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 Movie Review 2002・12月20日(FRI.)その2

ウイークエンド

 白状しますと私、名作の誉れ高い『勝手にしやがれ』を見て何が面白いのかさっぱりわからなかった幼少の頃よりゴダールは苦手でして、ゴダールの映画はたいてい途中でぐーぐー寝ちゃうのですけど、そんな私でも『カラビニエ』『万事快調』『軽蔑』『中国女』『映画史』なんかは、脳天にキューンと来るほど(?)面白かったのですが、お? ここにあげてるゴダール作品は、脱線が少なくて映画に一本スジが通っておりますね? ところが今回リバイバルされた『ウイークエンド』は、製作途中で飽きちゃったのではないのかしら? と思っちゃうくらい脱線につぐ脱線、映画を撮ってるときはもっと集中しなさい、というか。映画史上に有名な、道路に延々とクルマの残骸や死体が散らばる 300 メートル長回しも「おースゲー」と驚いてはみたものの、100 メートルくらいでコクッ、コクッと、おおっとウトウトしてしまったぜー、って映画を見ているときはもっと集中しなさい、というか、部分的に印象的なシーンは多々あるものの、どうも 1967 年当時の拝金主義、プチ・ブルジョア根性が批判されているようであり、ミレーユ・ダルク演じるキャラクターの道徳心・倫理の欠如っぷりは天晴れなのですけれど、ひたすら逸脱、脱線、余談、例えばモーツァルトがどうこう、マルコム X やエンゲルスからの引用が散りばめられて、それが一体何なんや? …と、ジッと考察している間に映画はドンドン進行、疑問はおいてけぼり、パンフレットの文章を読んでみれば、これは何の引用、何に言及、何にオマージュ、と蘊蓄・教養のオンパレード、口々に「面白い」「最高」「素晴らしい」「笑える」「大傑作」「女房を質に入れても見ろ」と讃辞が書き連ねられ、ふむ、さてはこの『ウイークエンド』を享受するには私の教養が少しく不足していたのですね、この作品が笑えぬとは可哀想なヤツだなぁ俺は、と一人ごちた。ていうか、この映画をまっさらな新作として見ておれば「ゴダール最高!」と騒いだ気もしますが、色々と予備知識が入っちゃった状態で見てしまうと映画体験としては貧弱。まあ「遠くのゴダールより近くのジョン・カーペンター」と申しましょうか。ってよくわかりません。ていうか、この映画を「傑作」と誉める人がいる、世界は広いなあ、と思いました。

 メチャメチャ笑える方もおられるようなのでオススメしておきます。

☆☆★(☆= 20 点・★= 5 点)

オイシンOH! DELICACY Original: 2002-Dec-20;

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