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 Diary 2002・1月4日(FRI.)

チアーズ!

 みなみ会館に『チアーズ!』を観に行く。アメリカのチアリーダー達を描いた作品で、ストーリーは大雑把すぎる、と言ってよいほど単純明快。が、ダンス満載・かわいい女の子満載・青春の輝き満載で、最高の 1 本だった。

 思わず泣いてしまった、というトモコとも意見が一致したのだが、実を言うと、10 年前なら楽しめたかどうか、かなり疑問の作品でもある。それは、私もトモコも青春の輝きには無縁の人間だからで、もっとはっきり言えば、青春や若さを憎悪していた人間だからだ。中身がないくせに、若さ故の傲慢と勢いではしゃいでいる連中の事を、真剣に憎んでいた。それ以上に、そんな連中と同様に若く・無知・無力な自分に対して、苛立ちがあった。高所から見れば、自分も「そんな連中」と同類なのだ、という事実に耐えられなかった。つまり、私も「そんな連中」と同様に、若さ故に傲慢だったのだ。

 それが、この年になると(現在 32 歳)、青春の輝きを「愛おしい」と思えるようになってきた。なぜなら、一部の人間を除いて、青春の輝きを体現したほとんどの人間にとって、それが人生最後の輝きだったりする、という事実の重さが分かったからだ。

 例えば、チアリーダーというのは、学校生活に君臨するセレブだ。その中で、さらに頂点を極めたクイーンと呼ばれる女の子でさえも、学校卒業後は、学校時代のヒーローだった頭のからっぽなスポーツ選手と結婚し、頭がからっぽな故に仕事もうまくいかず、生活は苦しくなり、喧嘩が絶えず、その夫に暴力を振るわれ、子供を抱えて離婚し、ひとりで生きて行かなくちゃならないんだけれど、なまじプライドが高いだけに周りの人間とうまくやっていけず、こんなはずじゃなかったと、自分の学園時代の栄光をひたすら懐かしむ、という人生を歩んだりする。ソダーバーグ監督の『エリン・ブロコビッチ』みたいに。

『チアーズ!』の中で、元気に飛び跳ねている女の子達を見ていると、「諸行無常。おごれる平氏は久しからず。唯春の夜の夢のごとし…」といった言葉が浮かんできて、それ故に、いっそう彼女達の姿がまぶしくみえる。こういう感覚って、日本人的か。

 さて、青春を憎悪していた私やトモコの現在は、いかがなものであろうか。それは、もう、オリジナルラブの『朝日のあたる道』ですよ。「いつの日よりも 今の君が一番 愛おしい MY SWEET HEART」ってね。田島貴男も、青春を憎悪したくちかもね。まあ、音楽を真面目にやる連中っていうのは、たいてい青春を憎悪していますが。

 とにかく! こういった御託とは関係なく、ダンス満載の映画は必見だー!

小川顕太郎 Original:2002-Jan-6;