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 Diary 2001・9月11日(TUE.)

テロ!?

 本日も前半はオパールは凄く暇だった。昼間の客は 2 組! もう、お終いだな…と自嘲しながら、珈琲をいれて飲もうとしたら、ドッとお客さんがやってきた。瞬く間に伝票が 7 枚も並び、フードの注文もかなりあり、私とショウヘイくんは珈琲にはまったく口をつける事ができず、仕事に忙殺されるはめになった。なにかあったのか?

 そこにヤマネくんから電話。「今、忙しいですかー?」と言う。まあ、忙しいんだけれど、なに? 「いやー、実は凄いニュースがあるんですけれど…」とヤマネくん。他の人がこういったのなら、やっぱり忙しいから後にして、と電話を切るのだけれど、相手はあのヤマネくんだ。近所の家に雷が落ちたり、壮絶な事故現場に出くわしたりと、ヤマネのいくところに地獄あり、とまで言われたヤマネくんが「凄いニュース」と言うのだ。私は好奇心を抑えきれなかった。

「実はですね、ニューヨークの世界貿易センタービルに飛行機がつっこんだんですよ!」ほお! それは凄い! でもヤマネくんにしては普通じゃないか? いま、忙しいのに…。

「で、ですね。その様子をテレビで生中継で見ていたら、なんともう一機! ビルに突っ込んだんですよ!!」

 がーん! そ、それは凄すぎ! さすが、ヤマネくん。とうとうニューヨークの人々にまで迷惑をかけたか…。私は茫然として電話を切り、カウンターにいたクラタニくん、リエちゃん、ババさん、タクヤくんにこの事を告げた。みんな驚愕。様々な憶測が飛び交う。とはいえ私には仕事がある。ジントニックと、モスコミュールと…。

 そこに今度はワダくんから電話。「凄いニュースがあるんですよ。」

 ああ、知ってる知ってる。飛行機がビルに突っ込んだんでしょ。今ちょっと忙しいから…「実はそのあと、もう一機、ペンタゴンに突っ込んだんですよ。」

 えええええー!!! そ、それは、一体どういう、あの、あ、珈琲ね。はいはい、それとレモンソーダ。分かりました、えーと、で?

「どうやらパレスチナの過激派が犯行声明を出したようですよ。」

 私がこの事をみなに告げると、ババさんが「うーん、まるで映画の『マーシャルロー』みたいだねえ。あれはイスラムの過激派がテロを行い、ニューヨークに戒厳令がひかれるという内容だったが、確かバスジャック。映画をはるかに越えてるやん!!」という。あ、ドリアですか、はいはい〜。

 そこにトモコがやってきたので、以後、交互にかかってくるヤマネくんとワダくんの電話は、全てトモコが受けてくれた。とにかく、かかってくる度に、驚きが増す。

「パレスチナの組織は犯行声明を否定したそうです。」

「ビルが倒壊したそうです。」

「飛行機がもう一機、ピッツバーグに墜落したそうです。」

「現在ハイジャックされている飛行機は 11 機。落ちた 4 機を除いた残りの 7 機を、米軍は撃墜に向かったそうです…。」

 もういったい、何がどうなっているのか。店内でくつろぎまくっているお客さん達をみて、「うーん平和だ」とショウヘイくんがつぶやく。そのうちお客さんのひとりが「いま大変な事が起こっているのご存じですか?」と教えにきてくれた。さっきからやたらと携帯電話をかけていると思ったら、情報をとっていたんですね。

 家に帰ってテレビをつけると、喜び騒ぐ中東の人々・子供達の映像が流れている。うーん。するとテレビに向かって、トモコが叫んだ。「あんたたち! 浮かれている場合じゃないわよ! これはアメリカの謀略の可能性もあるんだから、もしそうだとしたら、あなたたちみんな、虐殺されるわよ!!」

 確かに。アメリカには「パールハーバー」という前科があるしね。アメリカの理屈は、「パールハーバー」があるから原爆投下は許される、というものでしょう。だから、もしこれがアメリカの謀略だとしたら、パレスチナ人はほんとに酷い目にあうよ。まあ、現段階ではなんにも分かりませんが。

 とにかーく、マスコミの情報を鵜呑みにする愚にだけは、気をつけましょうー。

小川顕太郎 Original:2001-Sep-13;