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 Diary 2003・1月8日 その 3(WED.)

上海日記 3日目
後編

新天地TMSK 透明思考クラウド 9

新天地

 さんざん悩んだ末、やはり出掛けることにした。なんと言つても、今晩は上海での最後の夜なのだ。行き先は、「新天地」。今最も上海で話題の、流行の最先端のところらしい。ここに来れば、上海のみならず、アジアの最先端も見へてくるといふ。…まア、このやうな雑誌の与太を信じた訳ではない。が、やはり、水商売に携はる者として、自分の眼で確かめてをきたい。で、タクシーに乗つて新天地へ。

 ははは、なーるほどね。ははは。いや、よーく分かりましたよ。えーと、ほら、よく地方都市が自分のところにもトレンディスポットが欲しくて、有名ブランドなんかを誘致して、いかにも! ってな人工的な小さな街のやうなものを作るぢやないですか。あれ、あれですよ。確かに、個々の店は良かつたりする訳です。しかし、全体の醸し出す雰囲気がねエ。でも、さうと分かれば、それなりに楽しめます。ライブハウスからは、生バンドの演奏で『スタンド・バイ・ミー』なんて聞こへてきたりする訳ですが、これも、ははは、と笑ひ飛ばせます。ブランドショップもありますよ。ギャルソンやアナスイ、ゴルチエにキャシャレル、ミュウミュウ…。

 映画館もあつて、メグ・ライアン主演の『ニューヨークの恋人』とアジア映画『武士』といふ奴をやつてをりました。

TMSK 透明思考

 ひとつ店にでも入つてみるか、と、「TMSK 透明思考」といふバーに入る。ここは、台湾の映画俳優でガラス作家でもある女性と、その夫である映画監督の夫婦がオーナーだといふ。店内には、ガラスアートが散りばめてあり、なるほど、透明思考ですか、といふ感じだ。しかし、まア、…なんと言ふか、一度来たら充分の店、かな。ちなみにここのカクテルは、一杯 1000 円近くする。でも、満員で、あきらかにシナの人達がワイワイ言つてグラスを傾けてゐるのだ。平均月収 1 万 5 千円の国なのに。貧富の差を痛感する。

 店を出て、さらに新天地からも一歩踏み出すと、そこはいきなり真つ暗で、潰れさうな家々が並ぶ。所々に、汚い食べ物屋があり、みすぼらしい格好をした人達が、何やら食べてゐる。とても、おいしさうだ。あれこそ、私のイメージする中国であり、あの情景と新天地が隣り合つてゐるのが、今の上海を象徴するのかもしれない。>> 上海寫眞帳 22 | 23

 タクシーに乗つて、帰る。

クラウド 9

 グランドハイアット上海の 87 階には「クラウド 9」といふバーがある。世界で一番高い(高度が)バーらしく、もちろんガラス張りで、上海の夜景が望める。せつかくグランドハイアット上海に泊まつてゐるのだからと、かなり酔つていたにも拘はらず、繰り込む。暗い。なんでこんなに暗いのか。ああ、さうか、夜景がよく見えるやうにか。ははは。実は、酔つてゐて、この店のこと、よく覚へてゐません。なんかやたら気持ちが良かつたやうな気がするのですが、それはバカは高い所を喜ぶ、といふ習性に拠るものかもしれない。すぐ階下に寝床があるといふ、安心感のなせるわざかもしれない。ははは、なんにせよ、飲み過ぎました。

小川顕太郎 Original: 2003;