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 Diary 2003・4月10日(THU.)

THE ROOTS

 大阪ブルーノートにて行はれた THE ROOTS のライブに行く。THE ROOTS は、フィラデルフィアのヒップホップグループである。ヒップホップグループとしては異色の存在で、生演奏を身上とする。先頃出した新譜『フリノロジー』では、ヒップホップの概念を大きく更新するやうなアバンギャルドな展開をみせ、大きな話題となつた。

 さて、私は特に THE ROOTS のファンだといふ訳ではない。また、新譜に必ずしも肯定的な訳でもない。が、オパールの定休日の木曜日に、大阪で行はれるヒップホップの来日アーティストのライブなど、そうそうある訳でもないことから、さらに、やはりライブに定評のある THE ROOTS のコンサートを体験しておきたいといふ気持ちもあつて、8500 円(税別)といふ大枚をはたいて、乗り込んだのであつた。

 しばし開演が遅れたのち、カウベルを叩くクエストラブを先頭に THE ROOTS のメンバーが楽屋から現れ、客席を通つてステージへ。みんな思つたほど背が高くなく、意外な感じがする。ブラック・ソートとスクラッチの二人が、「ミンナタ・テ!」「アバレロ!」「オンナノ・コ!」と日本語で煽りまくり、いきなり客席のほとんどが立ち上がつて、会場はブルーノートらしからぬ(?)雰囲気に。ちなみに、この二人はエビスジーンズを穿いてゐた。とにかく最初から、凄い勢ひで押してくる。曲間は基本的になしで次々と畳みかけてくる。正直言つて、最初は私はよくボーカルが聞こへず、少々戸惑つてしまつた。私はステージ真横の最前列にゐたのだけれど、場所が悪かつたのか? しかし、私の隣にゐたトモコはよく聞こへたさうで、ナズをディスしてゐるとも言はれる『Thought @ Work』では、ナズの『Made You Look』のフレーズを歌つたと主張するが、私にはよく分からなかつた。さすがに、両曲のサンプリング元である『アパッチ』を、演奏したのは分かりましたが。

 しかし、基本的には非常に楽しいライブであつた。ライブバンドらしく、各人のソロパートがあつて、それぞれ良かつたのだが、やはり『?vsスクラッチ』のライブ版が面白かつた。スクラッチは、ヒューマンビートボックスや口スクラッチをやるのだが、彼と楽器の対決、といふのを THE ROOTS のアルバムは収めてゐて(前作、前々作)、それのライブ版だ。スクラッチ対ドラマーのクエストラブ(とパーカッションの名前は多分ナックル? いや、フランキー・ウォルカー?)。スクラッチは、ヒューマンビートボックスや口スクラッチは当然のこと、レコードの逆回転やカットインの連続による繋ぎ、なども口技で披露し、さすが!であつた。ギターのベン・ケニー(多分)が、歌パートのほとんどを担当。『Break You Off』のミュージックや、『The Seed』のコディ・チェスナット、『You Got Me』のエリカ・バドゥと、歌いまくつてゐた。

 最後はまた、カウベルを鳴らしながら客席を通つて楽屋へ。観客の拍手は鳴りやまない。1 時間ちよつとの短いステージではあつたが、濃密な内容であつた。私は、ベースのハブがステージ上でも(だからこそ?)煙草を銜へてゐること、クエストラブが髪の毛にアフロ用の櫛を突き刺してゐること、が確認できて満足した。

 ライブ終了後、お金を精算するためにレジに並んでゐると、楽屋に、(多分)エビスジーンズのヤマネ社長が入つていくのが見えた。なるほど。

 久しぶりのライブは、とても楽しかつた。店を始めてからは、おそらくまともなライブには顔を出してゐないはずだ(この間のファーサイドは別にして)。最後に観たのは、ロンドンのジャズカフェでのコートニー・パインか? とにかく、やはりライブはいい。が、次はやはり、ウエッサイ勢のコンサートに行きたいよなあ。

小川顕太郎 Original:2003-Apr-12;