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2013年01月19日(Sat)

2012 オパール映画ベスト10【その2】 ベストテン

元店主
では、他の映画についても語っていきますか。まずはヤマネくんが1位に選んだ「レ・ミゼラブル」から。
ヤマネ
別にこの映画がそんなに素晴らしいという訳ではないんですが・・・というか、その昔ニューヨークに行った折りに、ブロードウェイでたまたまミュージカルの「レ・ミゼラブル」を観劇して、その音楽・ダンス・演出・環境、その他五官を打ちのめすもろもろにやられてしまって、鼻水たらしながら座席から立てなくなってしまったのでした。それ以来、ボクにとってミュージカル「レ・ミゼラブル」は絶対なんで・・・、それがこの様に映画化されたという事だけで大満足!むろん、凄く良かったんですが、これは映画が良かったのか、もうミュージカル「レ・ミゼラブル」の映画化だから良かったのか、区別できません!
マツヤマ
はは、そらそうかもな。でも、やっぱ映画版だと色々違うだろ?映画になって残念なところ、むしろ良かったところなどあるだろうが。
ヤマネ
そうですね!まず、なんといっても残念なのはオーケストラの生演奏がないことと、ダンスパフォーマンスがない所です。やっぱミュージカルみてると、ダンスはビリビリくるんですよー。それがないのがなぁ。・・・あとは、歌の差ですかね。悪い意味ばかりではないけど。この映画、役者がホントに演技しながら歌ってるのを録音して流しているんです。アフレコしてない。だから、プロ歌手に較べて声質や上手さが劣るのはどうしても仕方がない。だから文句行ってもしゃーないんですが、にしても下手?って奴が何名かいます。とはいえ、主要キャストはおおむね、というか思ったより凄く歌がよくてビックリしました。特にアン・ハサウェイ!彼女の「夢破れて」は凄くよくて、感動しました!
元店主
アン・ハサウェイは凄くいいよね!私も、普通ならこんな映画は絶対に行かないんだけど、宣伝でアン・ハサウェイが歌うシーンを何度も見てるうちに、ああ、なんか気になる!もしかして・・・行きたい?見たい?!となってきたもん。うう、観に行く時間、あるかなぁ。
ヤマネ
是非行って下さい!実は、正にそこが映画版の良い所でして、役者が歌うシーンがアッブになるんですよ。大画面で彼・彼女らが迫真の演技をしながら朗々と歌うさまを観るのは至福でした。舞台ではそうはいきませんから。アン・ハサウェイいいですよ!アマンダ・セイフライドも、出番少ないけどやっぱいい声してるなー、と。「TIME」の時のしょぼさとは大違いです!
マツヤマ
アン・ハサウェイはオレも好き。そういえば「ワン・デイ」も良かったな。「ワン・デイ」はある意味「愛と誠」に通じる純愛映画なんだけど、やっぱりアン・ハサウェイの感情表現がすごく上手くてね、微妙な女心がオレにも分かったくらいだよ。一緒に主演やってるジム・スタージェスって数年前から注目してるんだけど、パッとしないんだよなあ。これが出世作になるかな、と思ったけど、アン・ハサウェイに完全に食われてる感じだし。「ワン・デイ」に関しては呆気にとられるような驚きのラストがあるので深くはいえないけどな。それにしてもやっぱオレはミュージカルは苦手だね。それこそ「愛と誠」みたいに歌謡曲ならまだいいんだけど、やっぱり観ぜらぶるよ、ねぇ。
ヤマネ
なんですかそれ?シャレにもなってないし、意味分かんないですよ。そういえば、ババさんもミュージカル映画が嫌いでしたね。スクリーンで観るのはつらい、とか言って。でも、映像によってイメージが広がる所もあるし、ボクはなかなかいいと思ってます。・・・あ、サシャ・バロン・コーエンも良かったですよ!
元店主
サシャ・バロン・コーエンといえば、「ディクテーター」だね!お二人とも観てないんですか?
マツヤマ&ヤマネ
観てなーい
元店主
残念!特にマツヤマさんには是非観て貰いたかったなぁ。これはサシャ・バロン・コーエンが、中東の小国の独裁者アラディンという役回りで、まぁ、秘密に核兵器とか作ってるんだけど、国連から疑われて、その弁明のためにニューヨークに乗り込む・・・というお話。典型的な風刺映画で、もう最高!なんつってもセンスがいい。だって、ニューヨークに乗り込んだアラディン一行が道路をブーイングを浴びながら行進するシーンのバックに流れるのが「Next Episode 」だよ!それの謎の中東語ラップバージョン。
ヤマネ
うーん、「Next Episode 」とか分からないんですけど。
元店主
ギャングスタラップのクラシックだよ。まぁ、とてつもなく不穏な空気の中に、軽妙さがある、という曲なんで、その場に凄くあってるわけ。だから、曲を知らなくても楽しめると思うよ。実は今年は似たような風刺映画の傑作がもう一本あって、それがフィンランド映画の「アイアン・スカイ」。ナチスが実は月に逃げていて、それが地球に攻めてくる、という話。これはちょいともさい所もあるけど、なかなかいい映画だった。ダークサイド・オブ・ザ・ムーンにあるナチスの基地がハーケンクロイツ型だったりとか、分かってる感じ。ホワイトハウスに乗り込んできたナチスのやるファシズムバリバリの演説を聞いた大統領たちが、これは使える!と思って、それを参考に大統領の演説をやったら、アメリカ国民が大熱狂!とかね。
マツヤマ
あー、思い出した! 橋下徹が最初の知事選のときの街頭演説がどう見てもリメイク版「オール・ザ・キングスメン」のショーン・ペンの振りとそっくりだったな。彼奴は映画なんて観なさそうだから、誰かにアドバイスされたんだろうな。
元店主
モデルはルイジアナ州知事から上院議員を経て、ルーズベルトに対抗して大統領を目指したけど暗殺されてしまったヒューイ・ロングでしたか。橋下は大衆から支持されてたヒューイ・ロングを意識しているのかもしれませんね。また橋下の演説スタイルはヒットラーとも似ているとか、そうでもないとか、色々言われてる訳で・・・と、強引にこの映画に話を戻すと、この「アイアンスカイ」では、ナチスの兵士がお互い「ヴァルハラで会おう」と言うシーンがあるんです・・・ヴァルハラとは北欧神話に出て来る戦士のための黄泉の地みたいな所のことですが、今年は我が家ではヴァルハラブームでした。
ヤマネ
なんですかそれは?
元店主
いや、「ドラゴンタトゥーの女」とか、映画そのものはイマイチだったけど、オープニングのZEPの「移民の歌」(のカバー)とかカッコ良かったでしょう。あの歌、「ヴァルハラ アイアムカミーン!」と歌ってますからね。それに、なによりレフン監督の「ヴァルハラライジング」。これ、「ドライブ」公開記念で限定ロードショーやってたんですが、良かったですよ。タルコフスキーがアギーレを撮った、というか、なんかそんな感じで。もう、ヴァルハラ!ヴァルハラ!アイアムカミーン!・・・と、そういえば、お二人とも「ドライブ」をベストに選んでますね。
ヤマネ
「ドライブ」はかなり面白かったし好きな映画です。なんか、タイトルだけだと、そうだなあ、「RONIN」とか「トランスポーター」なんかのような結構まっとうなアクションとかを予想するんですけど‥
マツヤマ
まあ、タイトルと予告だけみれば、カーアクションがメインかな?って思ったけど実はそうじゃなくて、いい意味で期待を裏切られた感じだよな。
ヤマネ
でもカーアクションって色んなバリエーションがやりつくされているわけで。なかなか観たことがないような展開や、カメラアングルとか、派手な演出って出て来ないのに、この映画は、まだまだドライブアクションにはこういう見せ方もあるんだぜって感じで。スマートだったですね!変な映画なんで、こんな映画だったのか!って愕然とする人も多かったのでは、と思います!
マツヤマ
全体的な見せ方、センスなんかは90年前後の感覚だと思ったよ。タイトルがピンク色だったり、デビッド・リンチみたいな要素もあったしな。「ツインピークス」みたいだったろ?
元店主
ええ、そうですね。私は「ブルーベルベット」とか思い出しましたが。そしてなによりケネス・アンガー。「スコルピオ・ライジング」ですね。だから、私にとってはエイティーズ感溢れる映画だったんです。
ヤマネ
あと、音楽がずっとBGMで流れていて、その歌詞が主人公の心の声を表現しているー、というのも面白いですよねー。
マツヤマ
そこらへんはやっぱりニール・ジョーダンの感覚に近いような気がするな。「モナリザ」とか「クライイング・ゲーム」とか。
元店主
あと、特筆すべきはキャリー・マリガンがとても良かった、という事でしょうか。「華麗なるギャッツビー」のリメイクが楽しみですね・・・と、それから主人公が名無しの流れ者というところが、マカロニウエスタン時代のイーストウッドのキャラに近いと思うんですが、マカロニ・ファンのマツヤマさんとしてはそこらへんはどうでした?
マツヤマ
ああー、ぜんぜん思いつかなかったけど、そう言われるとそんな気がするね。でもそれで言うと「キック・オーバー」のメル・ギブソンも名無しで通称がドライバーなんだよ。もちろんカーアクションあり。イーストウッドのモノマネあり。たまたま知り合った母子のために戦うという設定まで「ドライブ」といっしょで、見た目的にはこっちの方がマカロニっぽいと思うぞ。
元店主
それで「ドライブ」より順位が上ということなんですね?
マツヤマ
というか、圧倒的に「キック・オーバー」の方が面白かったんだよね。アクションもB級感覚炸裂でオレ好みだし。
ヤマネ
あ、B級アクションという事なら「キラーエリート」もなかなか燃えましたよ!ジェイソン・ステイサム、クライブ・オーウェン、ロバート・デニーロが敵味方に別れて闘う・・・という設定だけで燃える!一瞬で金的したり、目潰ししたり、どっかのクレイグみたいなかっこだけの殴り合いじゃなくてド迫力!です。
元店主
う〜ん、相変わらず「スカイフォール」のアクションに点が辛いなぁ。私はすごく良かったけどね。絵が良かったからさ。金的や目潰しじゃあなぁ。でも、「エージェントマロリー」のアクションは接近戦の割に良かったかな。地味だったけど。・・・あと、「スカイフォール」は話もよかったんだよね。MI6の存在根拠を問う様な設定とかね。
ヤマネ
いや、同じMI6なら「裏切りのサーカス」です!サーカスって何の事か分かります?MI6のことなんですよ!知らなかったら、なんの映画か分かんないでしょ。ってボクも初めて知ったんですけどね。てへ。ま、知ってても、007で描かれるMI6とのあまりの差に愕然とすること必至です!これ、けっこうリアルだし、美意識も透徹していて、とても緊張感のある渋いい映画でしたね。北欧の監督さんの映画ですが、今年は北欧の映画が多かったですね。・・・で、アクションといえばやっぱ喧嘩上等!「おとなのけんか」はどうなんですか、マツヤマさん?
マツヤマ
えっ?えーっ!強引だなー。「おとなのけんか」といっても別に殴り合うわけじゃないからなあ。
ヤマネ
えっ、そうなんですか?ボクはてっきりジョディ・フォスターとケイト・ウィンスレットが髪振り乱して殴り合うのかと・・・
元店主
確かに2人ともそんなキャラだよね。私もこの映画マツヤマさんから勧められて気にはなってたんですけど、気がついたら終わってしまってて・・・。でもポランスキーは「戦場のピアニスト」から、さほど面白いとは思わなくなってしまっている、という事実もあります。
マツヤマ
オレはポランスキー好きーだから、とりあえずは全部観てるけど、久々に良かったね。予算や上映時間をみれば小品といった感じだけど、ポランスキー流の風刺が効きまくってて気分よかったよ。
元店主
やはりアメリカ批判とかですか?ポランスキーって未だにフランスを出国したら身柄が拘束されたりしますから。
マツヤマ
そうだね、多国籍企業や金融マフィア批判、似非人権派批判とか、富裕層 VS リベラル知識層とか、いろんな見方が出来ると思うんだけど、オレが思ったのは「どんなにこじれても話し合うことを途中で投げ出すな」ということだね。結論が出るまでは絶対に話し合いの場から外れることが出来ない、という決まりのようなものがあるとしたら、必ず平和的な解決を目指すと思うんだ。何よりも話し合いが大切、という戦争反対の暗喩なんじゃないかと・・・
ヤマネ
なるほど!では、今もっとも話し合いが必要なのが日中・日韓の領土問題だと思うんですが・・・ケンタロウさんは上位2作品に韓国映画を選んでますよね。そんなに良かったんですか?それともまだ一昨年の「アジョシ」ブームが続いているとか・・・

その3へ続く

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