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 Diary 2004・11月11日(Thu.)

エミネム

 (多分)日本のレコード会社がやつてゐるエミネムに関するサイトで、問題になつてゐる新曲2曲のPVを観た。ニューアルバム『Encore』からのファーストシングル『just lose it』とセカンドシングル『Mosh』のビデオだ。『just lose it』は、マイケル・ジャクソンやハマー、ピィーウィーのソックリさんが出てくるもので、歌詞の内容は分からないが、ビデオを観るかぎり、かなりマイケル達を揶揄してゐる。これがアメリカでも大きく話題になつてゐて、マイケルが圧力をかける事で、BETではすでに放送禁止が決定したし、MTVなどにも圧力がかけられてゐるやうだ。また黒人の人気コメディアン、スティーブ・ハーヴェイの人気ラジオ番組にマイケルが電話出演し、エミネムの非道を非難、ハーヴェイもこれに同意し、「エミネムはゲットーへのパスを失効した」と発言して、エミネム排撃の動きを起こしてゐる、といふ。私は最初にこのニュースをきいた時に、やはりさうなのか、と思つた。以前から、マイケルの悪口は黒人たちの間ではタブー、といふ噂があつたからだ。

 確かにマイケルは色々と問題の多い人だし、黒人たちも私的には様々な揶揄・中傷をしてゐるだらうけど、やはり白人世界にも圧倒的影響力のある「我々のブラザー」として、黒人たちは対外的にはマイケルの悪口を言はない、言つてはいけないといふ雰囲気が黒人間にある、と言はれてきたのだ。それを、ただでさへ白人でヒップホップをやつてゐるエミネムがマイケルを揶揄すれば、問題が起こること必至。もちろん、エミネムはそれを百も承知でやつてゐるのだらう。私はチョット感心した。あへて憎まれ役を買ふ、といふのは、なかなか出来ることではない。私はさういつた人が好きです。

『Mosh』の方は、ブッシュ批判の曲だ。いや、これも、歌詞を読めば単純なブッシュ批判の曲ではなく、もつと大きく権力を撃つ! みたいな曲らしいのだが、少なくともPVは100%ブッシュ批判。といふか、大統領選でブッシュを蹴落とさう! といふ内容のPVなのだ。アニメなのだが、ブッシュのインチキ・悪行が色々と描かれ、怒つた民衆が選挙に向かう、といつた内容で、最後に「VOTE! NOVEMBER 2」と出る。明らかに大統領選に照準を合はしたPVなのだ。が、結果はみなが知つての通り、ブッシュが勝利した。負けたね、エミネム。残念だつたね、マイケル・ムーア。まァ、これに関しては、「選挙なんか行くな!」と言つたナズを支持してゐますから、私は。

 要するに、民衆のリーダーとして権力と対峙するアーティストより、民衆の憎まれ役を買つて出るアーティストの方が私は信用できるし、好きだといふこと。エミネムはこの二面性をうまく使ひ分けやうとしてゐるやうだが、さて、どうなるのか。楽しみである。

 ただ、エミネムのフロウはどうにも好きになれないんだよねェ。

小川顕太郎 Original: 2004-Nov-13;