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 Diary 2003・5月6日(TUE.)

妻は告白する

 ビデオで『妻は告白する』(増村保造監督・1961 年)を観ました。私は若尾文子が大好きで、常々ファンであると公言してゐるのですが、その割にはこの映画と『赤い天使』を観てゐないことに、後ろめたい思ひをしてゐました。が、本日この映画を観て、後ろめたさは半分に減りました。良かつた、良かつた。はは。

 まあ、それはともかく、『妻は告白する』は予想通りの素晴らしい作品でした。久しぶりに観る若尾文子も、やはり凄い! と唸らざるを得ないドープな演技で、圧倒されました。もしまだこの映画を観てゐない人がゐれば、是非とも観て欲しいので、ここに筋を書くことは差し控へますが、差し障りがない程度の説明をすると、ヒロインは若尾文子。相手役は川口浩なのですが、この川口浩がまた、好男子なだけのダメな奴で、なんでこんな男に若尾文子は縋りつかなければならないのか、と、普通なら話の不備をあげつらう所なんですが(実際、さういふ杜撰な話が多すぎます)、この映画は違ふ。この程度の男にでも縋りつかなければならないほど不幸であつた、といふオーラが若尾文子の全身から滲み出てゐて、圧倒されるのです。幸せを追ひ求める妄念。愛といふ名の煩悩。もしこの映画をスクリーンで観てゐたら、戦慄のあまり身を震はせたであらうシーンが、何カ所もありました。若尾文子・イン・ダ・ハウス。お薦めです。『赤い天使』も是非観てみたい。

 ゴールデンウィーク、終はつてしまつてゐたんですね…。

小川顕太郎 Original:2003-May-8;