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Text by 小川顕太郎
2006年01月23日(Mon)

映画人口
映画

 サトウさん来店。目黒雅叙園に行つてたんですよ、と私が言へば、「あそこは知人が結婚式をやつたので、その時に招かれて行つた事があるんです。その時に相米慎二監督に会つたんですけど、そこで交はした言葉が最後になつてしまひました…」と溜息をつく。

 さうでしたか…。ところで、とうとうスカラ座がなくなりますね。

「ええ、まァ、自分の事を考へても、二条のシネコンの方によく行つてますから、仕方がないか、とはいへ、やはり残念です」

 でも、シネコンのおかげで映画館に行く人の数が増えたと言はれてゐるぢやないですか。それはいい事ぢやないんですか。

「いや、それがさうでもないんですよ。確かに映画館に行く人の数は増えたやうですが、それは単純にスクリーンの数が増えた結果であつて、スクリーンあたりの映画人口は減つてゐるんです。ズウッと減少傾向です。だからもう観客の取り合ひ、つぶし合ひで、結局強いもの・大きいものが勝つ、みたいになつてゐるんですよ」

 さ、さうだつたんですか。それでやたら単館系の映画館が潰れてゐるんですね。みなみ会館のやうな、小さくて良心的な映画館には、かなり辛い状況ですね。

「さうなんです。去年は『いつか読書する日』に助けられました。あれは口コミで拡がつて、今年までズウッとロングランしたんです。ヒット間違ひなしの作品は、ティム・バートンでさへ大きな所が持つていつてしまふので、なんとかみんなが目をつけてゐない作品をヒットさせるしかないんですよ。これがなかなか」

 さういへば、昔は京都でティム・バートンといへば、みなみ会館でしたよね。今やティム・バートンもすつかり大物ですから。

「でも、今度みなみ会館でティム・バートン祭やります。なんと3本立て! かなりのお得なんで是非!」

 おお! それは素晴らしい! …京都といふ街は、映画の街、とか言はれてゐるくせに、映画に極端に冷たい街ですからね。そこで映画祭をやつたりしてゐるサトウさんたちの苦労は相当なものだと思ひます。私も今年はなるべくみなみ会館に足を運ぶやうにしますので、頑張つて下さい!(……とか確か去年も言つてゐて、1回しか行かなかつたんだよなァ。トホホ)

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