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 Movie Review 2002・12月6日(FRI.)

笑う蛙

 傑作『愛を乞う人』の平山秀幸監督、『OUT』が先だって公開されたばかりというのにだ、矢継ぎ早の新作。さて坂の上の一軒の家に忍び込む長塚京三。かつては銀行の支店長だったのですが、使い込みが発覚して逃亡中の身の上です。忍び込んだのは、妻の父親の別荘で、妻・大塚寧々に見つかってしまってさあ大変。ゲコゲコ。長塚京三は頼み込んで、なんとか一週間だけ物置にかくまってもらうことになりますが、節穴を通して、妻の情事やなんかをのぞき見ることになる…。ババーン!

 登場人物は、ほんの数人、舞台は別荘一軒にほぼ限定、音楽はほとんど使われず、というストイックな設定です。平山秀幸の演出力の確かさがピカリと光りますね。成瀬巳喜男的な、コストパフォーマンスの高い映画となっております。

 そいでから、宣伝を見ると、さてはエロエロか? と思いますけど、あんまりエロでなくて、どんどんとコメディの様相を呈し、夫、妻、妻の愛人、妻の家族を巻き込んでの頓珍漢な親族会議は爆笑の連続…って、他のお客さんはあまり笑ってなかった気がしますが気にしません。

 思いっきり情けない役の長塚京三が良いのは、みなさま先刻ご承知かもしれませんが(知らんか?)、夫の裏切りに会い、家族の俗物ぶりに愛想を尽かしまくるハードボイルド妻、大塚寧々が微妙に色っぽく、たいそうよい感じです。果たしてラストの呟きの真意や如何。

『OUT』といいこの作品といい、平山秀幸監督は、日常の中の、客観的に見ると変な人、を描かせたら当代随一でございますね。地味ですけれど、ガッチリと構成された映画をご堪能ください。オススメ。ゲコゲコ。

☆☆☆★★(☆= 20 点・★= 5 点)

BABA Original: 2002-Dec-06;

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