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 Movie Review 2002・12月17日(TUE.)

ブラッド・ワーク

 老いてますます盛ん、72 歳のクリント・イーストウッドの新作を MOVIX 京都のスクリーンで見られる幸福。今回は、『マンハッタン無宿』『ダーティ・ハリー』の演出の師匠、ドン・シーゲルの遺志を継ぐ犯罪サスペンスであり、イーストウッド演じるは FBI 捜査官。連続殺人犯を追います。って冒頭いきなり追っかけが始まり、うーむ 72 歳で FBI 捜査官を演じるのはいくら何でも無理じゃないですか? イーストウッドめちゃくちゃしんどそうやし。心臓大丈夫か? と心配していたら、いきなり 2 年後、イーストウッドは心臓移植手術を受け、術後 60 日の引退した FBI 捜査官となる。72 歳のイーストウッドならではの設定に転じ、おお! なんたる頭の良さ! と私は呆然と感動したのでした。

 心臓移植手術を受け、ノンビリと老後を過ごすつもりでいたイーストウッドが、犯罪に巻き込まれて、「犯罪者を追うハンター」の嗅覚を徐々に取り戻していきます。一旦引退した後、現役復帰するという構成は『許されざる者』と同じですね。イーストウッドは、『許されざる者』で西部劇には落とし前をつけたが、ドン・シーゲル師匠から受け継いだ犯罪サスペンス/刑事アクションでは、まだまだやり残していることがあるのである。白昼堂々ショットガンをぶっ放す、ボケ老人すれすれイーストウッドの年寄りの冷や水に、私は爆笑しつつ「これぞイーストウッドである!」と感動の涙を流したのでした。

 心臓医にアンジェリカ・ヒューストンをキャスティングするなど、脇役の隅々までイーストウッド・タッチが横溢します。ってか、何気ないシーンに伏線を張っておいて「すべてをつなげていく」演出/脚本は最高でございます。微妙に老人力が溢れるシーンもあり、クライマックスはイーストウッドがモタモタして蛇足感漂いますけど、素晴らしいです。

 原作は『わが心臓の痛み』というマイクル・コナリーのハードボイルド小説だそうで、ブライアン・ヒルゲランドが脚色。そう! バチグン傑作『LA コンフィデンシャル』を脚色してアカデミー賞も受賞したブライアン・ヒルゲランドですよ! イーストウッド+ヒルゲランド、夢のタッグです。ミステリーとしてもバッチリと成立しており、お見事。

 イーストウッド次回作もヒルゲランド脚色による、ショーン・ペン主演の犯罪サスペンスだそうで(『Mistic River』というタイトルみたい)、もう、ワクワクですね。犯罪サスペンスジャンルにおける『許されざる者』が登場するその日まで、…って、死ぬまで撮り続けている気がしますが、イーストウッドは要チェック。バチグンのオススメ。

☆☆☆☆(☆= 20 点・★= 5 点)

BABA Original: 2002-Dec-17;

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