京都三条 カフェ・オパール Cafe Opal:Home

Home > Reviews > 00 > 1005
Movie Review 2000・10月5日(THU.)

ワンダーボーイズ

 全然話題にもなっていないようで、日曜最終回の上映の観客はボクも含めてたった 3 人。実際地味な映画なのだが、実はこれ、傑作『L・A・コンフィデンシャル』のカーティス・ハンソン監督作、ヒットはとうてい望めぬがなかなかの佳作。

「ワンダーボーイズ」とは? いわゆる「神童」ってことで、かつての神童…ってもう中年なんだけど、5 年前にヒットを飛ばしたが二作目が書けない、てか、ホントは書いているんだけど 2600 ページを費やしても結末にたどり着けない泥沼状態の作家マイケル・ダグラスが主人公。劇中、なにかと話題にされるマリリン・モンローの元夫、ジョー・ディマジオも「ワンダーボーイ」と呼ばれてたらしいね。

 マイケル・ダグラスの作家、かつ大学教授が、女房に逃げられ、教え子の奇行にふりまわされ、編集者がからんで話がよけいにややこしくなって…、という三日間のドタバタ。『アメリカン・ビューティ』と同様の「中年男の成長物語」であり、インテリの、クリエーティブ・パワー枯渇に対する恐怖を描く。

 クリエーティブ・パワーとは、常識を打ち破らんとするもので、往々にして奇行を伴う。マイケル・ダグラスは、マリファナを吸ったり、処女作を書いたときのガウンを着続けていたりと、本人は奇行に走っているつもりでも、新しいワンダーボーイ=トビー・マクガイアの暴走ぶりにはたじたじだ。やれやれって感じで、えげつない泥沼、とまではいかないけれど翻弄されるプロセスが笑かしてくれる。

 やがて主人公は、さまざまな出来事、人との出会いを経て、最大の心労のタネをかたづけ、心おだやかに創作にうちこむ、ってことで、あまりに楽観的な結末には拍子抜けだが、筋金入りにオーソドックスなカーティス・ハンソンの演出は安心して見ていられるので、地味な映画好きにはオススメだ。

BABA Original: 2000-Jan-05;

レビュー目次

Amazon.co.jp アソシエイト