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 Diary 2003・4月9日(WED.)

真性差別主義者

 今年(かな?)の教科書の検定で、黒人の絵を描き直させてゐたさうですね。唇が太く書かれた黒人の絵を、差別の助長に繋がるとして、唇を薄く描き直させたさうです。……まあだ、こんなバカな事をしてゐる奴がゐるんですね。もちろん、描き直させた奴のことですよ。差別をなくさう! と叫びながら、真の差別を助長する、真性差別主義者たちです。

 だいたい、なんで唇が太いのがダメなのか? それはもちろん、この人たちが、唇は薄い方がいい(さらに言ふなら、鼻は細い方がいい、肌は白い方がいい、髪の毛は金色の方がいい)と、要するに白人の方がいい・美しい、といふ偏見を強固に持つてゐるからでせう。まあ、いいんですよ、どんな偏見を持たうと。私だつて、あらゆる偏見に満ちてゐますから。ただ、「差別をなくすため」と称して、自らの偏見を他人に(普遍的なものとして)強制する、となれば問題です。私は、昔から、こういつた真性差別主義者たちが嫌いで嫌いで。小学生の頃に、作文でかれらを糾弾する文章を書いたことがありますし、黒人のサンタクロース(ヒップホップの格好をしてゐる)の人形が、差別を助長するとして撤去された、といふ新聞記事を、怒りのあまり切り抜いて、色んな人に見せて、悲憤慷慨しまくつてゐたこともあります。また、手塚治虫のマンガの黒人表現を、差別的だとして訴へた、神戸の親子 3 人(だつたかな?)で作られた黒人差別をなくす会、とやらに、家も近いことだし、真剣に抗議に行こうかと思ひ悩んだこともあります。カルピスのオットー・デュンケルの絵やチビ黒サンボの本が廃された時も、怒りのあまり卒倒しさうになりました。そして、今日もまた、このやうなニュースを聞かされた訳です。

 でも、ね…、もう、なんか疲れました。あまり怒りが沸いてきません。もう、虚脱感だけ。バカは死んでも治らないと言ふし、まあ、そんなもんなんでせう。なんか…さういへば、さきほどテレビで、バクダッドが陥落したと。そのニュース映像を流してゐました。イラクの民衆が喜び、フセインの銅像が引き倒され、ラムズフェルドが「アメリカ軍はイラクを解放した、自由と民主主義の勝利だ」みたいなことを喋つてゐる…なんか、脱力しますね。ただ、ただ、脱力。あんまりにも茶番です。なんか、もう…。

 ジェイ・Z のビデオクリップ『EXCUSE ME MISS』を観たんです。もう、ジェイ・Z が死ぬほど格好よくて。この世に、これほど格好良い人がゐるだらうかと、トモコとともに居間でひつくり返つて、3 回も観直しました。あ、ちなみに、ジェイ・Z は、黒人です。凄く、唇が厚いです。そして、ビックリするほど格好よいんです。この気持ち、分からないだらうな…。ジェイ・Z 、格好良すぎ。なんとかしてほしいです。

小川顕太郎 Original:2003-Apr-11;