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 Diary 2001・9月23日(SUN.)

働く神様

 伊勢神宮のお土産で、「おいせさん」という絵本を買ってきた。これはなかなか良い本で、伊勢神宮参拝の仕方や神宮に関する知識が、絵と五七調の文章で簡潔にまとめてある。大阪神社庁発行と書いてあるけれど、どこだろうか?

 それはともかく、私は来る常連さんに次々とこの絵本を見せていたのだけれど、タケダくんが「へー、アマテラスオオミカミって、女性だったんですねー」と言ったので吃驚した。ええー! 知らんかったのー! いや、これがオイシンならば別に吃驚しないのだが、タケダくんはモノをよく知っているし、好奇心も旺盛なだけに、ちょっと不意をつかれた。うーむ。

 私自身は大学生の時に「古事記」を通読したが、それ以前にも、代表的な逸話は断片的に聞き知っていた。いつ、誰から聞いたのかは分からないが、それでも知っていたよなー。やはり環境が変わりつつあるのか。

 なんにせよ、日本人なら日本神話を知っておいた方がいいと思う。アマテラスオオミカミといえば、機を織っている、というイメージがパッと浮かばなくては。なぜなら日本神話おいて、神様が働いている、というのは結構重要な事だからだ。天皇陛下も田植えされるし、日本では神様が働いている。日本では、働くことが喜びの源なのだ。

 それに対して、西洋・キリスト教社会において、働くことは神から与えられた罰だ。神のいいつけに背き、楽園から追放された原人間アダムとイブは、罰として働くこと・死ぬこと、を義務づけられる。だから西洋社会の人間は、どうしたって働くことにネガティブなイメージを持っている。仕事が好きです! とか言っている西洋人も、心の底では、何も働かず・着ず・死なず、ゴロゴロして過ごすのが最高だと思っている(はずだ)。それが彼らのパラダイスのイメージだからだ。

 別にこういう考え方にケチをつけるつもりはないけれど、やはりそういうのは日本人には合わない、不幸な考え方だと思う。私も若い頃はさんざん西洋かぶれだったので、サラリーマンとして働き始めた頃は、仕事が苦痛で仕方がなかった。もちろん、仕事の内容にもよるのだけれど、出来れば仕事がしたくない・少しでも仕事をしない時間を作ろう(そしてその時間で音楽を聴いたり映画を観たりしよう)、と常に考えながら仕事をするのは、激しくストレスだった。左翼系の本を熱心に読んで、日本社会批判・会社批判などを試みていたのもこの頃だ。

 しかし、やはりそういうのは根本から違うのだ、と思うようになった。日本では、神様も働くのだし、我々も当然働かなければならない。そして、働くこと自体が楽しみでなければならない、と考えるようになった。それが日本の幸せなのだ、と。だから、自分の喜んでできる仕事をみつけるのが、日本人にとって最も大切な事だ。教育も全てその点から成されるのが正しいのだ。子供達が将来、自分達が楽しんでできる仕事をみつける事ができるように、躾・教え・導き・助言するのが正しい教育だろう。こういうのは、就職先を紹介するのとは全く違うレベルの事だ。それにはまず、神様達が楽しそうに働いている日本神話を教えること。そして、教師自身が自分の仕事に誇りと喜びを持ってあたる事が大切な事だろう。

 あれー、またしても激しく脱線した日記になってしまいましたねー。

小川顕太郎 Original:2001-Sep-24;