京都三条 カフェ・オパール Cafe Opal：Home

「この隣の女性専用車両、今日はえらい男の人が乗ってるみたいやけど」

え？ああ、女性専用車両の指定は平日だけなんですよ。今日は日曜だから、普通車両と変はらないんです。

「ああ、さうなんや。わしら年とってるさかい、よーわからんわー」

さうですよねー、よくわかんないですよねー。などと、私は話を合はせて、ははは、と一緒に笑ったりしてたのですが、ヲヂサンは「やっぱ日本では男性より女性の方が偉いからねぇ」などと話を繋ぎ、なかなか話をやめません。もしかして、さっきのは私に話しかけるための“釣り”だったのかな？と気づいた時にはすでに遅し。話はトンデモナイ方向に向かってゐたのです。

「全く、日本は日清とか日露とか、自分の勝った戦争の事ばかり言って、自分の負けた戦争の事は言はん。学校で教へん。日本はなぁ、その昔、白村江の戦ひで、唐・新羅に負けてるんや。」

いや、そんな昔まで戻らなくても、太平洋戦争でアメリカに負けてるんですけど・・・

「でなぁ、その時に百済から日本に逃げてきた貴族の人たちが、今の部落民の祖先や。あの人たちはもともと百済の貴族やったんや」

え？

「それで他の日本人はみんな天皇陛下の子孫や。あんたも、天皇陛下の遠い親戚なんやで」

いやー、そんな無茶な・・・

「今の日本の政治家はちっとも歴史を知らん。勉強しとらんから、あかんのや。菅とか麻生とか・・・。そんなやから、中国とか韓国に負けるんや」

まぁ、さうなんですかねぇ・・・

「日本にはホツマ文字といふのがあったんや」

げ！で、でた！

「そのホツマ文字は大陸に伝はって、漢字になったんや。中国の文化も韓国の文化も、みーんな日本の物真似や。そんな事も管は知らんから・・・だから、やられる。わしやったら、『お前らの漢字なんかホツマ文字のパクリやないか！あんまりガタガタ言ふんやったら、特許料払ってから言へ！』と、一喝してやんねんけどなぁ」

はははは・・・・・・

「あー、わしがもっと偉かったらなぁ。わしがせめて、中曽根さんくらゐ偉かったら、みんなわしの言ふ事きくのになぁ」

なんで中曽根やねん！

・・・と、まぁ、こんな感じで、むろん、私のセリフは全て心の中での呟きです。表面上は「ドン引きしてるの気づいて下さーい！」と全身で表現しながら、ひたすら「はぁ、はぁ・・・」と相づちを打ち続けてゐました。眠くて、頭がボーッとするし。

それにしても、梅田がもっと近かったら、と、これほど切望した事はありませんでした。