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 Diary 1999・11月17日(WED.)

ボルト一本

 祖父と祖母が紅葉を見に京都までやってきたので一緒に食事をする。場所は「祇園丸山」という懐石料理。懐石なんて何年振りだろう。うまい。祖父と久しぶりに話を出来たのも良かった。私は祖父の話を聞くのが好きだ。たいてい昔話なのだがそれがまたいい。私はまず確実にこの祖父の血を濃く受け継いでいるが、その祖父の歩んできた強烈な人生と自分の人生の対比を試みるのがとても興味深いのだ。しかし、私はあと何回この祖父と話を交わすことが出来るだろうか。

 今日は天皇が御所でのお茶会に出ているとあって、街中に自衛隊の車が走り回っている。天皇制反対のデモも道を練り歩いている。「差別につながる天皇制反対! ガイドライン法案と並立する天皇制を許すな! 破防法と…」てな具合に叫びながらデモをしている。人数少なし。天皇は京都に帰ってきたほうがいいのではとフト思う。権力の中枢である東京にいるより、無力な一地方都市である京都にいるほうが、「象徴」としてふさわしいのではないだろうか。京都のパリ化を防ぐことも出来るし。

 ロマン座マツヤマさんが来店。素敵にくさいチーズをいただく。ネット上では熱い男の闘いを繰り広げるマツヤマさんも、実際に会ってみると気のいい兄ちゃん風。しかし我々としてはマツヤマさんの呼称を「カリスマ美容師」から「男気美容師」に変えようかと検討中。ダメかな? 「じゃあ、ワインをボルトで一本」待ってました! マツヤマさんのためにわざわざワインで作ったボルトを用意していたのだ。マツヤマさんはワインボルトをチーズの中に埋め込んで食べていました。

 オイシンが来店。「ポリー・マグーお前は誰だ?」をみなみ会館で観てきたらしいのだが、ちっとも面白さが分からなかったらしい。そんな事でどうする、だからオイシンはダメなんだ、とババさんと一緒にいじめていたら、そこにみなみ会館のサワダマユミさんがやってきて、実をいうと他のお客さんもそういった反応が多かったと教えてくれる。

 そういえば私も映画の冒頭から笑いまくっていたら、私とトモコ以外誰も笑っていないのに気がついて、きまりわるくなったのを覚えている。やはりこの映画を「お洒落・ファッション映画」と思って観に来た人達にはダメなのか。ある意味そういった人達を徹底的に馬鹿にした映画でもあるものなあ。

 あるいは自分が期待していたものと違うものだったからとまどった、自分が観たことのない種類の映画だったから楽しみ方がわからなかった、のか。しかし自分が相対化される快感、(期待が)裏切られる楽しみ、未知のものを楽しむ能力がなければダメだと思うぞ。要するにみんな子供なんだね。オイシンなんか精神年齢 12 歳ぐらいだし。まあオイシンも「ポリー・マグー」みたいな徹底してクールな映画を楽しめるようにオパールで修行して下さい。モンティパイソンなんてどう? 好き? 「モンティパイソンって何ですか?」……オパール来る前に修行してこい!

小川顕太郎 Original:2000-Nov-19;