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2013年05月20日(Mon)

海老蔵の伊達十 歌舞伎

5月南座夜の部、海老蔵の伊達の十役、観に行って参りましたー。

これは元々七代目團十郎が始めたものらしいのですが、その後長く失はれてゐたのを、現猿翁が復活させ、自らのレパートリーとして人々に親しまれてきたものです。それを、海老蔵が継承。今回で3回目の公演になります。
私も前から気になってゐたのですが、前2回は東京での公演。観たくても観られんよなぁー、てな感じだったのが、今回は初の関西お目見え。散々悩んだ末、行って参りました。

何故、散々悩んだのか。それはまづ、すでに何回か海老蔵の伊達十を観たウノピが「ちょっと耐えがたい」と酷評してゐたこと。とはいへ、確かにウノピは阿呆みたいに歌舞伎を観てる人間なので、その言を一応尊重はしますが、やっぱイマイチ違ふんでないの?といふ気持ちは押さへきれず、特に海老蔵に関してはそもそも全くその魅力を理解してないのでは!とさへ思はれますので、これが決定打ではありません。
実は先月に南座に行った時に、海老蔵の伊達十をビデオで流してゐたのですが、それを観て、「・・・これは、キツさう・・・」と思ってしまったのです。ガーン。
う〜ん、どないしょ、お金もないし、今回は見送るか・・・と悶々としてゐた矢先、突如始まった海老蔵ブログ。海老蔵の天然大爆発!で、その破壊的な面白さに、散々笑はせて貰ったので、これは是非行かなー、やっぱ海老蔵断固支持!となった次第。

で、どうだったのか。
この芝居、全部で4幕あるのですが、流れ的に三つに別れてゐます。まづ最初(発端・序幕・二幕目)。ここはツカミなのか、やたら早替はりが行はれます。
あ、知らない人のために言ひますと、これは海老蔵が10の役柄を早替はりで演じるといふ、海老蔵祭りの様な芝居なのです。んで、あまりにも早くでいつ替はったのか全然わからん!といふトリッキーなものも含めて、目まぐるしく早替はりが行はれながら芝居は進むのですが・・・この部分、個人的にはビミョー、でした。
そら海老蔵の早替はりは見事でしたよ、お客さんも大喜び。でもね、私的には、そんな今さら早替はりとか言はれてもね・・・といふ気持ちがあるのです。むろん、これは早替はりを見せる芝居なので、私のこんな感想が無茶なのは百も承知なのですが、でも、やっぱそんなに面白くない。ふーん、て感じ。
あと、海老蔵はもちろん女性にもなる訳ですが、これが結構きつい。ちっとも似合ってないし。で、本人もそれを意識してるのか、ちょい笑ひに逃げがちで・・・。わざと変な声で「承知致しましたぁー」とか言って、客席の笑ひをとる。ま、そらお客さんが喜んでるんで、それはそれでアリなんでせうが、私としては・・・ビミョー。吉本新喜劇ぢゃないんだから。

次が三幕目の奥殿の場。ここは・・・ちょいキツかった。海老蔵演じるは政岡。早替はりもなく、じっくり見せる所なのですが・・・。政岡は女方の大役。相当難しい役なので、まぁ、海老蔵、頑張ってゐたし、悪くない、と言へない事はない。笑ひにも逃げてないし。でもなぁ・・・先月、文楽で同じ場を観てしまった身としては・・・。文楽と較べるのは無茶、とは分かってゐますが、それでもやっぱ人形に完全に負けてるやん!とか思ってしまふのです。全体に、ままごとっぽい。うーむ。
死んだはずの子供の手がずぅーっと動いてゐて、涙を誘ふ場面で場内に澎湃と笑ひの渦が巻き起こったのは、海老蔵、ちょっと気の毒でしたが。
ところが、場面変はって、床下の段になると、海老蔵が荒獅子男之助になり、巨大ネズミを踏みつけながら颯爽と登場。あの独特の曇った声で音吐朗々と名乗りをあげ、見得を切ると場の空気が一変します。海老蔵、めちゃめちゃカッコエエー!

仁木弾正の宙乗りを挟んで最後の幕。この幕は、もう最高でした。
正義の総大将・細川勝元と悪の総大将・仁木弾正、どちらも海老蔵にはハマリ役で、あまりにカッコいい。やっぱ海老蔵は、正義と悪がスパッと分かれてる感じの方が合ふ様な気がします。
この幕は早替はりも、必然性が感じられて良かったし、笑ひも嫌味でなくいい。そして海老蔵の発するオーラは絶品。久々に歌舞伎の魅力を堪能できました。

ってな訳で、いはゆる終はり良ければ全てよし、といった奴で、私的には海老蔵の伊達十はオッケー。ただし、最初の部と次に難ありと感じますので、次回の工夫と精進を期待したい・・・といった感じで、次も来たら観に行ってもいいかな。

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