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2009年03月02日(Mon)

コッポラの胡蝶の夢 ☆☆☆☆

Text by Matsuyama

ミニシアターでの思いがけない拾いモノ。とは言っても、監督はフランシス・フォード・コッポラです。大阪「梅田ガーデンシネマ」で封切られたばかりなのに、午前10時の1回のみ。しかも2週間限定。関西人はこの後どこでこの作品を観られるのか分かりません。 監督による自主制作ということですが、コッポラのような大監督でさえ後ろ盾がなければ、このような扱いになるのでしょうか。期間内の、限られた時間帯でしか観られないことが残念でなりません。

早起きついでに、引き続き「ホルテンさんのはじめての冒険」(同劇場で上映中)を観ました。こちらは一日4回の上映です。
昨年末「ラースと、その彼女」を観たときにも思ったのですが、人生の憂いや人間どうしの絆を描くにしても「なまぬるい!こんなことまで映画に教わらなければならない時代なのか」と呆れるばかりです。それと同時に「人間は皆一様に前向きに明るく生きなければならないのか?」とも思います。

私は夢をよく見ます。睡眠中の夢のことです。どれだけ見れば「よく見る」になるかは、あくまでも主観ですが、朝の記憶では3日のうち1回は「夢を見た」という実感があります。まあそんなことはどうでもいいのですが、人生の夢、将来の夢の実現を考えると、それが叶う可能性がいちばん大きい場は、やはり睡眠中に見る夢の中ではないでしょうか。しかし、私の場合、その無限大の可能性を秘めた睡眠中の夢でさえ必ずと言っていいほど満足なる完結に至ったことはありません。皆さんはどうでしょうか? 目標に達して完結したことはあるでしょうか?

例えば、1日8時間の睡眠時間があり、8時間の労働時間があるとします。その8時間の睡眠時間で毎日のように充実した夢を見られるのならば、夢を見るための人生、眠るための人生を送ってみてもいいのではないかと思うのです。しかし、夢というものは、たとえ毎日見ることができたとしても、一度たりとも満たされた終わりを見届けることは無いような気がします。

それでは現実の世界での夢はどうでしょう。努力が実ったり、運に恵まれたりして夢が叶ったとします。しかし、そこで完結とは言えません。生きている限り更なる欲求が出現します。また、夢が叶うと同時 に何かを失ったり、誰かを不幸にすることはないでしょうか?

けっきょく、私たちはすべてを手にすることはできないのです。すべてを手に入れようとすることは、すべてを失うことといっしょです。すべて手に入れようとすれば、必ず争いが起こります。人類は核を持ってしまいました。地球上のすべての生命を奪う量の核が存在します。どこかの国の核が暴走すれば、それは花火工場の火事のように、連鎖的に地球上のすべての核ミサイルが飛び交うことになるでしょう。

コッポラは最近まで、9.11同時多発テロ後のニューヨークを背景にしたユートピア思想を描く作品構想があったといわれてますが、それは何かの障害、または妨害によって実現しなかったようです。何か分かりませんが、おそらく、それを撮ることは不可能なのでしょう。いや、もしかしたらこの作品がそうなのかもしれません。目標を捨てきれないコッポラ監督を自主制作に駆り立てる何かが、この作品の原作に隠されているのだと思うのです。

邦題の「コッポラの胡蝶の夢」で、荘子のそれを知っている人にとってはネタバレと思われそうですが。そこは問題ではありません。
言語学の完成を夢見る主人公ドミニクは、それを達成できないまま自ら人生の幕を降ろそうとします。そこからがコッポラ版数奇な人生の始まりです。
死のうと思えば若返り、それでは目標を達成させようかと思えば恋人を失いそうになる。これは夢なのか現実なのか、そんなことは関係ないのです。

本気で人生と向き合うことは実に過酷なことです。でもそれが現実の世界です。何を以て達成というのか、それは個人的な心情でしかありません。得ることと失うことは表裏一体であり、人生はプラスマイナスゼロだとすれば、現実とは生まれて死ぬこと、それだけです。

Comments

投稿者 oishin : 2009年03月02日 23:02

大阪が終わって次はどこかと思ったら、3月29日にはDVD発売だそうです、ほんとに全然やってないですねー。

しょうがないので、DVDで観ようと思いますが、やっぱり劇場で観たかったです。

嗚呼、先週ロマンザに行っていたら!

投稿者 マツヤマ : 2009年03月05日 00:45

オイシン殿
もっと頻繁(毎週)にロマンザに来た方がいいんじゃないかな? 次はDVDでもいいから感想聞かせてよ。まだ観た人と会ってないからなぁ。

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