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 Diary 2003・1月8日 その 1(WED.)

上海日記 3日目
前編

上海三越白玉蘭上海蟹

上海三越

 上海花園飯店(オークラ・ガーデン・ホテル・上海)に行く。日本のオークラホテルのチェーン店であり、三越が中に入つてゐるからだ。むろん規模は大したことはない。が、情報誌などで、いま最も上海で注目! と紹介されてゐる店が、たくさん入つてゐるのだ。「Lapis Lazuli」「Shaghai Trio」「Which Shanghai」「ANNABEL LEE」……。我々のやうに、時間のない旅行者にとつては便利な所だ。さらに、書のコーナーでは「西冷印社」もあり、私は喜んで印泥を購入した。帰国後、テラダさんに「『西冷印社』の印泥は特殊だから、最近ではあまりみんな使つてゐないけど…」と言はれる事など夢にも思はず。トモコもなんやかんやと、色々購入。

白玉蘭

 このホテルに入つてゐる「白玉蘭」といふ広東料理の店に行く。このホテルで働いてゐる人達は、大抵日本語が喋れるやうだ。ロビーの喫茶室にゐる人達は、「チップはいりません」といつた内容の事が日本語で書いてある札を、胸から下げてゐるくらゐ。この「白玉蘭」のウエイトレスの人達も、片言ながら日本語が喋れる。店自体は大したことはないが、日本語が通じるし、味も日本人好み、さらになかなかサービスが良いとあつて、日本人観光客の間では人気の店のやうだ。我々の隣の席の母娘も日本人で、淀屋橋の地価について話し合つてゐた。ほんとにここは上海か? といふ錯覚に捕らはれる。

上海蟹

 我々はここで上海蟹を注文した。蟹好きを自認するトモコの憧れの上海蟹。実は上海蟹の季節は 9 月〜 11 月であり、1 月は季節はずれなのだが、「それでも構はない! もし見つけたら、即食べるわよ!」とトモコは旅行前から言つてゐたのだが、この「白玉蘭」には店頭に上海蟹がゐたのだ。それが、この店に入つた大きな要因でもある。きつと、季節はずれの高い上海蟹を食べるのは、日本人観光客くらゐなのだらう。ちなみに一番大きな上海蟹を注文したのだが、280 元。篦棒に高い。

 さて、上海蟹を食すには、作法がある。我々も事前に調べていつたものの、やはり初めてだとまごつく。まづ蟹のふんどしを外すのだが、どれがふんどしなのか? そこでこつそりアンチョコを取り出して見たのだが、それを目敏く店の人に見つけられてしまつた。店の人は笑ひながらやつてきて、我々の目の前で上海蟹を解体してくれた。上海蟹を食べたことのある人なら知つてゐると思ふけれど、上海蟹の身はとても少ない。大袈裟でなく、一口で平らげられる。とても贅沢な食べ物だと思ふ。とはいへ、やはり味は絶品。蟹味噌のやうな、蟹の身なのだ。だから、少しづつ食す。私は、少しだけ食す。残りは全てトモコが食す。仕方のないことだ。贅沢な食べ物なのだ。私は、ダチョウの肉を大いに堪能した。こんなにダチョウが旨いとは。

 我々がそこを出ると、店頭にゐた蟹たちの中で、一番大きな奴がいなくなつてゐる。ああ、食べられちやつたのね、と、他人事のやうに思ふ。今度は、旬の季節に食べたいものだ。

小川顕太郎 Original: 2003;