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Movie Review 2000・10月7日(SAT.)

オータム・イン・
ニューヨーク

 アメリカ随一の「犬」顔俳優リチャード・ギアと、元ゴス少女ウィノナ・ライダーの、親子ほど歳の離れた二人の悲恋物語。

 R ・ギアはニューヨークの人気高級レストランのオーナー。「NewsWeek」の表紙にもなったり。若い女の子をとっかえひっかえつまみ食いしまくる小金持ちだ。最低というか、くそったれというか、うらやましいヤツ。48 歳。

 自分のレストランに誕生パーティで来ていたカワイコちゃん、創作帽子デザーナー、22 歳のウィノナ・ライダーにさっそくモーションをかけ、見え見えのウソで彼女をパーティに誘い出し、さっそく一発。軽すぎるぜ!

 さて、翌朝、高級マンションのベランダで朝食を食べながら、いつものセリフだ。「誤解されると困るから、ここで言っておく。キミとはこれ以上の関係になるつもりはない。コレっきりにしよう」。…うーむ。一回こっきりとは。どうも W ・ライダーのベッド・テクがお気に召さなかったようです。

 お手軽・尻軽女と思われては元ゴス少女の名がすたる、とばかりに W・ライダーは告白する。「あたし、心臓の病気でもうすぐ死んじゃうの…」。

 これには人でなし(実は犬)の R ・ギアも、根は小心者だからたまったものではない、ということで、秋から冬にかけてのニューヨークを舞台に、小綺麗な風景を散りばめながら、ため息が出るようなラヴ・ストーリーが展開する。やれやれ。

 まあ、どうせ一年の命だし、今回はちょっと長めにつきあってみるか、と、R ・ギアは柄にもなくナイス・ステディぶりを発揮。しかし、自分の犬顔を自覚していたのか、ハロウィン・パーティで「犬」の仮装をしてワンワン言ってるうちに「犬」の本能がムラムラとよみがえり、こっそり昔の彼女と一発やっちゃう。犬はしょせん犬。さては W・ライダーのベッド・テクに欲求不満をつのらせていたのか?

 可哀想なのは余命幾ばくもないのに、こんな犬にひっかかった W ・ライダーだ。許せん! と絶交するが、やっぱり死ぬときに恋人がいないのはゴス的にも耐えられない、ということでうやむやのうちにヨリを戻す。それからは、心臓が弱いのでセックスを控える、なんてことは犬にはムリなので、せっせとセックスに励む。

 犬の迷惑は死ぬまでつきまとう。W ・ライダーは、手術しても助かる見込みがないので「延命拒否」の書類にサインしていたのだが、犬には彼女の崇高な決意を理解することあたわず、ムリヤリ世界的な名医の執刀で身体を切り刻まれた後、あっけなく死亡。

 この映画の教訓:犬とつきあうと、ろくなことはない。

 一応、犬は、徐々に反省、やっぱりオレも 48 歳だから、孫くらいいなきゃあ、と昔捨てた女性の子どもと交流を深め、よきジジイとして生きる決意を見せて映画は終わる。さあ、次は「悲恋」をネタに、じゃんじゃん女の子をくどきまくるぞ! と犬が思ったかどうかは知らぬ。

 監督は中国出身の元女優、『ラスト・エンペラー』の女スパイが記憶に残るジョアン・チェン。『シュウシュウの季節』で監督デビューしていたらしいがこれは未見。女性の視点で「犬」の生態をあばくことに成功している。とりあえず『さらばわが愛 覇王別姫』『赤いコーリャン』のクー・チャンウェイによる撮影が美しいのでオススメ。ってか、R・ギアのファンの方、こんなレビューですいません。ボクも一応、ファンです。R・ギア最高!

BABA Original: 2000-Jan-07;

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