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2009年08月15日(Sat)

マイケルの評価 音楽

マイケルがこの世を去ってから、すでに一月以上経ちました。
その間に、様々な雑誌が追悼号を出したのですが、私もその中のいくつかは購入し、いくつかは立ち読みし、色んな事を考へました。
現時点でも情報は錯綜してゐて、例へばマイケルの肌の色の問題、あれは本当に病気だったのか(マイケルによる告白あり。異常性白班・全身性エリテマトーデス)、皮膚移植がなされてゐたのか(六本木インターナショナル・クリニックの院長、アクセノフ氏による証言あり)、など、俗っぽい興味のある問題はたくさんあります。
が、個人的に最も興味があるのは、マイケルの音楽的評価についてです。

私が自らの乏しい情報収集能力でザッと概観したところ、やはり、といふか、マイケルの音楽的評価はそこまで高くありません。
むろん、「マイケル天才!」「素晴らしい傑作・名曲の嵐!」と書いてゐる人はたくさん居るのですが、それらの人は、大抵、あまり音楽に詳しくない、といふか、マイケルが好きだ=マイケルの曲は傑作に違ひない、といふ、些か単純な認識に立ってゐる人が大半です。
どちらかといへば音楽に詳しい・・・とされる、たとへば音楽評論家や、難しい言葉を使って音楽に詳しさうな議論を展開してゐる論者の人たちは、「ダンスやパフォーマンスは凄いけど、音楽的にはどうってことない」「せいぜい『OFF THE WALL』『Thriller』あたりまでが音楽的ピーク」「それ以降はロックとのクロスオーバーをすすめて(売れ線)、ブラックミュージックの魂(ソウル)はなくなった」「良い曲もあるけど、プリンスの様な革新性はない。保守的な毒のないポップミュージック」・・・といったあたりが、共通の認識となってゐる様に思はれます。

うーむ、なるほど。確かに、分からないでもない。私も思ひっきりエイティーズキッズだったので、その感覚は分かります。当時まともに音楽(といっても主にロック)を聴いてゐた人間にとって、特に「BAD」以降のマイケルは、関係ない人、といふ感じでせう。お茶の間のアイドル、といふか。
しかし、だからと言って、上記の様な評価が、本当に正しいマイケルの音楽的評価なんでせうか?

数ある追悼誌の中で、私が最も感銘を受けたのは「bmr」の373号です。なぜなら、マイケルを音楽的に正当に評価しよう、といふ意志に満ちあふれてゐたからです。
「bmr」はブラックミュージック専門誌なので、あくまでブラックミュージックの視点からマイケルを捉へます。例へば、マイケルは最後まで「黒さ」を失ってゐなかった、といふ事が、様々な点から論じられます。マイケル自身のファンク体質、音楽的な人選、他のブラックミュージシャンへの影響、等々から。
ま、ここら辺りまでは、想定内。私もブラックミュージックを中心に聴く様になってから10年以上経ちますので、ここら辺りはわかります。が、シンガーとして、レコーディングアーティストとしてのマイケルの凄さ、を述べた鷺巣詩郎氏の論考にはビックリしました。詳しい事はみなさん直に読んでほしいのですが、とにかく、マイケルがボーカリストとして、レコーディングアーティストとして、いかに革新的で突出した存在であったか、を、テクニックの面から詳しく述べてゐるのです。
鷺巣氏によれば、マイケルこそ「20世紀における究極のレコード芸術」の具現形であり、彼の成した革新が後のボーカルプロダクションの基礎となり、ポピュラー音楽界全体に及ぼした影響は計り知れない、との事。これはなかなかに刺激的な論考ではないでせうか?

マイケルはそのスキャンダルも含めて、超巨大なスーパースターでしたので、マイケルの事を現象として論じる人もたくさん居ます。で、それらの中には、本当に音楽のこと分かってるの???といふ人も結構混じってゐる訳で、さういった人は、まづ、上記の様なマイケルの音楽に対するマイナス評価を当たり前の前提として、自らの論をたててゐたりするのです。
といふ事は、マイケルの音楽に対するマイナス評価が覆れば、これらの論は全て瓦解する、といふ事になる訳で、うーむ、鷺巣氏はマイケル評論界のアラン・ソーカルなのかもしれん、などと、私はひとりごちてゐたのでした。

それにしても、音楽をちゃんと聴くのは難しい。私もbmrに触発されて、マイケルやジャクソンズのアルバムを引っ張り出して聴き直してゐますが(「スリラー」のLPがみつからないよー!)、なるほど!と思ったり、ううむ、さうなのか???と首を捻ったり、その評価は思ったより難しいです。
果ては、クインシーやヒートウェーブ、ブラックストリートまで引っ張り出して聴き直してゐるので(やっぱ「JOY」はいい曲だなぁ)、きりがありません。

当分、マイケル漬けの日々が続きさうです。

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