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 Movie Review 2003・8月7日(THU.)

ハルク

『X- メン』『スパイダーマン』『デアデビル』など、映画製作に積極的なマーヴェル・コミックス映画最新作が『ハルク』である! ババーン! 監督は、『グリーン・ディステニー』でアクション演出に開眼したアン・リー。

 映画は、漫画のコマ割りを意識したかのような、妙ちくりんな編集が施されております。アン・リーは雇われ監督に徹したのか? はたまた最終編集権を持たず、最初アン・リーが仕上げたところ、余りにもドラマ部分が鈍重すぎるとのプロデューサーの判断で、ついついポップな再編集を施されてしまったのか? それはともかく、アッと驚く斬新な編集で、私は、猛烈な眠気に襲われたのでした。

 こ、これは、酷いかも? しかしそれも、ハルク誕生まで約 40 分間の辛抱です。オタク科学者ブルース怒り心頭に発し、遂にハルクに変身、大暴れするシーンが超素晴らしい! 変な編集も何のその、近頃には珍しく、「アクションシーンに眠くならないアクション映画」になっております。って、それが当たり前のはずなんですけど、例えば『マトリックス・リローデッド』とか、アクションシーンになると眠くなりませんか?

 ことに素晴らしいのが、アメリカ軍ヘリコプター→戦車→戦闘機と、ハルクが次々に闘うシーンです。ハルクの圧倒的な強さに、アメリカ軍はコテンパンのキューで、日頃、アメリカの無茶苦茶なふるまいに怒りを感じている方は、思わず快哉を叫ぶのではないでしょうか? いいぞ! ハルク! ゴーゴー! ハルク! おっと、快哉を叫んでしまいました。戦車の砲塔をもぎ取り、ジャイアントスイングで放り投げるシーンとか最高です。「思い知れ ハルクの怒りは 世界の怒り」と、思わず一句ひねってしまうほどです。

 特撮は、ILM 。例によって CG 満載ですが、ハルクの振り付けはアン・リー自身が演じて行われたそうで、その甲斐あってか、はたまた ILM 創設時からのメンバー、デニス・ミューレンの力量か、久々に、燃える特撮シーンを堪能させていただきました。

 ニック・ノルティが、ハルクの父親を演じてまして、謎の掃除人として登場したり、プードル怪獣を作ったり、行動と言動がわけわからない感じでなかなか良いです。ニック・ノルティは、アメリカ軍を逆恨みしているのですが、ハルクに対して「お前なら、アメリカの横暴をこらしめることができるんだ!」とアジテーションしてみたり、とか。

 上映時間は 2 時間 17 分もあり、斬新な編集のおかげで、ドラマ部分が退屈この上なかったり、クライマックスのアクションがいつもの ILM 風で、いまいち盛り上がらなかったりしますが、ハルクがアメリカ軍をやっつけるシーンだけでも見る価値ありでございます。ぜひ、前半ガマンガマン、後半、バチグンオススメの傑作特撮アクションシーンをお楽しみくださいませ。字幕は戸田奈津子氏。ひょっとしたら、日本語版の方はドラマ部分も面白かったりするかも知れません。

☆☆☆★★(☆= 20 点・★= 5 点)

BABA Original: 2003-Aug-6;

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