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 Diary 2003・1月8日 その 2(WED.)

上海日記 3日目
中編

市内の印象(3)上海のタクシーイブニング・カクテル

市内の印象(3)

 なんやかんやと買い物をしてしまつたので、いつたんこれらの荷物を置きに、ホテルに帰ることにする。タクシーに乗り、いざグランドハイアット上海へ。ところが、浦東地区へ行くためのトンネルが、凄く渋滞してゐる。我々はあきらめて、車内から街の様子をじつくり見ることにした。

 まづ、宣伝物が異常に多い。とても、社会主義国とは思へない。たぶん、資本主義国以上にある。隙のあるところには、すべて何らかの宣伝がしてあるのではないか。17 年前にトモコが来た時には、これらは全て共産主義プロパガンダの言葉だつたらしい。真赤な布に、白でスローガンが染め抜いてあるやうな。今回も、郊外ではいくつかそれらしきものを見たが、市内では見あたらなかつた。たとへあつたとしても、ほとんど目立つてゐないのだらう。また、トモコに言はせると、色が氾濫してゐる、との事だ。17 年前は、くすんだ街に、あざやかな赤色ばかりが目立ち、それが独特の雰囲気を醸し出してゐたといふ。

 私の気づいた所では、とにかく字が格好良い! といふことだ。街に書いてある様々な字が、日本のやうに活字一辺倒ではなく、ちやんとした「字」なのだ。これが凄く格好良い。さすがはシナ! と、こればかりは感心した。このやうな点は、日本も見習つて欲しい。日本に帰つて来て、街に溢れる字を改めて見ると、その醜さに辟易してしまつた。>> 上海寫眞帳 21

 黒人をひとり見かける。

上海のタクシー

「チッ!」とタクシーの運転手が舌打ちし、いきなり渋滞の列から離脱して、ドンドン違う方向に車を走らせ始めた。なんだ、なんだ? と思つてゐると、ぐるりと大回りをして、トンネルの入り口までやつて来て、クラクションを鳴らしながら、強引に列に割り込んだのだ。ううむ、やはり上海のタクシードライバーは恐るべし。

 ホテルに戻ると、フロントのところで、日本からやつて来たツアー客の団体がごつた返してゐる。ははは、我々はプライベートチェックインだからな、このやうな喧噪とは無縁だ、と優越感に浸る。まア、勘違いして、我々も最初はここに並んでしまつたのだが。

 疲れが溜まつてゐたのか、部屋に帰り着くと、たまらず寝てしまう。

イブニング・カクテル

 ハッと気がつくと、すでに日は落ちてゐた。しまつた! 貴重な時間を…。しかしまだ寝足りないのか、なんとなく外に出るのが億劫だ。ふむ。そこで我々は、とりあへずグランドクラブにて英気を養ふ事にした。

 グランドクラブは、ちやうどイブニング・カクテルタイムであつた。この時間は、カクテルが飲み放題なのだ。朝とは違い、外の夜景がよく見へるやうに照明を落としたグランドクラブは、なかなか良い感じ。私はマティーニを注文した。でかい。オリーブの実が。簡単なおつまみもある、といふ話だつたのだが、いや、これは簡単なおつまみ程度のものではない。トリュフやキッシュ、生ハムに生サーモン、フルーツ、点心、パン、チーズ…と、立派な食事になるボリュームだ。また、味も良い。私はワインを 4 種類ほど飲み、カクテルも何杯か飲んだ。すつかり酔つぱらう。もう、別に他の所に行かなくてもいいんぢやないの? 英気を養ふどころか、私はすつかり満足して、もう動きたくないのであつた。

小川顕太郎 Original: 2003;