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 Diary 2003・2月24日(MON.)

★を探す男たち

 イチモトくん来店。ビールを飲みながら、例の如くぼやき始める。

「ほんま、ついてないんですよ。この間も酔つぱらい過ぎて携帯電話を壊しまして、携帯屋に換へに行つたら、写メール付きのしか売つてない。写メールなんて要らないぢやないですか、このボクに。で、今ボクの持つてゐる携帯は、まだ買つてから 1 年も経つてゐないんで、同じ機種はないのかときけば、生産中止だと言ふんです! 作れよ! …他にはゲーム機能付きとかね、要らんやろ! そんなもん! それなら、インターネットのダウンロードの容量を増やして欲しい。レコードのリストとか、容量オーバーでダウンロードできないんですよ。…で、結局、買はずにその店を出たんですが、フッと見ると、店の入り口に『写メールぢやなきや送れない』とか書いてあるんです! 送れるっちゅーねん! 写メールぢやなくても! …まあ、相変はらず★は探してゐるんですけど、なかなか見つからない。いや、あるんだけど届かない。仕方なく、部屋でドップリとソウルを聴く日々です。いいなあ、『STAR OF LOVE』。……それにしても、サクライくんのエア・ギターは凄いですよ。一度、見て下さい。」

 ちなみに、エア・ギターとは、ギターの弾きマネのことらしい。何も持つてゐないのに、いかにもギターを弾いてゐるやうに見せる技のことで、アメリカでは毎年「全米エア・ギター選手権」とかいふものが行われてゐるくらゐポピュラーなものらしい。知らなかつた。

 ナカムラくん来店。すつかり営業マンとしての風格が身に付いてゐる。トモコが、ナカムラくんのスーツをしみじみ見ながら、言つた。

「営業つて、大変なんでしよ。」

「はい、もうたまりませんよ。飛び込みはつらい。胃が痛みます。苦し過ぎます。」

「さう…でもナカムラくんの『苦しい』って、基準が低そう。」

「何を言つてゐるんですか! ボクはねえ、去年だけで 5 回泣きましたよ!」

「ナカムラくんって、すぐ泣きさう」

「な、泣きませんって! ボクは簡単には泣かない男なんですよ、それが…なんて自分は馬鹿なんだ! って、駅の噴水を叩きながら男泣きに泣いたんですよ…」

「あら、でもナカムラくんって馬鹿だし」

「まあね…って、何を言ふんですか! さういふ問題ぢやなくて、仕事をやる上でね、なんて自分は要領が悪いんだ! って、男泣きに…」

「要領も悪いぢやない」

「…いや、まあ、さうなんですけど…」

「でも良かつたわね、自らの真の姿が見へて。やはり仕事といふのは、自らを映し出す鏡でもあるわね」

「はあ…さういへば、今度出る R. ケリーの新譜、予約しましたよ。ボク、R. ケリーの大ファンなんです。」

「あー、分かる分かる。ナカムラくんって、ロリコンっぽいし。やはり、音楽もその人の姿を映しだすわよねー」

「なんでですか!」

 ナカムラくんは、R. ケリーを意識したと思しき眼鏡を直しながら、さう叫んだ。

 今日は 21 時から、マイケル・ジャクソンの特集番組をやつてゐる。イギリスで制作・放送され、視聴率 60 %を獲得したといふ、話題の番組の日本での放送だ。それ故か、お客さんが全然来ない! みんなテレビを見てゐるのか? 私も見たいぞ。

 最近は夜が寂しいです。

小川顕太郎 Original: 2003;