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 Diary 2004・4月8日(THU.)

花の寺

「花の寺」こと天台宗勝持寺に行く。ここは櫻の季節になれば多数の櫻によつて寺が埋もれたやうになることから「花の寺」と呼ばれてをり、西行ゆかりの地としても名高い。また太平記において、佐々木道誉が当時の将軍の花見の催しに対抗して、まれにみる豪華絢爛な花見の催しを行つた場所としても有名な所である。阪急東向日駅で下車して、駅前からタクシーに乗つて 10 分ほど、私とトモコとユキエさんの 3 人は、「花の寺」の前に立つた。

 すでに少し遅かつたのか、園内の櫻は半分ほど散つてをり、花で寺が埋もれてゐるやうに見える、といふ事はなかつたが、その分人々でごつた返してゐるといふ事もなく、静かでなかなかに気持ちがよい。座敷にあがり、花を眺めながらお抹茶をいただく。話題の西行櫻は、別にどうといふこともなくて、これが謡曲「西行櫻」のもとになつた櫻か、と自分に言ひ聞かせても、何故か「世の中に絶えて櫻のなかりせば 春のこころはのどけからまし」といふ在原業平の歌ばかりが頭に浮かんできて、ちつとも西行の歌は浮かんでこなかつた。こころも、非常にのどかだつたし。

 そこを出て、大原野神社に参詣する。ここは奈良の春日神社を勧請したところとて、至る所に鹿の意匠がある。小さいが、朱色も印象的な気持ちの良いところ。境内には、少しいつた所に春日茶屋といふお茶を飲むところもあつて、池のそばに出してある机のところでお茶をいただいてゐると、サーッと風が吹くたびに櫻が散つてあたりは花の嵐のやうな様になり、趣深い。私は二段弁当といふものを食したのだが、かういふ観光地にある店としては手を抜いてゐなくて、驚く。

 最後にもうひとつ、これもそばにある正法寺といふお寺に行くが、ここもまた良かつた。山門にゐる春日不動尊や庭にゐる作り物の鶴、石を動物に見立てた(何故かペンギンがゐる!)石庭、唐突にある水琴窟など、全体に漂ふキッチュ感、チープさが、良いのだ。走り大黒天といふ、我々に福を授けようと走つてくるキュートな大黒様を飾つた座敷で、借景になつてゐる石庭を眺めてゐると、時間が経つのも忘れてしまう。白い砂が敷き詰められた庭に、櫻の紅が非常に印象的だ。毎日ここに座つて外を眺めてゐれば、目が良くなるだらうなァ、などと考へる。

 河原町に帰つてきて、「STEEZ」といふ服屋さんに行く。ここはチカーノ系の服や雑貨が充実してゐるところで、店内にはローチャリも飾つてあり、店員さんは完全にチカーノスタイルだし、京都にこんな店があつたのか! と嬉しい驚きを覚える。素晴らしいです。

小川顕太郎 Original: 2004-Apr-10;