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2010年09月14日(Tue)

「キャタピラー」 []

Text by Matsuyama

封切りから約1ヶ月、平日の午前だというのにほぼ満席とは驚きだ。世論とやらに流され易い一般の日本人が目を背けそうな、敢えていえば「気色の悪そうな映画」だ。寺島しのぶの国際コンペ受賞が「歴史的快挙だ」とテレビが報道したことが世論に流され易い多くの国民を動員したのだろう。なんてことはいわずもがな、喧伝とはそういうものか。

悪くはないが観るならば、いわゆるステレオタイプの反戦映画とは区別して観るべきだ。単なるバリ左翼的な国体批判映画とは明らかに一線を画す。

戦争を始めたのは誰か。 天皇陛下?官僚? 確かにそうかもしれないが、大きな責任は国民にあるのだ。
太平洋戦争を記憶する世代は徐々に減りつつある。日ごろの報道を見ると、中国に対して嫌悪を感じるニュースがやたらと多い。
例えば日本の領海、領空といわれるところで、中国との大きな摩擦(事件、事故)があり、日本人にのみ大勢の犠牲者があるにもかかわらず、中国当局は逆に日本を批判してきたとする。「速やかに法改正して自衛隊による攻撃もやむ終えず」とマスコミがひっきりなしに喧伝したとき日本国民は果たしてどうなるか? あくまでもこれは過程の話だ。

大本営発表に一喜一憂し、なにかにつけ「お国のため」を繰返す。オモチャ同然の勲章を誇らしげに飾るに至っては同情以外なんの感情も浮かんでこない。そう思わせることがこの作品の本質ではないかとオレは思うのである。
当時の日本政府が官僚やアメリカに騙されて、引きずられるように戦争に突入したのは間違いではないと思うが、それだけを批判するのではなく、国民にも戦争を盛上げたとういう大きな責任があることを忘れてはならない。
若い世代は「自分たちはあんなことにはならない」と高を括るかもしれないが、先述した妄想話のようなことはありえるし、マスコミが国民の意識を誘導することなんて簡単なことだ。

「日本は借金大国だから消費税増税もやむを得ない」と本気で思っている国民がホントに大勢いると思うと情けなくなる。
「国民ひとりあたり700万円以上の借金」だって?「ギリシャみたいになる」って? アンタら大丈夫かホントに。
借用書も書いていなければ請求書も来ていないものをなんで払う必要があるの?
「お国のため」ですか?

「反戦」なんて言葉はもう聞き飽きた。なにも日本人が反戦を叫んできたから日本国は65年間戦争をしなかったわけではない。常に地球のどこかで戦争があって、日本が戦争に基地や燃料を提供したり派兵したりしてきたのを多くの日本国民は許してきたではないか。

と書いている本日9月14日、小沢が菅、ないしは官に負けた。ますます“世論”は強くなる。

映画ラストの原爆の映像と被害統計は、この作品においてはない方が良いんじゃないですか若松さん。重要だとは思うけど、なんとなく軸がブレてしまったような気がします。生意気いってすみません。

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