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2009年06月11日(Thu)

「ハゲタカ」 ☆☆★★

Text by Matsuyama

おもしろかったですね。とくにTVドラマを見ていた人にとっては最高におもしろかったんじゃぁないでしょうか。非常におもしろいと思って観ていたんですが、残念ながら私はドラマを見ていませんでした。

「キャラクターの構築がされていないんじゃないか」と思ったのは、単に私が鈍いから? 「人物の相関関係がよくわからないぞ、どうしてあの人とあの人は知り合いなの?」って、これは私が何かを見逃していたのか? などと思い、帰りにパンフレットを買ったのですが、ナントこれは“映画化”ではなくて、TVドラマの“続き”だったのです。
それぞれのキャラクターの構築はすでにTVドラマで出来上がっていて、映画はほぼそこに頼りきっていて、相関関係に至っては、予めドラマ版を見るか、パンフレットを読まなければ分かりません。ドラマ版と監督(大友啓史)が同じというのが、私の思うところの「失敗」ではないのかと思ったのでした。
すでにドラマでエピソードが完了していた松田龍平や栗山千明をわざわざ出演させて、主要人物と関係があったように描かれても、ドラマを見ていない人にはまったく分からないんですね。テロップで「元IT企業社長」って出されても(ハッキリ言って2時間ドラマみたい。ダサイ)、現在はハッピ着た旅館の社長では何のイメージも湧かない。だから映画に不必要なキャラはスッパリとリストラすべきっだったのです。でなければ映画を作ろうなんて大それた考えは捨ててテレビで続けるべきです。

と、グチはここまでにして、けっこうおもしろかったことは否定しません。劇中「次は中国の時代ってことか…」といった感じのセリフがあり、同時に欧米の投資ファンドの弱体化が描かれていることは、ある意味日本映画も限界を超えたか? などと感慨にひたっていたのですが、最終的にそれらを手玉に取るあたりは、あまりにも鷲津(大森南朋)のヒーロー物語になりすぎてやしないか? そういえば、冒頭、中国側組織が「日本へ行って稼いでこい」と命令して劉一華/リュウ・イーファ(玉山鉄二)を日本へ送り込むシーンは、どことなく、仮面ライダーシリーズで悪の首領が「ライダーを倒すのだ」と言って怪人を送り出すシーンと似ているではないですか。
まぁ、日本映画ですから、日本が勝つという設定でリアリティを欠くことが「アメリカさん、中国さん、これはフィクションですよ」というような言い訳になっているのでしょうね、ってわかりませんが。
とは言っても、大森南朋ってこんなに太ってましたっけ? 逆に悪役であったはずの玉山君の刹那的な生きざまは、強烈な光を放ってカッコよかったです。玉山君は映画版のみの出演ですから(遠藤憲一、高良健吾などもそうですが)映画中でしかキャラの構築が出来ない(あたりまえ)分、他のキャストとの存在感、比重がぜんぜん違うように思えました。

劇中、スタンリー・ブラザーズというアメリカの投資銀行のネーミングはどう見たってモルガン・スタンレー+リーマン・ブラザーズで三葉銀行〜MGS銀行は三菱UFJ? で、何故かハゲタカの標的になったアカマ自動車の歴代「AKAMA GT」は日産(初代はダットサン)フェアレディZ のようでしたね。
やはり何よりもリアルだったのは「次は中国の時代」「中国=日本の最大の敵」ということではなく、現在、新興国の持つ資金力がいかに強大かを描いたことではないでしょうか。まともに経済力だけで戦うのならば欧米にはもはや勝ち目はありません。

私は今、中国と韓国の間の北朝鮮が妙な動きを見せていることに怪しさを感じています。何らかの引き金となることを望んでいる他国の権力があるように思えます。

では日本は今後どうすべきか?

本当の意味での独立国家になるべきです。そして一切、他国の軍事行動に加担すべきではない。
…ってまた映画から離れてしまいました。

「映画作れよ、映画を!50点はサービスやで!」

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