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 Diary 2003・6月27日(FRI.)

字が読めない

 テラダさん & アサノさん来店。本日、興がのるままに小先生が書きつけたといふ、篆書を見せて貰ふ。私が、何が書いてあるのか分からないけれど、格好いいよなあ、と思つて眺めてゐると、テラダさんが「はい、これは何て書いてあるのでせう。読めた ら、これあげるわ」と言ひ出した。…だから、読めないってば。

「あかんなあ、オガワくん。そんなことで、右翼を気取つてゐたら、あかんわ」と、テラダさん。まあ、それはさうなんですが…保田與重郎も、楊守敬 & 碑学派の来日を国風文化を歪めるものとして指弾した訳ですし、右翼必ずしも近代書に馴染まず、ですよ、と、私が屁理屈を捏ねてゐると、「ぢやあ、これは読めるか」と言つて、漢字かな混じり文で書かれた短冊(のコピー)を取り出した。…読めない。いや、分かつとります。篆刻をやりながら、篆書が碌に読めないのも、右翼を気取りながら、かな文字が満足に読めないのも、単なる私の勉強不足です。すいません。反省いたします。

「人間、仕事ばつかりやつてゐたら、ダメになるで」と言ひ残して、テラダさんは帰つていつた。

 タカハシくん & ヤマダくん来店。二人とも、たけしの映画『BROTHER』を凄く面白く観た、といふ事が分かり、私は大いに喜ぶ。私が傑作と信じて疑はないこの作品の世間的な評価は、ほんと酷いものだからなあ。しかし、これで、私の周りでも、『BROTHER』を評価する人間が増えてきた。タカハシくん、ヤマダくん、オイシン……………………あ、なんか落ち込んでしまつた。まあ、それはともかく、この秋に公開予定のたけしの新作『座頭市』が、もう、たまらなく楽しみだ。これぞ、『BROTHER』を凌駕する傑作になるのではないか? たけしの昔からの持ちネタで、座頭市の倒し方、といふのがある。それは、とてつもなく長い棒で座頭市をぶつ叩く、といふもので、私はこのネタが大好きなのだが、これを映画は取り入れてゐるだらうか。確かに、このネタはギャグなのだが、相手より少しでも長い武器を持ち、遠くから相手を倒す、といふのは、ある意味闘ひの極意でもある。それは武蔵 VS 小次郎の昔から、現代のアメリカ軍のアフガン & イラク侵攻まで、勝敗を決める要となつてゐる。で、私は、勝手にこの作品が、一級のエンタテインメントでありながら、現在の世界状況をも斬る作品になるのではないか、と期待してゐるのであつた。

 ああ、楽しみだ。

小川顕太郎 Original:2003-Jun-28;