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2009年03月24日(Tue)

椿昇展 アート

せっかくの休みだから、久しぶりに美術館にでも行きたいな〜、と思ひ、フラリと家を出ました。
京都国立近代美術館にまでやって来ると、「椿昇 2004−2009:GOLD/WHITE/BLACK」といふ看板が。
椿昇?誰だったかなー。現代アートの人だらうけど・・・う〜ん、う〜ん・・・と、考へて、あ!あの巨大バッタの人か! と、思ひあたりました。どこぞのビルに巨大バッタの人形をとりつけて作品としてゐた人だな。他にも、確か何か、巨大なものを創ってゐた様な気がする・・・。うん、なら、面白いかも。
と思ひ、850円払って入場しました。

すると、入ってすぐの所に、巨大なミサイルの風船(?)が視界を塞ぐ様な勢ひで置いてあり、思はず笑ってしまひました。わはは。

さて、私は椿昇の作品は初めてみる訳ですが、うむ、なるほど。かういふ人だったのか。どうやら社会的メッセージ性の強い人の様です。作品によって、政治的に、社会に斬り込んでいかう、と。
私は、かういふ作品は好きです。が、なかなか難しい所もある。といふのも、ついついメッセージの方に気をとられてしまふからなんですね。つまり、そのメッセージに賛同できると、大いに感動するが、さうでもないと、う〜ん、とダウンしてしまふ、といふ事です。
で、椿昇氏のメッセージは、といふと・・・・・・・。ううーむ、なんか、ずれてないか?といふ感想でした。いや、ま、言ひたい事は分かるけれど、なんか、政治的世界認識の枠組みが10年以上古い様な気がしました。むろん、これは私の個人的、勝手な判断です。が、それでも、さういった気持ちで作品を観るもんだから、なんとな〜く、気分はのりません。うーん。

そこにトモコが遅れてやってきました。そして、作品を観て、しばし溜め息。で、「クールねー」と感嘆の声を漏らしたのです。
それを聞いて、私はハッと気がつきました。自分が、メッセージ性に囚はれて、全くちゃんと作品を観てゐなかった事に。
改めて、虚心坦懐に(?)、作品を見直してみると、そこには、椿昇氏の鋭い美意識の貫徹を感じたのです。ババーン!

私はこの様に、鋭く美意識の貫徹された作品は好きです。私が現代アートの何が嫌と言って、美意識の全く感じられない作品が多い事です。むろん、彼らは“美”といふイデアを否定したりしてゐますので、そんなのは当然だ!といふでせう。むろん、それも分かります。私も若い頃はその様な考へにかぶれた事もありました。が、現代アートを色々と観ていくうちに、ただ単にこの人たちは“美”といふものが分かってないだけではないのか? 思想は“美”が分からない事の言ひ訳ではないのか? “美”が分からないのならばアートなどに関はらなければよいのに。それでは単なる業界スノッブ君ではないか!・・・などといふ、非常に保守的で反動的な考へに現在は至ってをります。はい。やはり、真・善・美だらう、目指すべきは。なんて。

それにしても、思想に邪魔されて作品をちゃんと観てゐなかったなんて・・・。恥ずかしい事ですね。ド ドーン!

といった訳で、この展覧会では色々と反省させられ、考へさせられたのでした。ヤー、たまには美術館に行かなければあきませんねー。

Comments

投稿者 可能涼介 : 2009年04月02日 23:41

アートじゃなくて現代音楽の話ですが、坂本龍一も属すると片山杜秀がいう「信時楽派」の信時潔、マスターと私の母校の校歌の作曲者らしいですぜ。知っていましたか。私はびっくりしました。以上。

投稿者 店主 : 2009年04月03日 00:20

ががーん!さうだったの・かー。

・・・・・・って、私、信時潔を知りませんでした。だから、ふーん、って感じかな。
「海ゆかば」の作者?なるほど。なかなか興味深さうな話ではありますが。

ところで、“マスター”と呼ぶのは止めて下さい。そんな風に呼んだことないだらう!

投稿者 可能涼介 : 2009年04月03日 03:04

すんません。
坂本の自伝の書評を書いたので、そのときに得た知識です。
龍一センセイ、いま私のいるところのちかく(世田谷の烏山。元オウムの拠点あたり)で育ったらしいですね。
ちょっと歩けば小澤の家や、羅生門の作曲家の早坂さんがやっていたオデン屋があったりします。元映画の大道具さんがやっている飲み屋に、いつも宍戸錠センセイがいらっしゃって、映画音楽について語っていたりします。三船プロも現存しますが、ただのマンションにしか見えません。
しかし、むかしよく「SPA !」で同じ頁に書いていた片山さんがこんなに立派な音楽評論家だったとは・・・。ためしに読んでみてください。
以上。

投稿者 店主 : 2009年04月04日 02:07

ためしに読んでみてください。・・・・・・とは、片山杜秀氏の本の事かな?
「近代日本の右翼思想」「音盤考現学」・・・、うむ、面白さうですねー。
是非、読んでみます。(坂本の自伝もね)

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