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Movie Review 7月17日(TUE.)

クロコダイル・
 ダンディー in L.A.

公式サイト: http://www.dundee-la.com/

 グッダイ! ご存知オーストラリアの田舎者ミック・ダンディーが映画の都ロサンジェルスで大暴れ! ヒット作『クロコダイル・ダンディー』、13 年ぶりに突如出現した第 3 作です。

 ミック・ダンディーはオーストラリアのワニ・ハンター。内縁の妻の仕事の都合で、息子を含む家族三人、L. A. に移住することに。マッチョな田舎者が L. A. で巻き起こす珍騒動の数々…と、話を聞いただけで目眩がするほど面白そうなのですが、実際カルチャー・ギャップネタ満載のノンビリとした快作に仕上がっています。

 が、のほほんとした物語の影には、世界支配を目論むアメリカに対する、オーストラリア人の抵抗のメッセージが隠されていたのでした。がーん。

 オーストラリアのド田舎にもアメリカ文化の魔の手がヒタヒタと迫ってきています。ミックは何不自由せずワニを捕まえて悠々自適の生活を送っていたのですが、生活の糧のワニは保護動物に指定されてしまい、ワニ・ハンターなる職業は過去の遺物、見せ物になり果てています。またアボリジニはといえば、先祖が持っていたはずのテレパシー能力を捨て去って携帯電話に頼る始末。ダンディー家にもアップル社の iBook が置かれていたりと、アメリカの文化帝国主義は、オーストラリアの辺境においても均質なライフスタイルを強いてきています。

 どうにもこうにも鬱陶しいので、いっそメディア戦略の本拠地 L. A. に乗り込んで、手始めに映画的不正者を懲らしめてやるぜ! と勇躍ベバリーヒルズへ。

 ミック・ダンディーはどんな動物とも立ちどころに仲良くなれる能力を請われ、チンパンジーのトレーナーとして映画スタジオに入り込み、ついに映画撮影を隠れ蓑にした密輸の陰謀を突き止めます。悪党どもが撮影している映画が『リーサル・ウェポン』シリーズを連想させるのは偶然ではありません。オーストラリアの田舎者/無法者だったのに今や「セクシーハリウッド男優 No.1」などともてはやされ、いい気になってるメル・ギブソン許さん! アメリカに魂(ソウル)を売り払いやがって! パニッシュ・バッド・シネマ! カス続編の連発は直ちに中止せよ!…実に久しぶりに『クロコダイル・ダンディー』の続編が作られたのは、続編連発アメリカ映画に対する異議申し立てだったのです。続編をもって続編を制す。か?

 監督はオーストラリア出身、『ヤング・インディ・ジョーンズ』シリーズなどのテレヴィドラマや『ハーレー・ダビッドソン & マルボロマン(これはちょっと面白かった)を撮ったサイモン・ウィンサーです。アメリカ映画の中枢にいながらにしてオーストラリア映画人の魂(ソウル)を見失っていません。私は、主演/脚本ポール・ホーガン、監督サイモン・ウィンサーらに「セシル・B ・ディメンテッド主義」とも言うべき気骨を見出し、呆然と感動したのでした。適当。ぜひ、映画的不正者を懲らしめるシリーズを作っていただきたいものです。ワニ・ダンディー 次はパリーか 東京か。

 強力な父性の持ち主ミック・ダンディーと、その息子のやり取りもまた微笑ましく、『フリントストーン 2』のようなアメリカ産バカ続編とは違う、ということでなかなかのオススメです。

BABA Original: 2001-Jul-17;

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