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 Diary 2001・10月13日(SAT.)

煙草と紙幣

 ババさんから借りた『タリバン』アハメド・ラシッド著(講談社)を読んでいたら、ナジブラ元大統領の殺害シーンがあった。ナジブラ元大統領は共産主義政権で 1986 年から 92 年までアフガニスタンを統治した人だが、タリバンに捕まって処刑されている。

 タリバンは、ナジブラを殴り、去勢して、身体を縄で縛ってジープで引きずり回したあと、射殺した。そしてその遺体を吊して、晒しものにしたのだが、その遺体の指には火のついていない煙草が差し込まれ、ポケットにはアフガン文字を書いた紙が入っていたという。

 私はこの部分を読んで、ハッとある写真を思い起こし、本棚をあさった。鬼畜系の雑誌として一時期有名だった「世紀末倶楽部」の第 3 号。あった。後頭部がたたき割られて抉れている所に斧が突き刺さっている男が、首に縄をまかれて吊り下げられ、指には火のついていない煙草と、紙幣を持っている写真だ。キャプションには、たぶんアフガンゲリラの裏切り者、と書かれている。煙草と紙幣の意味は書いていないのだが、『タリバン』によると、酒食に溺れ、腐敗していた、という告発の意味があるという。うーん、もしかしてこれ、タリバンによる処刑かなあ。にしても、エグい写真だ。

 まだ読み始めたばかりなのだけれど、タリバンというのは学生運動なんですね。イスラムの神学校の生徒達の学生運動が、アメリカやパキスタンやサウジアラビアの支援を受けて、つまり大量の武器を貰って、国土を支配するようになったものらしいです。

 日本の学生運動の内ゲバ騒動や、中国の文化大革命など、学生というのは頭でっかちで現実を知らないから、極端に走り、悲惨な結果を引き起こしがちです。タリバンも常軌を逸したほど厳しいイスラム法の解釈を採り、無茶な統治をやっている。女性は完全に教育の機会を奪われ、家に閉じこめられている。男性は絶対に顎髭を伸ばさないといけないし、娯楽は一切禁止。盗人は手足を切られる…など。こういった事から、タリバンは極端なイスラム原理主義、と言われている。が、これはちょっと違うのではないか。

 まあ、日本の学生運動をみたら分かるけれど、学生運動をやっている学生って、ちっとも勉強しないのよね。あるいは、ひとりよがりな勉強をして、分かったつもりの独善に陥っている。タリバンもどうやら、そうらしい。なんか、ちっともイスラム法のことを分かっていないようです。だからタリバンは極端な原理主義、というのではなく、勘違いスレスレのイスラム法解釈をやっている、というのが真相に近いようですね。実際、イスラム世界の他の学者からは、かなり非難されているようだ。

 あー、続きを読もう。

小川顕太郎 Original:2001-Oct-15;