
(ちなみに、このタペストリーの影響下に描かれたモローの「一角獣」が、今は東京に来てるとの話ですが・・・行きたいなぁー。無理だろうけど)

ま、要するに、こんなシンクロニシティもあって異様に楽しめた、という事です。こんな恐くなくて、カッコいいばかりのホラー映画ならいくらでも観たい。とはいえ、その見極めが難しいでしょうが・・・。

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