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 Diary 2001・8月6日(MON.)

トラ トラ トラ!

cover 昨日の続き。ビデオで『トラ トラ トラ!』(1970 年)を観ました。20 世紀フォックスの映画ですが、日本側のシーンは主に日本人が撮る(監督は舛田利雄・深作欣二)という日米合作の映画です。日本軍の真珠湾攻撃を描いています。ジェリー・ブラッカイマー & マイケル・ベイの『パール・ハーバー』とは違い、出来るだけ史実に忠実に描かれた映画です。とはいえ、時代の限界もあり、今からみれば「それはちょっと違うだろう」という所もありますが、それでも誠実さは伝わってきます。『パール・ハーバー』のような「牛の糞」とは全然格が違う、という感じです。(ちなみにこの「牛の糞」という言葉は、マイケル・ベイが、ロバート・スティネットの『真珠湾の真実』に対して投げかけた言葉です)

 日米合作というだけあって、日本とアメリカ、どちらが悪くてどちらが良い、という単純な描き方はしていません。国と国との戦いという事になれば、巨大な組織同士のぶつかりあいということになり、組織ともなれば、優秀な人間もいればボンクラも多い。効率も悪い。ということで、ちょっとした行き違いがどんどん拡大し、個々人の善意と努力を踏みにじり、開戦という悲劇に至った。という解釈になっています。

 ルーズベルトの陰謀説なんて、毛ほども出てきません。まあ、それは当たり前。アメリカがそんな映画を撮るわけがない。だからそれは別に不満ではありません。ただ、日本の宣戦布告が遅れたこと、そしてそれによって「真珠湾は卑劣な騙し討ちだ!」という非難をいまだに呼んでいること、その原因となった井口貞夫参事官ら当時の外交官たちの怠慢(前夜にドンチャン騒ぎをして寝坊した!)が描かれていないのは、仕方ないとはいえ、もどかしい気持ちに襲われます。こういう外務官僚の腐った体質が現在まで引き継がれ、(外務官僚始末人としての)田中真紀子の登場にまで繋がっている訳ですから、よけいそう思うのかもしれません。

 それにしても、真珠湾攻撃のシーンはめちゃかっこいいですね! CG を使った『パール・ハーバー』にも全然負けていません。というか、こっちの方がいいかも。なにより、日本兵達が爽やかです。「よっしゃ! やったったでえ!!」という爽快感があります。やっぱ戦争映画はこうでないと!!

 あと、『パール・ハーバー』とかぶっている(当たり前か?)部分もかなりあって、おかしかったです。例えば黒人のコックが日本軍に向かって銃を撃ちまくるシーンとか。これはどうやら実話らしいです。それから、『パール・ハーバー』の主人公二人も出てきます。というか、この二人のモデルとなったジョージ・ウェルチ中尉とケン・テーラー中尉。ハンバース岬上で日本機を 6 機も撃墜した真珠湾の英雄(らしいです)。ただし彼らが撃墜したのは日本の艦爆機らしく、零戦ではありません。彼らに空中戦で零戦をそんなに打ち落とせる力はありません。それなのに、牛の糞映画『パール・ハーバー』では、ボンクラ主人公が零戦を撃ち落としています! 本当に、恥知らずな映画ですね!

 2 時間半の大作ですが、たっぷり楽しめました。間違って『パール・ハーバー』を観てしまった人は、絶対にこの映画を観るべきだと思います。トラ トラ トラや!!

小川顕太郎 Original:2001-Aug-8;