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2007年11月08日(Thu)

小沢一郎 憂国

 最近の政局混迷を睨み、ここらでもう一度小沢一郎に関して考へとかなアカンなー、と思ひ、15年ほど前に購入したきり読んでゐなかつた小沢一郎の『日本改造計画』を、本棚の奥から引張り出して読んでみました(テヘッ)

日本改造計画
日本改造計画
posted with amazlet on 07.11.16
小沢 一郎
講談社 (1993/06)
売り上げランキング: 9188

 読んでゐなかつた、とはいふものの、この本は様々な所で採り上げられてゐましたので、大体の内容は分かつてゐました。などと書くと、読まなかつた事に対する言ひ訳みたいですが(ッて、実際に言ひ訳です)、実際に読んでみると、確かに思つてゐた通りの内容。うん、読まなくても内容は分かつてゐたな、ハハハ。…とはいへ、現時点から見ると、なかなかに興味深い内容だつたのも事実です。

 この本が主張してゐる事は以下の事です。普通の国=グローバルスタンダードを目指す、強い政治的リーダーシップ、不合理な規制の撤廃、民営化、自己責任、日米同盟の堅持…。これらによつて日本を改造(構造改革)する、といふ事なのですが、これを読んでアレッ? と思つた方も多いのではないでせうか。さうです。これらは全て、後に小泉純一郎によつて唱えられたものです。では、小泉は小沢一郎の継承者なのでせうか? それにしては、小泉自民党と小沢一郎は激しく対立し続けてゐます。では、小沢一郎が変節したのでせうか? いや、これも違ひます、小沢一郎ほど昔から変はらない、節を曲げない人はゐません。では、これはどういふ事なのでせうか。

 つまりそれはかういふ事です。この『日本改造計画』に書かれた政策提言は、所詮“言葉”です。言葉は、それをどう解釈し、どう実現するかによつて、全く違つた結果が招来されます。小泉は、小沢一郎の『日本改造計画』と同じ事を言ひながら、小沢一郎が意図したのと正反対の事をやつたのです。これなら対立して当然です。では、具体的にはどんな事をやつたのでせうか。

 例へば「民営化」。日本は官尊民卑の国と言はれるくらゐ、官の力が強く、民の力が弱い国です。官が民の事を規制し過ぎ、押さへつけ過ぎて、民の活力が損なはれてゐる。こんな事ではいけない! と、小沢一郎は、官から民への「民営化」を唱へたのです。が、むろん官がなんでもかんでも100%悪い訳ではない。官の良い所は、その強い力で外国から民を守つてきた事です。敗戦後の日本は国内がボロボロでした。その弱り切つた民を強力な力で守りながら、日本の経済復興を支へたのは官です。だからその点の功績は、小沢一郎も認めてゐます。ただ、充分に民が立ち直つた現在においても、官が強力な力で民を規制し続けると、逆に民の活力が損なはれてしまふ。成長した子供にいつまでも命令し続ける過保護な親みたいなものです。だから、その悪い部分を改造しよう、と小沢一郎は言つた。むろん良い部分(外国から国民の経済生活を守る)は残しておきます。これは至極真ッ当な意見でせう。

 ところが小泉は、これと正反対のことをやつた。官の悪い部分を改革するのではなく、良い部分を改革してしまつた。つまり外国から民を守る機能を破壊したので(具体的には愛国派の官僚を次々首にしていつた)、日本の市場は禿鷹ファンドを始めとする悪質な外国企業に荒らされまくり、日本は長い長い不況の時代を迎へてしまつたのです。

 小泉がやつたのは全てこの調子。全てを(日本にとつて)悪い方へ持つていつてゐます。日米同盟堅持に関しても同じ。小沢一郎は、アメリカが国連の中心になる事を期待して、絶対に戦争を起こさないために、アメリカに協力すべきだ、と言つてゐます。ところが小泉がやつたのは、国連決議を無視してイラクに侵略するアメリカに協力すること。完全に逆です。つまり同じ事を言つてゐても、小泉はその悪い面を、小沢一郎はその良い面を体現してゐるといふ事です。

 それにしても、何故こんな事になつたのでせうか。

 実をいふとこの『日本改造計画』は、アメリカとの共作だと言はれてゐます。日本はアメリカの属国だからこんな事になるのですが、とにかくこの本には“アメリカが望む日本の改造された姿”が込められてゐるのは事実でせう。この本を出した当時の小沢一郎は、日本で最も権力があり、アメリカから「日本国王」と認められ、アメリカと緊密な関係を保つてゐた様です。実際この直後、小沢一郎は自民党を出て、非自民の政権を成立させ、自民党を長かつた王座から引きずりおとしてゐます(あ、今気がつきましたが、小泉の「自民党をぶっ壊す!」といふのも、小沢一郎の真似だつたんですね)。さすが小沢一郎、オレが見込んだだけの事はあるわい、と、アメリカはほくそ笑んだ事でせう。

 ところが、小沢一郎は真の愛国者でした。アメリカに都合の良い様に日本を改造する様な事はしませんでした。逆に、日本のためになる改革をしようとしたのです。ここでアメリカが怒り、小沢は様々な謀略にあつて政治の中心から追はれ、辛酸をなめます(←ここら辺り、小沢一郎の親分であつた田中角栄に似てゐる)。その間に出て来たのが、小泉純一郎。小泉はアメリカの忠実な子分になる事を誓ひ、日本の首相にして貰ひます(←ここら辺は想像)。で、アメリカの思ふ通りに日本を改革し、日本はボロボロ、アメリカはウハウハ、といふ次第だつたのではないでせうか。

つまり小沢と小泉はポジとネガの関係なのです。小泉純一郎が最悪の政治家なら、小沢一郎は最善の政治家。小沢一郎こそが真の愛国者であり、最も信用に足る政治家である。と、(現時点で)私は判断いたしました。

 むろん政治の世界は奇々怪々。私の判断も怪しいもんです。んで、これからも考察は続けていきたいと思ひますー(やー、こら大変だぁー)

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