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2005年10月07日(Fri)

ステルス ☆☆☆★★★

Text by BABA

 助けたい。その想いは、ミッションを超えた。ババーン! 対テロ戦争遂行のため結成された「見えない戦闘機」ステルス部隊の精鋭2人女1人混成チーム、そこへ新たに配属された「4人目」とは…? 

 以下ネタバレですが(予告編でバラされてますが)、その「4人目」、人工知能搭載・垂直離発着可能な最新型・無人ステルスE.D.I.(エディー)だ! ジャーン! みなさまのご推察どおり人工知能が暴走、ステルス部隊3人がえらいひどい目にあうというお話。

 人工知能が予測外の計算をしてしまうのは『2001年宇宙の旅』の昔よりアメリカ映画によくある話、このへんにアメリカ人が持つ「テクノロジーに対するぬぐいがたい畏れ」があらわれている。…ってそんなものすごい適当なことはどうでもよくて、まずロブ・コーエン監督+特撮工房デジタル・ドメインが創りあげる映像がなかなか素晴らしいです。バリバリのCGと、ミニチュア、実物大モデルをうまく使い分け、CGくさくて脱力することないド迫力。空中給油機がまき散らす燃料が引火して、ドカンと大爆発するシーンはサブイボが出ました。

 ロブ・コーエン監督は『トリプルX』も素晴らしかったですが、今回もスリルとサスペンスあふれるアクションを構築しています。ステルス部隊の女性隊員ジェシカ・ビール、北朝鮮に墜落してしまうんですけど、その墜落シーンはかなり恐い! 「あー! 破片が! パラシュートを…! 燃えています燃えています! もの凄い勢いで落下してます!」との実況を、本部司令室がなすすべなく聞くシーンを挟み込むのは巧いな、と。

 また北朝鮮、狙撃手が狙いをつけ、シュパーッとカメラが引くとジェシカ・ビールにビシュッ! と命中するシーンも最高にカッコいいことでした。

『2001年宇宙の旅』HAL9000が赤い目でボウマン船長とプール博士の密談を盗み聞く(見る)シーンがリメイクされており、そこんところは人物がシルエットになるのはヒッチコック・タッチ、また空中給油シーンは『博士の異常な愛情』のオープニングを彷彿としたりして、キューブリックやヒッチコックに敬意を払ってる感じ、今どきの監督にしてはカッコいい映像の何たるかを知る者であるな、と一人ごちました。

『2001年宇宙の旅』同様、暴走した人工知能と人間様の対決となり、では人間がマシンに勝つにはどうすればいいか? という問題が提示されます。

 人がマシンに勝つのに必要なものは? それは男気あふれるトンチのきらめきだ! 人工知能エディーは「こいつぁ人間様にはかなわねぇや!」と意気に感じ、隊長ジョシュ・ルーカスとの間に「義兄弟」的関係が築かれます。このへんはちょっと東映の任侠映画、あるいは日活ニューアクション風の展開で面白いです。

 さらに、アメリカが進める「対テロ戦争」がいかにムチャクチャなものになっているか? を告発しているのもグーです。ステルス部隊は他国を領空侵犯するに何のためらいも持たず(そのためのステルス機能なんでしょうが)、「テロリスト退治」と称して繁華街ビルをピンポイント爆撃したりするねんで。宣戦布告も何もなし、テロリストを殺すためなら何をやってもよい、と考えているようです。もちろんテロリストの裁判を受ける権利は鼻から無視。また、人工衛星の映像から、個人の虹彩や指紋まで読み取って個人を特定してしまうのですから個人情報保護もへったくれもありゃしません。

 人工知能を開発した“オービット”社はシアトルにあるという設定、シアトルといえばマイクロソフトですが、この『ステルス』は、アメリカ軍部とコンピュータ産業が癒着しており、今にとんでもないことをしでかすぞ、と警告を発している、というか、無人の軍用機はすでに実用化されているそうで、ほんとにもうアメリカさんにはかないませんな、と呆れかえりました。

 その他、ステルス部隊3人がのんびりタイで休暇を過ごすシーンはゆるゆるですが、これがあるから後半のアクションが生き、ピシッとキャラも立ち隊長ジョシュ・ルーカスが決死でジェシカ・ビールを助けに行くシーンが盛り上がるわけですね。

 手に汗握るシーン多数、もんのすごい爆発シーンも随所、ロブ・コーエンのアクション映画は面白い! と、私は言いたい。『コラテラル』『Ray』で好演のジェイミー・フォックスも出ておりますのでバチグンのオススメ。

☆☆☆★★★(☆= 20 点・★= 5 点)

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