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2005年10月27日(Thu)

四月の雪 ☆☆☆★

Text by BABA

 それは、はかない恋だった。どんなに舞い降りても積もることのない四月の雪のように…。ババーン! なかなかに良い映画であった『八月のクリスマス』のホ・ジノ監督最新作。

 お話はというと、コンサートの照明監督インス、奥さんが交通事故で重体、との報せ受け地方都市の病院にかけつけてみれば、そこには見知らぬ女性ソヨン(ソン・イェジン)

 なんとインスの奥さんは、ソヨンの旦那と浮気中に事故を起こしたのだった! ババーン! まず我々は不倫中に、事故を起こすリスクが滅法高いクルマの利用は極力差し控えるべきであろう、との教訓を得たわけですが、ってそれはともかく不倫妻と不倫夫は意識不明の重体、やはり不倫は天罰を受けるべし天網恢々疎にして漏らさず、との韓国・儒教思想の表象を読み取っている場合でなく、出会うべくもなかったインスとソヨン、それぞれ伴侶の看病、近所にモーテルとって病院に通い、何度となく顔をあわせ、少しずつ言葉を交わすうちにやがて…というシンプルなお話。

 インスとソヨンが「不倫の仕返し」として不倫しちゃう、ってこれは不倫なのかどうなのかよくわかりませんが、予想通りの展開を見せるのは観客大方が予想するところですけれど、そこはそれホ・ジノ監督ですので、ゆったりまったり看病生活の日常スケッチを丹念丁寧に積み重ねて、一ヶの恋愛のリアルを描き出しているゾ…と一人ごちたのでした。

 両者どちらも温厚・おとなしく謙虚な性格、そういう謙虚な性格の者同士が恋愛を成就させるのはなかなかに困難な事態、そういう二人の恋は一瞬にして消えてしまう「四月の雪」、四月にドカ雪降る異常気象の生起とともに、二人は深く固く結ばれるなんてまったくロマンチックなお話、ラストがあまりにロマンチックなのでちょっと拍子抜けを味わいつつ、色々未解決の問題はほっといてサクッと終わってしまうのは、恋愛というものは常に未解決の問題をはらむものなのだとホ・ジノ監督は語っているのだった。適当。

 ヨン様はブカブカ気味カーゴパンツ・ファッションはいかがなものか? と思わないでもないですけどムッチリ好演、相手役ソン・イェジンもよい感じ、地方都市サムチョクの中途半端なうらぶれた雰囲気も気色よく、ラストえんえん映し出される雪景色韓国風景も水墨画のようで美しいのでありました。

 大スターのヨン様主演作にしては素晴らしく地味な映画、ホ・ジノ監督好きの方にはオススメです。ていうか、ホ・ジノ監督『春の日は過ぎゆく』はいつの間に公開されていたのでしょうか見逃しました。残念。オススメ。

☆☆☆★(☆= 20 点・★= 5 点)

Comments

投稿者 sakurai : 2005年10月28日 08:31

ホ・ジノ監督の作品は、男は技術者というのが多いですね。
何でなのか。かっこええ、・・・なのかな。
写真屋、音響屋、「春の日・・」もそうだったかも。
「四月の雪」は、それなりでしたが、「春の日は過ぎ行く」に反応してしまいました。
是非、みてください。その感想が知りたい。
あたしはずっこけてしまいました。
http://sakura1043.web.infoseek.co.jp/harunohiha.html

投稿者 baba : 2005年10月28日 13:03

sakuraiさん、こんにちは! コメントありがとうございます。
> あたしはずっこけてしまいました。

『四月の雪』も、え?? みたいなズッコケを少し味わいました。ホ・ジノ監督の味なのかも知れませんねー。機会があればぜひ見たいです>『春の日は過ぎ行く』。

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