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2014年09月11日(Thu)

9月2日〜9月9日 etc

諸星大二郎原画展

阪神百貨店でやってゐる「諸星大二郎原画展」に行ってきました。隣の会場では「攻殻機動隊」展をやってゐて、あきらかにそっちの方が大規模なんだけど、私は「攻殻機動隊」とか観たことないし・・・そら若い頃に夢中になって読んだ諸星大二郎だろー、てな感じで乗り込んだのです。

しかし、考へてみれば諸星大二郎なんてもう何年も読んでゐません。昔読んだ数々の作品、「マッドメン」「暗黒神話」「孔子暗黒伝」「西遊妖猿伝」「妖怪ハンターシリーズ」・・・など、今思ひ返してもほとんど内容を思ひ出せない。うーむ、大丈夫かいな、と、自分の頭を心配しながら会場を巡ると、懐かしい絵の数々が眼に飛び込んできて、ああ、これこれ、覚えてる!と、覚醒するものがありました。絵の力って凄いわー。
諸星大二郎といへば、その独特な幻想・怪奇・伝奇な内容もさることながら、絵が有名です。その作品の魅力の大半、いやほとんどが絵に拠ってゐるのではないか。下手なのか上手いのかよく分からない、でも不思議と心を鷲掴みにして離さない絵。会場の最初に、多数の有名マンガ家の人たちによる「諸星大二郎先生大好きです!」とメッセージの入った色紙が飾られてゐたのですが、そこでみんな諸星ワールドを自分なりに描いてゐる。楽しさう。
今回初期作品から、最新の作品まで観て思ったのですが、ほとんど絵が変はってゐない。無論、多少のニュアンスの違ひはありますが、核になるものは全く一緒です。つまり、諸星大二郎は最初から屹立したスタイルを持ってゐた作家だといふ事です。だから、一枚絵としての魅力もハンパなく、とても充実した原画展でした。
最後に絵も売ってたんだけどねぇ、まぁ、お金もないし・・・ポストカードやTシャツで誤摩化したけど・・・。でもやっぱ欲しかったなぁ。ちょっと後悔。

二十世紀

例へば「七人」「七本」を「ナナニン」「ナナホン」と読むのは間違ひ・・・とまで言はなくても、正しい読み方ではなく、正しくは「シチニン」「シチホン」である、といふのは、まだ比較的知られてゐると思ふ。「七人の侍」「賤ヶ岳の七本槍」を思ひ浮かべれば、それは簡単に分かることだし。これをまさか「ナナニンの・・・」とか「・・・のナナホンヤリ」と読む人は居ないでせう(大西巨人の「神聖喜劇」ぢゃあるまいしね)。
ところが、「十本」となればどうか。むろんこれは「ジッポン」が正しい読み方ですが、今やほとんどの人が「ジュッポン」と読んでゐるのではないか。私もしばしば、自分で「ジュッポン」と読んでゐる事に気がついて、愕然とする事があります。そもそもあんま違和感も感じなくなってゐる。
例へば、今でも「十手」は「ジッテ」と読むし、「十戒」は「ジッカイ」、孔門の十哲は「ジッテツ」と読みます。これは、まださう読んでゐる。でも、「ジュッポン」と読んでしまふのは何故?もう最近は歳をとったのか、色んな事が頭の中でグチャグチャに溶解してきてゐる様で・・・。
で、「二十世紀」ですが、これはもちろん「ニジッセイキ」と読みます。梨の「二十世紀」だって、ちゃんと「Njisseiki」と書いてある。いや、書いてあったはずなんですが・・・先日、スーパーで以下の様なものを発見しました。

140911.jpg

な、梨よ、お前もか!

エヴァンゲリオン

たうたう観ましたよ、「新世紀エヴァンゲリオン」。いやね、アニメを観始めたら、必ず観ておかないと話にならない作品といふ奴がある様で・・・それが「ガンダム」と「エヴァ」。私、どちらも観てなかったですから。
で、「ガンダム」は映画3部作を取り敢へず観て、大体のストーリーを把握しました。でもこれ、オリジナルテレビ放映版の編集版だしね、そこまで楽しんだとは言ひ難い。ま、「ガンダム」ってこんな感じなのね、って程度で(やはりテレビ版で観るべきだったかも)。
そこで次は「エヴァ」ですが、これはテレビ放映版を観ました。全28話だったかな(映画版はまだ観てない)。・・・まーねー、実は私の周りでも、さすがに「エヴァ」は観た、といふ人が多かったのですよ。で、それらの人たちの「エヴァ」評価といふのがボロカスで。「あんな酷い失敗作はない!」「風呂敷をひろげるだけひろげて、全く回収できてない」「なにも考へてなかったんぢゃないか?あり得ない」「終はり方がキモ過ぎる」など。素直に「面白いよー」と言ったのは一人だけで・・・(それはテンコさんです!)。だから、私も観るのに相当の気力を振り絞ったんです。観る気が起きない・・・でもこれは常識として観ておかねば・・・ううううう・・・と。
それで、さきほど見終はったんですが・・・これが、なんと・・・けっこう面白いやん!
最初から、期待値がマイナスだったのが良かったのかもしれない。伏線が全く回収できてない、とか、終はりが壊れてる、とか、散々批判を聞かされてゐたのも良かったのかもしれません。はっきり言って、かなーり、楽しめました。意外や、意外。
確かに、私が事前に聞かされてきた批判の数々は、どれも分かります。それらの批判が間違ってゐるとは思ひません。ただ、私には、それらの欠点が、必ずしも作品のマイナス評価に繋がるとは思へないのです。この作品には、確かに何かがあります。歴史に残る特別な作品だけが持つ“何か”が、ある。
私が最もよく色んな人から聞かされた批判、風呂敷を拡げ過ぎて、収拾がつけられなくなって、強引に無茶な終はらせ方をした、といふ批判。これは分かります。もしかしたら、本当にその通りだったのかもしれない。でも、それは必ずしも作品のマイナス評価にはならないと思ふのです。この作品は、作品そのものが製作中に猛然と成長し、制作者側の意図も、視聴者側の意図も喰ひ破って異形の姿を晒した、といふ印象なのです。
この作品は、異常なまでの謎解き合戦を生んだといふ事で有名らしいですが、それもこの事ゆゑでせう。必ずしも、伏線を回収できてないからだけではない。作品そのものが、みんなの意図を超えて成長したが故の異形さが、人々に呼びかけるのです。謎を解け、と。それは世界の謎と通底するものがある。
さきほど見終はったばかりで、まだ全然自分の中で整理できてないので、これは完全な思ひつきですが・・・この作品、「ピンドラ」に似てる様な気がします。といふか、この「エヴァ」がやろうとして失敗した事を、見事にやり遂げたのが「ピンドラ」ではないか?といふ気がしてゐるのです。まぁ、直感ですが。
でも、アニメ史や社会に与へた影響の大きさは、「ピンドラ」より「エヴァ」の方が上でせう。つまり、「エヴァ」は偉大なる失敗作、といふ事になるのではないでせうか。
(誉め過ぎかな?でも、まぁ、見終はったばかりの高揚感込み、といふ事で。むろん、私は「エヴァ」よりも「ピンドラ」の方がずっと好きだし、評価もしてゐます)

今週のお知らせ

私の畏友である可能涼介からチラシが届きました。どうやら江戸糸あやつり人形座が、創立10周年公演の第2弾として、可能涼介の戯曲をやるみたいなんですね。題して「人間人形世代〜可能涼介の世界〜」。
この人形座の人たちとは、可能は15年ほど前にも「アンチェイン・マイハート」といふ劇をやってゐます。可能の戯曲で、芥正彦が演出。私もそれは観に行きましたが、面白かったですよー。一応、宮台真司が戦後演劇のベストの一本にあげてるとか。
興味のある方は是非。

2014年10月1日(水)〜10月5日(日)@上野ストアハウス
江戸糸あやつり人形座 オフィシャルウェブ / Edo-Ito-Ayatsuri-Ningyouza Official Web

もうひとつお知らせ。
な、な、なんと!「少女革命ウテナ」「輪るピングドラム」の幾原邦彦の新作が!来年オンエア予定で、題して「ユリ熊嵐」。
・・・この1年で、幾原邦彦の名前が私の中でどれだけ大きくなった事か。いま活躍する日本のクリエイターの中で、一番新作が楽しみな人だ。その人の新作がー!!!って、実は私、めっちゃ動揺してゐます。だって、我が家にはテレビがないんだもの!
こんなもんいらん!と20年ほど前にテレビを捨ててから、今まで何事もなく過ごしてきましたが、こんな形で復讐されるとは・・・。
どうやって観るのか。今から頭を抱へてゐます。

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